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長い夜が明けるように  作者: 紅椿
第一章 新しい世界と藍鼠
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草原に行こう!

「...案外プレイヤーは見当たらないな」


第一フィールドである始まりの町と迷いの森の間はザ・平原って感じ。一面草で岩がポツポツあって遮蔽物はそこそこ、街中にはプレイヤーが数多く居たにも関わらず草原はほとんどプレイヤーは遠目に一組見える程度。草原がだだっ広いのもあるだろうが想定していたよりも人気(ひとけ)はない。


「よーし!じゃあ今日はそこらの雑魚とでも戦闘しますか!」


「おー」


戦闘か…このゲーム内でスライム以外とはまだ戦ってないから楽しみだな。しかし問題はモンスターの強さだ。VRの感覚にも馴染んだし、雑魚くらいならいけるか?どちらにせよカノが居るから死にはしないだろうが。プレイヤー一般で言う雑魚とスライムはどの位差があるのかが気になるところだ。


「カノ、お前の言う雑魚は初心者でも余裕なのか?」


「えーっと…うん!多分大丈夫!」


「なるほど…じゃあ俺が死にそうな時以外は手を出さないでくれるか?」


「おっけーだよ!」


確か此処はゴブリンと狼系統が出る…だったか。

あたりを注意深く見渡して気配を探る。


…早速ゴブリン発見だ。


2メートル程先の岩の影にゴブリンの足が見え隠れしている。…気配的には一、いや二匹か?現実よりの感覚が鋭いゲーム内限定だが生き物の気配を探るのは得意だ。もっともスライムである程度慣らしたと思っていたが一年分のブランクを感じる。やはりゆっくり慣れてくしかないか。




「…先ずは…」


石を投げてゴブリンを岩陰から出す。そんで一匹目が出てきた瞬間首を貫く。続けて出てきた二匹目も頭を貫いてポリゴンに変えた。


「…よし」


……この弓、魔力を矢に変えられるのは便利だな、ほぼタイムラグ無しで連射できる。



「案外大丈夫そうだな...ん?カノ、どうした?」


「え? いやいや何でもないよー……」


「そうか?」



「いやぁ…思ったより余裕?あーそういえば千夜ってVRMMOやってたことあるんだっけ…?」


成程、花蓮には俺が以前VRゲームをプレイしていたことについてあまり詳しく話したことはなかったかもしれない。VRMMO初心者だと思っていた相手が思っていたより戦い慣れていたら驚くだろう。先ほどスライムの件で過剰反応していたのも頷ける。


「…これならフィールドボスもいけるね!」


……ん?


「フィールドボス?」


カノは思考が纏まったのか此方に向き直り食い気味に話し始める。


「セン!明日、暇?フィールドボスに挑戦するよ!ゴブリンだと余裕みたいだし、ステータスがちょっと不安だけど私もいるから!それに次のフィールドに行けないのは不便だしね!」


この口ぶりだとフィールドボスはそんなに強くないのか?ということは殆どのプレイヤーはもうファーストのフィールドボスを倒している?…その割には始まりの町にプレイヤーが多かった気もするが。…多少の不安はあるがデメリットも殆ど無いしな…。


「ああ、了解」


「ほんと⁉あ、センは今日何時まで遊べる?なんか用事ある?」


「用事?いや特に……いや、そうだお前今日家族と外食行くって言ってたじゃねーか!」


「あ、」


「馬鹿!」


「わぁ‼忘れてたー⁉どーしよ準備全然してないよ!」


「ほら、さっさと町の宿に戻ってログアウトしてこい!おじさんとおばさん待たせちゃ悪いだろ!」


「わわわ、ごめーん!あ、また明日ねー!」


「ああ、また明日」


慌ただしく走っていくカノに向かって手を振る。カノの姿が町の方へと消えるのを確認すると俺はグンと伸びをした。


本当はこのままカノに色々案内してもらおうと考えていたんだが…。

どうするか……今日は時間があるしな、用事もない。


「……さて、と」


今のところ戦闘に問題はないようだ。カノも問題無いと言っていたが、フィールドボスに挑むならば流石にレベルはもう少し上げておいたほうがいいだろう。足を引っ張るわけにはいかないしな…。


弓を装備解除し、初期装備の短剣を腰から抜く。


「レベリングといくか」


取り合えず一番近い敵の気配にむかって踏み込む。…回り込んでもいいが直前まで気付かれたくないな……よし、上から行こう。


地面に頭を向けるように跳躍する。岩の向こう側に潜んでいた一匹のゴブリンと目が合った。


「ふっ」


『ギャッ』


刹那、ゴブリン達の首は切り落としポリゴンに変える。そのまま宙返りするようにくるりと空中で回り、地面に着地。


弓でもいいがゴブリンは岩の隠れていることが多いから少々効率が悪い。

ああ、短剣も買っておいた方が良かったか?まぁ、今のところは問題ないか。

……それにしてもポリゴンが消えないのはウザいな。


短剣に付いたポリゴンを飛ばしながらもそんなことを考える。


「んー」


レベルはどの位に上げればいいのだろうか?カノのレベルくらい聞いておけば良かったな…。















「…もうこの辺りにモンスターは居ないな…レベルもまあまあ上がったし、そろそろログアウトするか…?」


確認していたステータスを閉じるとセンは町の方へ歩き出す。





町に入った時、彼はふとカノとの会話を思い出した。


「そういえば明日の待ち合わせ時間を確認し忘れたな…」


その時のカノの様子を思い出したのか彼その雰囲気を柔らかくさせた。

VRゲームにあまり良い思い出はないものの花蓮とプレイすることを彼なりに楽しみにしていたのである。


「…だが、モンスターは意外と弱かったな。あの分ではカノの手助けは要らなそうだった…フィールドボスというからには今日の雑魚よりは強いのだろうが…」


愛想笑いとは違う、確かな甘さを含んだ笑みに彼のことを眺めていた女性プレイヤーが色めき立つ。

しかし彼はそんなことには気付かない。




「まぁ、精々期待しておこうかな……な?華蓮」



彼は唯々彼の唯一(華蓮)に思いを馳せる。



主人公のステータスですが、暫くは出さずに折を見てから後書きにでも出そうかなーという感じです。



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