散策
真っ白な空間、其処に浮かぶ【ユーザーネーム・パスワード】の文字。
俺はユーザー名とパスワードを入力すると【ログイン】を押した__
「…さーて、迷いの森。散策しますかー」
足音が大きくならないよう、落ち葉や枯れ木を出来る限り避けつつ歩く。
一昨日は気付かなかったが中々に幻想的だな…
森の中は薄暗いのだが、所々木漏れ日が漏れており視界を照らしている。現実には無いような形の植物があるのも美しさに拍車をかけているのだろう。
…巨大な虫型モンスターが徘徊していなければの話だが。
俺の立っている位置から3メートル先の上空に巨大な蜂が三匹ほど飛んでいる。見たところ蜜蜂モドキっぽいな…向こうも俺に気付いているのだがどうやら此方から危害を加えない限り攻撃してこないみたいだ。
第二フィールドに入って初めて見るモンスターだ。やはり第一フィールドに比べてモンスターが強いらしいので慎重にいかないとな……
まあ、気になるので攻撃してみるが。
「【緋風】」
弓で取り合えず一匹攻撃、装備を短剣に切り替えてっと。わ、全部来た。
「頭、腹、針。装甲が薄いのは……」
針で刺さんと近づいて来たところを短剣で攻撃しつつ急所を探る。
「…うん…二匹いらないな」
二匹、腹を掻っ捌いて針を分離する。二匹共まだ生きてはいるようだが攻撃出来ないので放置。
残りの一匹は残しておいて観察する。
「…攻撃手段が針しか無いのはどうなんだ?それとも相当針の威力が高いのか?いや、短剣で捌いている感じ威力は第一フィールドのに比べて高いが特筆するほどではない。毒があるのは分かるが針に触れた時点でアウトか?いや、切り落とした時に少し肌に触れたが問題無い。じゃあ何だ?…………ああ、成程」
HPを削りきってポリゴンに変えた。後ろでのたうち回っていた二匹も止めを刺してポリゴンに変換する。
「……数か」
上空から羽音が聞こえてくる。それは蜂が一匹や二匹でのものでは無く、何十匹もの集団のものだ。
「うっわぁ」
やっぱり攻撃したのは早計だったかな?…まあ、何度やっても同じ選択をするだろうが。
というか何時連絡したんだよ…。それにしても同じものが集合してるのって気持ち悪いよなぁ…。
「って、やばっ」
は。というかこれ、どうしろと?回避に専念すれば全然避けれる。しかしこれを避けつつ殲滅となるときついなぁ。HPを削りきる余裕がないので針を分離、…いや、それより羽を切って飛べないようにする方が良いか。飛ばれるのはかなりうざいからな。
…うわっ今掠った!
「まあ、頑張るしかない ん…だ が…‼」
取り合えず六匹程沈めたが………いやー、先が長い…。
第3フィールド散策開始5分で中々の試練、蜂に苦手意識がないのだけが救いだな...