表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

朱莉がやって来る

突然、同じクラスの女子、朱莉あかり邦裕くにひろ健人けんとの住むシェアハウスで、同居することになった。高校二年生の男子と女子が繰り広げる、日常生活の中に出現する謎が。

 高校二年生が始まった日、朱莉は突然、邦裕と健人の住む家にやって来た。

 邦裕と健人は、三宅さんの所有するシェアハウスに住んでいる。そこから高校に通っている。

 邦裕は小学校六年生の時、突然両親が死んでしまい、叔父に引き取られて、二人で暮らしていた。中二の時に、叔父が結婚することになり、ここに来た。

 健人は裕福な家で、何自由なく過ごしてきたが、モデル業と芝居に夢中になり、親と衝突して実家を離れ、ここで一人暮らしをしている。

 邦裕と健人は一緒に暮らして二年になる。大きな喧嘩もなく、仲良くやってきた。

 そこへ、突然、朱莉が加入することになった。


 三宅さんに連れられてやって来たのは、今日、同じクラスになったばかりの朱莉だった。

学年一の美人との評判で、しかも成績優秀、しっかり者ときている。

 邦裕は、なぜ、朱莉がここに来たのだろうと思った。お互い事情は詮索しないのが邦裕たちのルールなので、彼女に直接聞くことはしない。事情よりも大切なのは、うまく同居をやっていくことだ。健人とは同性同士だったからやって来れたが、一人っ子だった邦裕には、女子と暮らすのははじめてだ。健人は彼女がいるので、女子のことはよくわかっているのが頼りだ。

 こんなことは、後から思ったことで、朱莉が三宅さんとリビングに入って来たときには、邦裕は、驚いてしばらく思考が停止してしまった。

 朱莉は、邦裕を見るなり、大きな目をさらに見開いて、

「あら、海城くん、ここに住んでるの?」

信じられないという顔で口を開けている邦裕を眺める。

「今日からよろしくね」

そう言って白い歯を見せた。

邦裕の頭の中は現実感を失ったままだ。

三宅さんは、

「海城くん、今日からここで、一緒に住んでもらう、高島朱莉さん。仲良くしてあげてな」

その言葉に我に返る。

「もちろんです。僕たち、同じクラスなんです」

「そうか、それなら安心だ。健人くんにも、帰ったら、よろしく言っといてくれ」

「わかりました」

「部屋は二階の奥を使ってもらう」

「男子二人に女子が一人では、やりにくいかもしれんが、ゆずりあって気持ちよく暮らしてほしい」

三宅さんはそう言うと、朱莉を連れて二階へ行った。

 

 三宅さんが帰った後、リビングで邦裕と朱莉が話していると、健人が帰ってきた。

「こちらが長澤健人。僕らと同じ高二で、大阪の高校に行ってる」

「健人、今日からここで暮らすことになった高島朱莉さん。同級生なんよ」

邦裕が二人を紹介した。朱莉は健人を見るなり、大きな目をさらに見開いて、「カッコいい」とつぶやいた。邦裕はすかさず、「あかんよ、彼女がいてるから」と注意した。

健人は、「よろしく。仲良くやろうね」と言って、椅子に腰を下ろしながら、

「朱莉さんみたいにかわいい人は大歓迎」爽やかな笑顔を向けた。

「調子に乗って」邦裕が言うと、朱莉は満更でもない表情を浮かべている。


「ねえ、決まり事とかあるの?」

「自分の食器は自分で洗う、冷蔵庫に入れるものには名前を書く、洗濯物は自分で干して自分で入れる、トイレと風呂の掃除は順番で、共有スペース、リビングには、私物を置きっぱなしにしない、くらいかな」

「お金の貸し借り禁止もあるよ」健人が付け足す。

「そうそう、パンツはよく邦裕のを借りてるけどな」

「あれはやめてや」邦裕が突っ込むと、

「パンツは除外や」と健人が答える。

朱莉は笑顔でスルーする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ