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126.首輪を嵌めてやろう。

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

1週間ほどと短いですが更新していきますので、お付き合いください。

 俺はオルタンスモーアの領主館の庭で結婚披露宴の最中にいた。

 今日の主役は俺とローレア、つまりいよいよ初夜……じゃなくてローレアと結婚する日がやって来たのである。

 パーティの主役である俺たちは挨拶に来る貴族たちに祝福されながら、ローレアとふたりでひたすら貴族たちを捌き続ける。

 なお堅苦しい結婚式は午前中に終えており、今は立食パーティ形式の披露宴の時間だ。

 もちろん主役の俺たちが飲み食いする時間はない。


 義父であるノーマンドも横にいてくれるから、貴族の挨拶はノーマンドとローレアが主にやってくれている。

 もともと平民だった俺に貴族の知り合いがいるわけもなく、実際のところは無駄に緊張するだけの疲れる時間だ。


 一番の懸念はガエルドルフの領主だったが、どうやら派閥違いでここには来ていないらしかった。

 出席者の一覧は予め見せられていたので、さり気なくローレアから「この人はどういう人なの?」とひと通り説明を受けていた中に、ガエルドルフの領主がいなくて安心したのである。


 派閥といえば王都の密偵悪魔ギュベイが探るのに苦労していたはずだ。

 今日の出席者たちは少なくともノーマンドと同じ派閥だろうから、出席表を横流しするくらいはしてやってもいいかもしれない。


 ちなみに王国を二分する派閥だが、国王派と貴族派がいる。

 国王派は王国の舵取りを国王に任せ、それを貴族が一丸となって支えるという派閥で、ノーマンドはこれに属している。

 他方、貴族派は国王は政治に口出しを避け、貴族たちの合議で政治を動かしていくべきという我の強い連中の集まりだ。

 ただし派閥として成立するだけの大貴族の後ろ盾があるため、貴族派もきっちり成立している。

 あとはどちらの派閥にも入っていない中立貴族も少なからずいるらしい。

 領地を持たない王城勤めの法衣貴族などに多いらしい中立貴族はその仕事柄、あまりどちらかに極端に肩入れすると仕事がやりにくいのだとか。


 日が傾いてきた頃、披露宴パーティは終わった。

 いや非常に疲れる。

 クロエのときの結婚式とは比較にならない堅苦しさだった。


 上機嫌のノーマンド夫妻、ローレアの兄ふたり。

 夕食は家族団らんで取った。

 今日から正式に夫婦になる俺とローレアの住まいは、本邸ではなく敷地内にある別邸だ。

 別邸といってもそれなりに大きな邸宅だから、使用人の数も割りと多い。

 もともとローレアに付いていた使用人はごっそりそのまま別邸勤めとなり、それ以外にも古参の使用人と、新たに雇い入れた新人がいるとのことだ。

 早めに顔と名前を一致させたいところだな。


 そしていよいよローレアが待ちに待った初夜の時間が訪れた。


「コウセイ……今日から私たちは夫婦よ。昼間はあなたの横で咲く貞淑な妻。だけど……夜はご主人様の奴隷だから。たくさん、たくさん、可愛がってくださいね?」


「分かっている、ローレア。さあ、堅苦しいドレスも似合うけど、君にはこちらがいいだろう?」


 鎖のついた首輪を〈アイテムボックス〉から取り出す。

 それだけで上気した顔のローレアが「まあ!」と喜んで首輪を撫でる。


「今晩は寝かせませんわよ、ご主人様」


「分かっている。もうやめてと泣き叫んでもやめる気がない。ローレア、可愛らしい愛の奴隷よ、俺のために跪け。首輪を嵌めてやろう」


 ベッドの上で行われる首輪を嵌める厳かな儀式。

 主人と奴隷の夜は、長く長く続いたのだった。

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