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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Dr.Tの書庫漁り【一頁完結型短編の何か】

我らが偉大な大地の元【一頁完結型童話調・T書庫シリーズ】

作者: 【語り部】Dr.T

__幕間



 ここに一冊の本がある。タイトルは【我らが偉大な大地の元】と書かれている。

 それは、私たちにとっては物語であるかも謎らしい。

 しかし、コレが残されているという事は彼等は確かに存在していたのは確かだ。

 そういう世界らしいからね。ココは。

 さて、短いが少しばかり話に付き合って貰おうか。

 弟よ。ココの書庫は蔵書がいっぱいで私はとてもわくわくしている。

 どうせ少ししたら存在が曖昧になって私たちは消えてしまうらしいからね。

 ちょっと位、盗み見たところで罰は当たらないだろう。

 それではDr.Tの読み語りの始まり始まり。



___



 私はまどろんでいた。暖かい暗闇にまどろみながら、思考が流れていく。はたして、ここは死後の世界だろうか。事故でなく寿命で死んだことは知っている。



 私は死ぬ時まで働いていた事は覚えている。思えば仕事しかしていない人生だった。



 眠い。眠いのだから寝ても良いのだろう。後のことは起きてから考えるとしよう。



___


 とある、小さな街に静かな教会があった。いつもは静かな教会だが、その日だけは人が集まり1人の男を大勢の人物が見送った。


 その男は聖女の息子として生まれ聖人と呼ばれるほどの徳を積み、老衰によってその生涯を終えた。


 男は棺に入れられ、教会の裏手にある墓地に埋められた。


___



 私は微睡んでいる。暗く暖かい空間で微睡みながら、思考が流れていく。はたして、ここは何処なのだろうか。手足は曲げられず暗く狭い空間。



 記憶は掠れ、生前行っていた仕事の内容も自分の名前も思い出せない。



 覚えているのは風景、そして誰かに言われた一言、そこにただ在るだけで良い。


 

___


 永い 時が経った。小さな街の寂れた教会は草が生い茂り、壁はひび割れ、柵は壊れ、人が訪れて居ないと分かる。


 街は廃墟となっていた。原型を留めているのは教会のみで他の建物は崩れ基礎が剥き出しになっている。


 そして街の外は荒れた地が広がっていた。


___



 身動きが取れない程の小さな空間、そこに私は居るらしい。その小さな揺り籠で私は微睡む。



 暖かい暗闇の中で微睡んでいると空間が揺れた。地震が起きている様だ。


 断続的に激しい揺れが襲う、天変地異の前触れかもしれない。



 私は揺れを感じながら眠る。



___


 荒地に佇む教会に最初に集まったのは動物達、それから少し経ち、人々が集まった。厄災を生き残った者達は長い旅路を経て教会に流れ着く。


 人々は緑に覆われた教会を見て希望を抱いて辿り着く。


 その星は厄災に見舞われた。大地は割れ大海は荒れ、その星に生きるモノの数を一気に減らした。


 生き残った地上の生物達は信託により教会を目指す。そこが安住の地だと信じて。



___



 私は微睡んでいた。小さな揺れも今では収まり、静かな揺り籠。そこに少しの光が射した。


 どうやら起きる時間の様だ。もう働きたくない。私は働きたくない。


 無情にも光が広がっていく。私は光に包まれた。



___


 地上を生きるモノは皆、その教会に集まりました。


 聖骸を地下に安置するように信託を得た人々は、今は亡き旧き聖人の墓を暴く。


 聖人の入った棺は、すぐに見つかりました。地震による地割れで棺が剥き出しになってました。


 それは地震を起こした存在が、その棺に地割れという刃を届かせた様にも見えます。


 生き物たちは棺を地上に引き揚げました。そして、棺の蓋を開けました。


___



 光を浴び、私は余りの眩しさに意識を手放していた。意識が戻った時にはまた辺りは暗くなっていた。



 先程よりも広い空間。仕事場か。何をすれば良いんだろうか。いや、動きたくないから、このまま、このまま。



 私はゆっくりと思考の揺り籠で微睡む。眠れなくても眠った事にしたくて。



__


 生き物達は教会の地下に集まり聖骸を寝かせた。ランタンを持った人々が動物達を先導していく。


 そして、地下室を掘り始めた。深く、深く、地を裂く刃が届かぬほど深く。


 小さな部屋を連ねる様に狭い通路を固めていく、それはまるでアリの巣の様に複雑に、そして深く掘られて行く。



 一方、教会の周りでは瓦礫の撤去を行った。畑を作り食料を探す。


 そうして、地上の生物達は地下都市を作り住居を地下に移しました。


___



 私は微睡む。微睡みながらも報告を聞く。ここは地下深くの神殿、そこに私は安置させられたようだ。



 神からの信託で地上から避難した地上の生き物達。その信託、私は受けてないのだが。



 それと運んでくれた人々は私の事を聖骸と呼んでいる。もしかしなくても私は死んでいるのでは?



 死んだ身体に戻って来たと言った方が良いか。



 一応、頑張れば身じろぎは出来るが関節や皮膚が固まったような状態で動く事は出来ない。



 そして、動こうとすると凄く眠く……。



___



 ある時、地上にいた生物は一斉に空を見上げた。虹がかかる空、その日から空が一色ではなくなった。


 日に日に虹の様な、オーロラの様な瞬きを強めていく空に地上の生き物は不安を抱いた。


 空を飛んでいた鳥たちは飛ばなくなり、龍達は人間へ危険を喚起した。


 そして、虹が地上に届いた瞬間、各地で地割れによる地震が起こり始めた。


 地上が地割れでズタズタとなった後、生き残った生き物達は信託を見た。それは言語を介さない言葉。


 生き残り達は聖骸の眠る教会を目指し、地下深くに籠った。



___


 私は微睡んでいる。気付かなかったのだが、動くたびに身体の端が崩れていっている様だ。



 つまり、ずっと、ひたすらに眠っても良いらしい。動かなくても良いのなら私は眠ろう。



 私は眠る。ただ在るだけで良い私は、彼等の安寧を祈って。




____終幕



 ……転生したと思ったら自分の亡骸に戻されてました。と言う事だろうか。


 恐らく関節が動かなかったのは蝋化現象か?だが冷たい場所で腐敗しなかった事が条件だが。暖かかったと書かれている事から条件には含まれない筈。


 だが、意識が戻るまでに蝋化していて意識が戻った後暖かくなった。温暖化が進んだ?


 え?異常気象の空のせいじゃないかって?あぁ、成程。地上が熱くて過ごせなくなったから地下に避難したって話かこれ。


 ん?次はこれを読むのか?【我らが偉大な大海の主】?対になってるのか?分かった次はこれを読もう。

最終的に土となるまで彼は祈りを捧げ続けました。何時か、地上に戻るまで、大地と大海と大空の3頁予定です。3頁は明確に同じ世界のお話となっております。

腐敗か乾燥か骨かぴちぴちで悩んだ結果、蝋になりました。無理に動こうとして崩れてますが。

さて、動けない肉体を監獄ととるか揺り籠ととるかはその人次第。節制の聖人は揺り籠と取りました。

という訳で今回はここまで、それでは皆様また次回!

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