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長い夜が明けるように  作者: 紅椿
第一章 新しい世界と藍鼠
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颯爽とたす、助け……んん?

序盤三人称

後半カノ視点になります。

ピピピピピピッ


アラームが鳴り響く。


最低限の物だけが置かれた殺風景な部屋の片隅に置かれたベッドからのそりと一人の少年が起き上がった。


「……」


少し乱れた黒髪をかき上げると身支度を始めた。

その後、着替えを終えた彼は朝ご飯の準備を始めようとする。


その時、スマホに着信音が鳴った。


『もしもしー?』


スマホから鈴のような声が聞こえる、と同時に彼は今までの無表情が嘘のようにその雰囲気をふわりと柔らかくさせた。


「…おはよう、華蓮」


『もーおはようじゃないよ!もう10時だよ?何回も連絡したのに返信がないから電話かけちゃったよ!』


少女の言葉に一瞬固まって目覚まし時計に視線を向けた。


「…10時…いや、悪い。今起きた」


「もう!それより早くログインしてよ?始まりの町の広場ね!」


「あー、分かった」


プツリと通話が切れる。



少年は掴むように目覚まし時計を拾い上げる。


「………最悪だ」


目覚まし時計の針は7時半を指していた。








+++++++


私は広場の噴水の縁に座ってセンを待っていた。


…珍しいなぁセンが寝坊するなんて。


「ん? もしかしてカノちゃんじゃね?」


「え、マジで!カノちゃん? 何でこんなトコにいんの? ね、ねカノちゃんってほぼリアルモジュールって聞いたんだけどマジ?」


「……はぁ」


あーもう!最近はあんまりこういうのに会ってなかったのに。


開始間もないゲームとはいえ一応トップギルドと呼ばれるような所に属していることもあり、私のPNはそれなりに良く知られている。中には憧れを持ってくれている人もいるみたいで、それは純粋に嬉しいのだが....。

現実で言う芸能人に対する接し方に近いだろうか?中には有名プレイヤーであれば個人情報やプライベートに干渉していいと考えを持っている人もいる。運営からの規制もありだいぶ減少したが、探せば有名プレイヤーのスキルや一部の個人情報、その日の行動などを晒している掲示板なんかもあるだろう。


「えー、シカト?俺達ファンなんだよねーお茶しない?」


「すみません。でも人を待っているんです」


うーん。さっさと諦めてくれないかなぁ…?


「え、何ー友達?その友達も一緒でいいからさぁ」


「え、てか友達遅くね?カノちゃんのこと待たせるお友達のことなんて置いてって三人で遊ぼうぜ?」


唐突に男が私の腕を掴み、引っ張ろうとする。

急に引っ張られたため体制が崩れ、たたらを踏んだ。


「…きゃっ!」


「えー?何今の悲鳴、ちょーかわいいんだk」


ヒュッ


「…え?」


パァン


次の瞬間私の視界が赤く染まる。

それ(・・)が目の前の男がポリゴンとなり弾けたからなのだと解るのに5秒程掛かった。


「んん?」


今私の頭の上には沢山の?マークが飛んでいることだろう。

なにせ目の前の状況が理解出来て尚、何故このような状況になったのかが解らないのだから。


そんな私の視界に見慣れた黒髪が映る。他の通行人が興味深そうに、或いは私と同じく状況が把握出来ていないのか「え?」と言いたげな表情をして此方を見ている中、彼はまるで状況が見えてないかのように平然と歩いてくる。



「よ、カノ。遅くなって悪い」



二コリといつものように笑った彼の目が笑ってないように見えるのは何故だろか?


「……あー、うん。これからは遅れないでね?」





そう答えた私の顔は相当引き攣っていることだろう。



目覚まし時計が壊れる+カノを待たせる

でイライラしてた所に

+カノが絡まれる←NEW!

=ニッコリ(目が笑ってない)



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