120.少しは楽しんでもらえるとありがたい。
夕方になると、〈代理人〉たちが本日の成果を報告しに戻ってくる。
魔王シューベルトの〈百面相〉は悪魔たちに受け入れられたようだ。
七大罪の悪魔について聞いてしまったのは想定外だが、悪魔にとっては常識らしいし、知っておいて損はないと思うことにしよう。
知ったからといってベルナベル以外の七大罪の悪魔に遭遇するわけでもないだろうしな。
あとは錬金術のレシピ集に載っていないレシピを悪魔アルドロンから聞いてきてくれた。
一応、市販されている錬金術の本にあるレシピも含むが、多くは彼女のオリジナルのものだそうだ。
新しいレシピの発案というのは、まず目的となる錬成物を決めて、必要な要素をもつ素材を錬金釜に投入して、混ぜながら完成形をイメージすることが大事なのだとか。
この辺りはまだまだ初心者だから分からないが、ひとまず彼女の作ったレシピなどを実践しながら錬金術の修練を重ねていくことで見えてくるものもあるのかもしれない。
コウセイとエチゴヤのやり取りをクロエに見せる作戦は上手く行ったらしい。
これで宿屋『鍋猫亭』にエチゴヤが訪ねてきてもおかしくはないだろう。
するとコウセイが魔界の野菜やハーブ、スパイスを使うことができるようになる。
『鍋猫亭』の繁盛に一役買うことができるというわけだ。
料理については魔界料理人から〈代理人〉が教わっている記憶を共有しているから、問題ないだろう。
ダンジョンで宝箱設置を繰り返している〈代理人〉からは新たに有用そうなスキルオーブをふたつ入手してきてくれた。
〈ウワバミ〉と〈料理〉である。
どちらも習得済みのスキルであるが、進化する可能性があるのがミソだ。
というわけで早速、スキルオーブを使用してみることにする。
《〈ウワバミ〉のスキルを習得しました》
《〈ウワバミ〉のスキルが〈酒豪〉に進化しました》
《〈料理〉のスキルは既に習得しています》
ふむ、〈ウワバミ〉は進化したが、〈料理〉は進化しないらしい。
仕方がないので〈料理〉のスキルオーブは〈リサイクル〉行きだな。
多分、生産系スキルに進化はないのだろう。
一応だが念のため、後でベルナベルに確認しておこう。
大迷宮探索部隊は遂に大迷宮のある中央山脈に最も近い場所にある街に到着したらしい。
高位の冒険者、探索者、ハンターなど各国のエキスパートたちがいる中で、ベルナベルはなお目立っていたそうだ。
〈魔力眼〉などがあればその特異性はひと目で分かる。
しかし人目を引いたのは何もベルナベルだけではなかったらしい。
強大な魔力を纏ったイチロウら四人の〈代理人〉たちも凄腕の魔術師として目されたようなのだ。
大迷宮の街エルネロットで目立つとは、俺も強くなったものだ。
各国の凄腕たちとの交流で得るものは特にないだろうが、実力を認められてちょっと誇らしい。
早速、明日から大迷宮に潜ってもらう事になっている。
移動ばかりで退屈していたベルナベルも、これで戦闘三昧だ。
少しは楽しんでもらえるとありがたい。
カーシャとマニタの元には毎夜〈代理人〉を送っているが、青葉族のところの養蜂は順調だし、黒影族の方もレッドキャトルの飼育をうまくやってくれている。
魔族の方は何も問題なく平和だな。
ベルナベルと夕食を共にした後。
今日は〈淫夢〉で精を集めてくると言って、悪魔モードで姿を消した。
さて俺は日中と同様に〈錬金術〉の練習でもしていよう。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 97
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈槍技〉〈暗視〉〈気配遮断〉
〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉〈礼儀作法〉〈審美眼〉
〈酒豪〉〈痛覚軽減〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉
〈創造:槍〉〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉
〈新聞閲覧〉〈相場〉〈個人輸入〉〈魔力眼〉〈多重人格〉
〈睡眠不要〉〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉
〈隠れ里〉〈牢獄〉〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉
〈帰還〉〈領土〉〈百面相〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉
〈眷属強化〉〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉
〈リサイクル〉〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉
〈視界共有〉〈ボーンアーチャー召喚〉〈地脈操作〉〈霊脈操作〉
〈全異常無効〉〈王威〉〈アイテムボックス〉〈経験値100倍〉
〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉
〈隷属:魔王軍〉〈従魔:マーダーホーネット〉
〈従魔:レッドキャトル〉〈従魔:アイスドラゴン〉》