始まり
ストックないんで不定期です
「うげえ……なんつう匂いだ」
視界一杯に存在する元は何だったかわからない腐ったそれらを、一人の男が足の裏で潰しながら進んでいた。
男の名前は花河原 賢太郎
四十路で独身……趣味はゲームとアニメのサブカル少々
部屋にお面ライダー達のベルトをコレクションしているこのおっさんはほんの数時間前に死んで、そして異世界に転生をすることになった人物である。
転生に対してそれを行った高位存在曰く、この賢太郎という男は才能があるからこの異世界に転生させたそうだ。
賢太郎自信も才能と言われても何が何だかわからず、とにもかくにもセカンドライフが出来るならと、この話に飛び付いたのだがそれを提供してくれる高位存在から依頼を頼まれることになった。
それは闇の力を高めること。
一体それは何ぞや?と思った賢太郎だが、高位存在は特に説明するわけでもなく賢太郎の頭に何がしかの力で知識をぶちこんだ後にこの腐臭漂う洞窟に転生させられたのであった。
「しかし転生したはいいが、既に滅びかけている世界とかハードすぎる!」
ヌメヌメとした腐敗物を掻き分けて賢太郎は洞窟を進んでいくと、賢太郎の目的の物が見えてくる。
それは酷い悪臭を放っている何かの液体が満たされた、ブヨブヨとした肉で作られた水槽のようなものだった。
「これが消化槽……」
賢太郎は視界に浮かぶパソコン画面のような映像に出された項目を目で追って、目的の物の理解に努める。
高位存在が賢太郎に入れた知識はこの世界の人の一般的な常識、数ヶ国の言語と字の書き方。そして依頼を遂行するための特殊能力として《ダンジョンロード》としての力を授かったのであった。
ダンジョンロードとは特定の条件にあった閉鎖空間にいた場合、その閉鎖空間に干渉して様々な事が出来る能力である。
その力は多岐にわたり、こうして前任者のダンジョンロードが作った施設を再利用することも可能だった。
そしてダンジョンロードの力は地球生まれ日本育ちの賢太郎が解りやすいように高位存在に改良され、目の前に大型タブレットのディスプレイみたいな画面を表示して使うようにされており、その画面をタッチして目の前の消化槽に残された緊急用のエネルギーを使って再起動する。
消化槽の機能は大きく分けて三つ、分解・変換・供給である。
賢太郎は消化槽の分解機能を使い、消化槽内部にミッチリ入った何かの生物の成れの果てみたいな腐食物が暫くすると、内部の腐蝕物がゴボゴボと泡立って消化槽内部の腐食したあれやこれやがゆっくりと消化されていく。
暫くすれば消化槽に入っていた腐った何かは綺麗に消化され、淡くエメラルドグリーンに発光する液体だけが残っている。
そして画面には分解物から得たエネルギーが数値として現れた。
獲得したエネルギー量は多いのか少ないのかは初めてやったのでわからないが、ほぼゴミだったからあまり大した量ではないだろう。
続いて賢太郎は消化槽の隣にある施設にエネルギーを供給して再稼働させる。
現在この死んだダンジョンで残る施設は消化槽三つと、孵卵器というダンジョンで活動するモンスターを生み出す装置が一つだけ破壊されずに残っていた。
賢太郎は孵卵器を起動させると新たなディスプレイが目の前に現れる。
孵卵器にはスロットが設定されており、現在は生成可能なスロットが一つだけ解放された状態らしく、エネルギーを追加して孵卵器をレベルアップすれば新たにスロットが解放されていくようになっている。
モンスターはその強さによって生成する時の必要スロットに差異があり、強力なモンスターほど生成時に使うスロット数とエネルギーが多くなる。
1スロットなら最下級レベルのモンスターしか生成出来ないが、使うエネルギーも微量の為問題はない。
取り敢えず賢太郎は1スロットで生成出来るモンスターを選択すると。そのモンスターが生成されるまで待つことにした。
待つこと三分……今賢太郎の目の前に現実では見たことない謎生物が孵卵器から現れた。