128.打てる手はないだろうか。
「まさかこの手紙に神の力が宿っているとはな……」
俺は封筒を〈アイテムボックス〉から久々に取り出して眺めていた。
これといって特徴を見出すことはできなかったが、〈神力感知〉というスキルがあれば違いが分かるのだろう。
とにかくこれで神の力の宿った物品――聖遺物というらしいが、それは入手済みとなったわけだ。
俺は汚損しないように〈アイテムボックス〉に封筒を戻して、錬金術の訓練に戻る。
……あとはオリハルコンとエリクシールだな。
果報は寝て待てとはいうが、昨日から潜ったばかりの大迷宮の深部にあるかもしれないという曖昧な状態だ。
大迷宮探索部隊が見つけてくれれば良し。
だがもし見つけられなかったら?
何かもう一手、打てる手はないだろうか。
なくはないな……まだオリハルコンとエリクシールについては、〈精霊:使役〉で探させていない。
あったとしてもどうせ各王都の宝物庫の中とかそんな話にしかならないだろうが、所在を把握しておくのは悪くないだろう。
今晩の記憶の統合時に、各〈代理人〉たちに周辺のオリハルコンとエリクシールの所在を探ってもらうよう指示を出すか。
夕方になった。
今日も各地の〈代理人〉たちが戻ってくる。
とはいえ聖痕探索をしていた頃より減ったのは確かだ。
せめて各国の王都にはひとりずつ〈代理人〉を置く方が何かあったときの利便性は高そうなので、増員することにした。
まあここアブラナサント王国にはエチゴヤが店舗を開く予定だし、北のブイユゲット王国には今はスサノオがいる。
まったく手つかずなのはシルクが名産のカロリルグ王国だ。
ひとまず〈浮遊島〉を使って王都にひとり〈代理人〉を送り込もう。
目的はどうするかな……ハンターギルドに登録するのが良いか、商人として活動させるのがいいか。
……戦闘スタイルが独特すぎるから、ハンターギルドは目立ちそうだな。
よしエチゴヤ商会の商人として派遣されてきたことにするか。
それならば多少は長逗留しても怪しまれない。
市場などを眺めて過ごしてもらうことにしよう。
さて大迷宮探索部隊は早くも第十階層に到達したらしい。
〈精霊:使役〉で階段を探しながらだから、割りとスムーズに進めるということだ。
まだベルナベルの手をわずらわせるような魔物も出てきていないとのことだから、とっとと進むのが良いだろう。
なお宝箱も探知して回収しているが、ロクなものは出ていないらしい。
やはり深い階層に潜らないとスキルオーブや目的のオリハルコンとエリクシールは見つからないのだろう。
スサノオは創世の女神の始めた聖痕探索の顛末について語ることになった。
聖遺物については昼間、既に〈ホットライン〉で知らせてきたから聞いているが、神殿長は書記を配して記録をつけているとのことだ。
〈新聞閲覧〉は過去分まで遡れるから、それを見ながら話すだけのこと。
ただ長い上に時間がかかるらしいので、休み休み数日間に渡って行うらしい。
宝箱設置を任せているダンジョン管理者からは、スキルオーブをふたつ入手したとのことだ。
〈マッピング〉がふたつとのことである。
いきなり進化狙いとなるが、さて。
《〈マッピング〉のスキルを習得しました》
《〈マッピング〉のスキルを習得しました》
《〈マッピング〉のスキルが〈オートマッピング〉に進化しました》
〈マッピング〉スキルは地図を作成するスキルなわけだが、〈オートマッピング〉は脳内で自動的に地図を作成・記憶しておくスキルのようだ。
これは便利だな、大迷宮攻略に役立つと思うがどうだろう。
今日はベルナベルは〈淫夢〉で精を集めてくるということで不在である。
俺はひとり、〈錬金術〉の実習を進めることにした。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 97
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈槍術〉〈暗視〉〈気配遮断〉
〈魔力隠蔽〉〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉
〈礼儀作法〉〈審美眼〉〈酒豪〉〈痛覚軽減〉〈オートマッピング〉
〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉
〈相場〉〈個人輸入〉〈魔力眼〉〈多重人格〉〈睡眠不要〉
〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉
〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉〈帰還〉〈領土〉
〈百面相〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉
〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉
〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉〈視界共有〉
〈ボーンアーチャー召喚〉〈地脈操作〉〈霊脈操作〉〈全異常無効〉
〈王威〉〈アイテムボックス〉〈経験値100倍〉〈契約:ベルナベル〉
〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉〈隷属:魔王軍〉
〈従魔:マーダーホーネット〉〈従魔:レッドキャトル〉
〈従魔:アイスドラゴン〉》