第2章 記憶
僕は休日に散歩をしていた
季節はすっかり冬になっており辺りを見渡すと路地には灯りが照らされていてカップルたちが賑わっていた。
「カップルは嫌いだ」と呟く
少し歩き疲れたので、公園の片隅のベンチで休憩を取ることにした。
冷たい風が体温を奪っては枯れた『dead leaves』が靡いていた。
しばらくしてスマホをいじっているとニット帽を被った背筋の高い男性の金髪ロングがこちらへと近づく。
「そこの子ちょっといいかな?」
男は隣へのベンチへと座った。
「えっ、僕ですか?」
少し戸惑う僕の顔を見つめてくる。
「近くの喫茶店でお茶しない?」
と言うので僕は慌てて返事を返した
「いいですけど、僕に用事でも?」
「俺の悩み事を聴いてほしいんだ」
「悩み事ですか?見知らぬ人に?」
「俺と同じ雰囲気に感じたから声を掛けた」
「僕は反対します!」
強く怒鳴ると公園で散歩をしていた人達が僕のほうへと振り返った。
男は強い握力で僕の腕を鷲掴みをしてきた
手を振放そうとしたが男の強い握力振放せなかった。
男は「黙って俺についてこい」と言わんばかりに足早に歩いて僕を連れていく。
僕はその背筋の高い後ろを追いかけた。
店内に入ると煌々とした証明で馴染み客が参列して賑やかな薫りが漂っていた。
店員に席を案内されると客席にはドライフラワーが飾られていた。
初めて訪れた喫茶店だったが何故か既視感を覚えた。
「ご注文がお決まり次第お呼びください。」
店員が僕たちにそう伝えると、ゆっくり去っていった。
男が僕の顔を覗き込む。
「キミって右頬に傷があるよね」
そう呟くと男は僕の頬に触れる
緊迫感が店内に漂うと、僕は息を呑み込んでいた。
少し時間が経った頃男は被っていたニット帽を脱いだ。
そのニット帽は古い使いされたグラスグリーンで少し青みがかった色をしていた。
「幼少期の頃覚えていないか?」
「いいえ、記憶が中学からの記憶しか残っていなくて…」
「その右頬の傷のこともか?」
「右頬の傷は今まで、気にしたことなかったです」
僕の幼い頃の記憶は殆ど覚えていなかったし、思い出そうとはしていなかった。
外は雨混じりの雪が降っていて強い風が靡く
その風につられ店内は明滅としていた。
「やっぱり何も覚えていないんだね、夏輝」
突然、教えてもいないはずの名前を呼ばれた
戸惑いを隠せず右足が震えだす。
「俺の名前『須賀田 友一』でお前の苗字も『須賀田』じゃないか?」
「確かに僕の苗字は『須賀田』ですけど…」
そう返事をすると突然空間が歪みだす
その歪みは眩暈より激しく左右に揺さぶられていた。
目を覚ますと激しい頭痛と眩暈がする
そして毎日のように頭痛と吐き気が襲ってくる
その度に古い記憶が戻ってくるような感覚で死にたいと思うほどだった。
自分は逃げてばっかりな人生だと思うことがあった。
嫌なことがあっても自分に言い聞かせてその感情を押しこらえて逃げていた。