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121.なんで盗むことが前提なんだよ……。

 夜の間にレシピ集にあったものはすべて錬成できるようになってしまった。

 あとは悪魔アルドロンから教わったレシピのメモにあるものを錬成していくばかりだ。


 早朝、ベルナベルが鼻歌混じりで戻って来た。

 〈アイテムボックス〉から朝食を取り出して、ふたりで食べる。


「今日から大迷宮入りだ。ベルナベル、よろしく頼むぞ」


「うむ。わしが楽しめる相手が出てくると良いのじゃがな」


「それはかなり深い階層まで行かなければならないだろう。だが前人未到の深い階層まで行ってもらうからそのつもりでいてくれ。宝箱からオリハルコンとエリクシールが出るようなところまで大迷宮が続いていればいいんだが」


「主には〈天運〉があるじゃろ。大丈夫じゃ、きっと宝箱はザックザクでオリハルコンもエリクシールも入手できよう」


「……そうだな」


「ところで賢者の石の最後の素材については、どうなったのじゃ?」


「神の力を宿した物品とのことだから、ひとまず各地の〈代理人〉たちに〈精霊:使役〉で探させたんだが……」


「なんじゃ、既に動いておるのか」


「それが周囲にはない、という結果が多くてな。当たりも一応あったんだが、どうやらブイユゲット王国の王都に反応があるらしい。ブイユゲット王国の王都には大神殿があるから、多分そこだろう。逆に言えばそれ以外にはなかった」


「ふむ? 希少なのかのう」


「神の力だしな、それはそうだろう」


「入手するには、その大神殿とやらに盗みに入るしかないというわけか」


「なんで盗むことが前提なんだよ……」


 とはいえ神の力については調査もしておかなければならない。


 ただ神殿という組織について俺はあまりよく知らない。

 ローレアの婿である〈代理人〉が得た知識によれば、神殿は創世の女神に祈りを捧げる場であり、孤児院の運営を任せている都合から寄付をしているという関係性があることは知っている。

 だが肝心の神殿内の組織についてまではよく知らない。


 実は神殿は国を跨いだ組織であり、北の大国ブイユゲット王国にその総本山があるということで、この国ではあまり神殿内部については知られていないのだ。

 だがいくら神殿が国を跨いでいるとはいえ、ブイユゲット王国の大神殿から人が派遣されて各地の神殿にいるわけでもないらしい。

 王都の神殿にせいぜいひとり程度が赴任しているとは聞いているが、それもどのような地位にあるのかも知らないのだ。


 ……ブイユゲット王国の大神殿にひとり、〈代理人〉を派遣してみるか?


 神の力の宿った物品について知るためには、そのくらいしなければならないと思うのだ。

 ただどのような人物なら大神殿に入ることができるのかよく分からない。

 とはいえ試さないことには大神殿に入る条件も分からないのもまた事実、か。

 よしひとり派遣しよう。


 俺は〈代理人〉を起動して、大神殿に向かう者を用意した。

 もちろん〈百面相〉でコウセイとは無縁の人間族(ヒューマン)を偽る。

 そうだな、名前は……スサノオとしようか。


 スサノオが大神殿に入りたい理由は、信仰に目覚めたからということにしよう。

 最も創世の女神に近い場所で祈りを捧げたいがために、はるばるここアブラナサント王国から巡礼の旅をしてきた。

 ……うん、この設定で試してみるか。


 というわけで早速スサノオを、ブイユゲット王国の大神殿がある王都へ向かわせた。


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