109.俺の顔の面影がないんじゃないのか?
《自宅警備員がレベルアップしました》
《〈全耐性〉のクラススキルを習得しました》
《〈即死耐性〉のスキルが〈即死無効〉に進化しました》
《〈石化耐性〉のスキルが〈石化無効〉に進化しました》
《〈気絶耐性〉のスキルが〈気絶無効〉に進化しました》
朝、レベルアップの通知が来たが、全耐性とは派手だな。
もともと耐性を持っていたものは無効化するようになったのは非常に美味しいが。
魅了にも耐性がついたものの、ベルナベルの魅了に抵抗できる気がしないな。
まあ例え抵抗しても、ベルナベルは魅力的であるからどうでもいいか。
夜のうちにローレアのところの〈代理人〉が大迷宮の位置について調べてくれていた。
どうやら北の大国ブイユゲット王国方面から中央山脈に侵入する必要があるらしい。
さてベルナベルを含めて、何人の〈代理人〉を送り込もうか。
一般的な冒険者パーティは最大で六人。
しかし俺の場合はボーンガーディアンの召喚があるから、もっと少なくてもいい気がする。
とはいえあまり少なくても不安だし、〈代理人〉は四人派遣しよう。
アイスドラゴンと戦ったときにふたりがボーンガーディアンを召喚し、ひとりが〈創造:槍〉、ひとりが〈空間:防御〉を担当していたから、その役割分担が通用するはずだ。
そしてベルナベルを含めて、五人パーティということになる。
あまり少人数でも怪しまれそうだし、五人パーティなら問題あるまい。
せっかくだから〈百面相〉を使ってそれぞれ顔と名前を変えることにしよう。
面倒だし分かりやすさ優先で、イチロウ、ジロウ、サブロウ、シロウとした。
どうせ地球人はもう俺しかいないから、名前にツッコミが入ることはないだろう。
顔は各々で好きに弄ってもらう。
なおベルナベルはイチロウの契約悪魔ということにして、連れて行く予定だ。
それから昨晩、魔術を行使しつづけていた面々から久々に成果が上がってきた。
アイスドラゴン戦でまったくダメージを与えられなかったことについて、思索と検討を重ねた結果、ベルナベルの〈空間:攻撃〉のように絶対的な貫通力を誇る〈ペネトレイトジャベリン〉を開発したというのだ。
確かに硬いドラゴンの鱗を槍で貫こうとしたならば、問答無用で貫通するという特性を槍に付与して投げるのがいいだろう。
実践はまだだが特性の付与自体は成功しているらしいので、機会があれば戦闘で試したい。
ベルナベルがベッドの中で四人の〈代理人〉を眺めながら、「大迷宮とやらに行く準備ができたんじゃろうか?」と問うてきた。
「ああ、そうだ。ベルナベルにはこの四人、……イチロウ、ジロウ、サブロウ、シロウと一緒に大迷宮に向かってもらう。イチロウの契約悪魔ということにするから、そのつもりでいてくれ」
「イチロウとはどれじゃ?」
「イチロウ、挙手してくれ」
俺の顔をベースにどれだけイケメンにできるか競っていた四人のうちのひとりが挙手する。
おいおい、俺の顔の面影がないんじゃないのか?
……まあ別にいいけど。
「うむ、ではよろしく頼むぞ、イチロウ。わしはそなたの契約悪魔として振る舞うからよしなにのう」
ベルナベルは手をひらひらを振ってベッドから立ち上がり、黒のゴスロリ服を身にまとう。
「主よ、朝食にしようぞ」
「そうだな。さて何を食べようか……」
俺は〈アイテムボックス〉を物色し始めた。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 95
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈槍技〉〈暗視〉〈気配遮断〉
〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈錬金術〉〈農耕〉〈礼儀作法〉〈審美眼〉
〈ウワバミ〉〈毒無効〉〈即死無効〉〈石化無効〉〈気絶無効〉
〈痛覚軽減〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉〈時間:治癒〉〈創造:槍〉
〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉〈通信販売〉〈新聞閲覧〉
〈相場〉〈個人輸入〉〈魔力眼〉〈多重人格〉〈睡眠不要〉
〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉
〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉〈帰還〉〈領土〉
〈百面相〉〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉
〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉
〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉〈視界共有〉
〈ボーンアーチャー召喚〉〈地脈操作〉〈霊脈操作〉〈全耐性〉
〈アイテムボックス〉〈経験値100倍〉〈契約:ベルナベル〉
〈隷属:青葉族〉〈隷属:黒影族〉〈隷属:魔王軍〉
〈従魔:マーダーホーネット〉〈従魔:レッドキャトル〉
〈従魔:アイスドラゴン〉》