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118.さすが弱肉強食の悪魔の世界、厳しい。

 俺は壇上に上がり、悪魔たちの視線を一身に浴びていた。

 横には序列筆頭のサンドールが控えている。


「皆に集まってもらったのは、これから俺が顔と名前を変えることになったからだ。一応、周知するという意味で集まってもらった。では早速だが、スキルで顔と名前を変更する」


 俺は〈百面相〉を使って、痩身で銀髪をオールバックにした男性の姿に変じた。

 同時に名前もシューベルトと改名する。

 またせっかくなので〈王威〉も発動しておく。


 〈簡易人物鑑定〉を持っている悪魔たちはステータスが変更されたことに感心している。

 そうでなくとも、姿を一変させた俺の力に驚いている悪魔たちも多い。


「俺はこれより魔王シューベルトと名乗る。今後とも魔王城の運営方針は変わらないからそのつもりでいてくれ。今日はわざわざ集まってくれてありがとう」


 サンドールが「全員、解散して構わない」と告げると、悪魔は三々五々となって各々で好きに過ごし始めた。


「すばらしいカリスマを感じます。何かのスキルでしょうか?」


 質問をしてきたのはサンドールだ。


「〈王威〉というスキルだ。知っているか?」


「はい。確か王族が稀に習得するスキルですね。シューベルト様は王家の血筋を引かれておられるのでしたか?」


「まさか。ド平民だよ。クラススキルで習得したんだ」


「クラススキルで? ではシューベルト様は王の器であることの証左ですね」


「実感はないし、その見方については懐疑的だがな」


 俺は肩をすくめた。

 しかしサンドールは笑みを深めて「しかし現に魔王としてこうして悪魔たちの上に立派に君臨していらっしゃいます。やはりシューベルト様は王として大成なさる運命だったのでしょう」と言った。


「勘弁してくれよ。そもそも魔王になっているのだってベルナベルのお陰だぞ。俺自身は前魔王と戦っても勝てなかっただろうし」


「それはベルナベル様とご契約なされたことも含めて王の器であると考えるべきでしょう。普通、七大罪の悪魔を地上に召喚することなどできませんから」


「……その七大罪の悪魔っていうのはなんなんだよ。ベルナベル以外にあと六人、同じくらい強いのがいるってことなのか?」


「おやご存知ではなかったのですか。その通り、魔神様が選ばれた七人の悪魔のことですよ」


「魔神が選ぶのか。確か創世の女神と仲の悪い、魔界の神様だったよな。ベルナベルは魔神に会ったことがあるということなのか?」


「そこまで詳しくは存じ上げません」


「前魔王は先代の“憤怒の”悪魔だったそうだな。どうやって称号を次の奴に継承するんだ?」


「それはより相応しい“憤怒の”悪魔が現れた時点で、先代魔王様は称号を失い、新しい“憤怒の”悪魔が誕生したのだと聞いたことがありますね」


 称号がある日、勝手に剥奪されて別の悪魔のものになるのか。

 さすが弱肉強食の悪魔の世界、厳しい。

 ちなみにサンドールによれば、七大罪の悪魔はそれぞれ、嫉妬、怠惰、淫蕩、強欲、傲慢、飽食、憤怒を司る七人がいるそうだ。


 おっかねえ、ベルナベル以外の七大罪の悪魔とは絶対に関わりたくない。

 あんなのがあと六人もいるなんて、怖すぎる、命が幾つあっても足りないぞ。

 ベルナベルは俺の〈代理人〉や〈隠れ家〉を見破るからなあ。

 他の七大罪の悪魔たちも同様のことができるとしたら、本体にダイレクトアタックされて死んでしまう。


 とりあえず今日やらなければならないことのひとつは無事に終わった。

 あとは錬金術狂いのアルドロンから、レシピ集に載っていない錬成レシピを教わったり、錬金術のレシピの発案方法について伝授してもらうことにする。

 タダで成果をもらうのも悪いので、何か欲しい褒美がないか聞いておこう。


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