101.これはさっさと処理してしまおう。
夕方、続々と〈代理人〉たちが戻ってくる。
さて今日のリザルトは?
まずダンジョンで宝箱設置をしていた結果、有用そうなスキルオーブをみっつ入手したとのことだ。
〈醸造〉〈即死耐性〉〈審美眼〉である。
ひとつ目の〈醸造〉は酒作りや発酵食品を仕込むのに使うスキルだ。
宿屋『鍋猫亭』では酒は酒屋から仕入れているが、宿で自家生産している酒もあって、こちらは宿屋独自の味を客に提供している。
クロエに婿入りした〈代理人〉にとっても酒造りは他人事ではないので、重宝することだろう。
ふたつ目の〈即死耐性〉は言うまでもなく有用だと分かると思う。
みっつ目の〈審美眼〉は美術品に限らず衣服や刀剣、甲冑、料理の盛り付けに至るまで様々な美しさの良し悪しを感じ取るスキルである。
ローレアに婿入りした〈代理人〉は貴族としてそういう価値観や見る目を養う必要があったのだが、これで賄うことができるはずだ。
《〈醸造〉のスキルを習得しました》
《〈即死耐性〉のスキルを習得しました》
《〈審美眼〉のスキルを習得しました》
さて次はローレアに婿入りした〈代理人〉に動きがあった。
魔王城にいたサキュバスたちを使った娼館の準備が進められており、それが本日の夜から開業するということらしい。
結婚後に娼館を開業するよりは、と義父になるノーマンドが急いでくれたようだ。
サキュバスについては契約悪魔のベルナベルの関係で、自由になったサキュバスたちを隷属させたという話になっている。
ノーマンドもサキュバス娼館の利益は無視できなかったようで、無事に領主主導の事業としてオルタンスモーアの街に娼館を設置したというわけだ。
……さていよいよ聖痕探索部隊の成果だが。
なんとドラゴン二頭にそれぞれ聖痕が宿っていたそうだ。
二千年を生きたアイスドラゴンで、結局ベルナベルに頼ることになったらしい。
というか戦わせたのか俺たちを……。
手も足も出なかったそうなので、無敵コマンドであるベルナベルを連れて行って本当に良かった。
二頭の死体は魔王城で解体しているところらしい。
生産系悪魔たちが大喜びしているとのことなので、成果物が気になるが加工が難しいらしく、出来上がりはしばし先になるとのこと。
あとは生後百年未満のアイスドラゴンをテイムしたということだ。
餌代が気になるところだが、放っておけば魔王城近辺の魔物をひとりで狩って食べるというから手間いらずらしい。
幼くとも大きさは人間より大きく、強さも相応らしいので心配はいらないそうだ。
とはいえ完全に放置するのも危ないので〈代理人〉をひとり付けたほうが良いだろう。
さて記憶の統合だ。
これで聖痕ふたつが俺の身に宿ることになる。
海側には聖痕は見つけられなかったという話だし、残る反応は新聞で情報を得た四人からだというから、これらが最後の聖痕なはずだ。
やや緊張しながら、聖痕を宿した〈代理人〉との記憶の統合を果たす。
すると、ホロウィンドウがポップアップした。
《聖痕をその身に宿しました。強化するスキルをひとつ指定してください》
いつものスキル進化のアナウンスか。
これはさっさと処理してしまおう。
《〈経験値90倍〉のスキルが〈経験値100倍〉に進化しました》
ふと、ここで転移の兆候に気づいた。
「主!?」
ベルナベルの慌てた声が聞こえたが、俺の視界はホワイトアウトしていて――。
《名前 コウセイ 種族 人間族 性別 男 年齢 30
クラス 自宅警備員 レベル 89
スキル 〈人類共通語〉〈簡易人物鑑定〉〈槍技〉〈暗視〉〈気配遮断〉
〈性豪〉〈料理〉〈醸造〉〈礼儀作法〉〈審美眼〉〈ウワバミ〉
〈毒耐性〉〈即死耐性〉〈痛覚軽減〉〈闇:召喚〉〈空間:防御〉
〈時間:治癒〉〈創造:槍〉〈精霊:使役〉〈同時発動〉〈高速詠唱〉
〈通信販売〉〈新聞閲覧〉〈相場〉〈個人輸入〉〈匿名掲示板〉
〈魔力眼〉〈多重人格〉〈睡眠不要〉〈闇市〉
〈ボーンガーディアン召喚〉〈別荘〉〈夜の王〉〈隠れ里〉〈牢獄〉
〈テイム〉〈監視カメラ〉〈ホットライン〉〈帰還〉〈領土〉〈変身〉
〈領域支配〉〈隠れ家Ⅲ〉〈代理人Ⅲ〉〈眷属強化〉
〈ダンジョンマスター〉〈浮遊島〉〈城塞〉〈リサイクル〉
〈監視衛星〉〈永続召喚〉〈地下迷宮〉〈天運〉〈視界共有〉
〈ボーンアーチャー召喚〉〈地脈操作〉〈アイテムボックス〉
〈経験値100倍〉〈契約:ベルナベル〉〈隷属:青葉族〉
〈隷属:黒影族〉〈隷属:魔王軍〉〈従魔:マーダーホーネット〉
〈従魔:レッドキャトル〉〈従魔:アイスドラゴン〉》
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