鬱イベント ①
さて、今日は一年に一回ある鬱イベントの日だ。昨日はカノの誘いを泣く泣く断ったが、正直二つ返事で了承したかった。
簡単に言うと親族の所に生存報告をしに行く予定があったのだ。一応二か月に一回メール等を送るようにしてはいるのだが、せめて一年に一回は直接合いに来いとかで。正直それを聞いたときは今すぐ顔面に蹴り入れてやりたいような気分になった。勿論実際蹴ってはいないが……。
……ああ、ついでに言っておくと一年に一回直接生存報告をしなければいけない理由は「一応生きているかぐらいは把握しておかないと俺が何かに巻き込まれたときに面倒くさくなるから」らしい。
「……はあぁぁぁ」
今俺は母方の叔父の家の前に立っている。このまま自宅に帰りたい衝動を抑えつつ呼び鈴を鳴らす。五秒後くらいにガチャリと鍵が開く音がし、すぐにドアが開く。
「はーい?」
「…旭千夜です。」
今にも蛆虫でも見るかのような視線を向けそうになるが、無理やり表情金を動かし仮面をする。
「…ああ、なんだ」
さっきまで余所行きの声だったのが俺の顔を見た瞬間煩わしそうなのを隠しもせず落胆にも似た声をだす。
「お久しぶりです。菫さん」
因みに此奴は三森菫といって血縁上俺の叔母に当たる。
「……で?何も問題起こしてないでしょうね?」
「はい」
「…チッ…まあ、ならいいわ。アンタが問題起こすとこっちに迷惑がかかるの。精々私達に迷惑掛からないようにしなさいよ」
「ええ、気を付けます」
「はぁー…ホント気持ち悪い」
これ見よがしに俺を嫌がる素振りを見せる。
「……あ、もう良いわよ。貴方といると気分悪くなるのよね。さっさと帰って頂戴」
....呼び出したのはそっちだろうに
「失礼します」
バタンと音を立ててドアが閉まる。
「…」
はぁ、やっと一つ目のイベントを消化した。とはいえ今日は比較的平和に終わった。五分以内で終わったところが高評価だ。達也さんが出てくるともっと酷くなる。菫さんが猿のようにキーキー五月蠅くなるし、叔父はネチネチねちねち、あれはあれで五月蠅い。
この何よりも価値のない1分だけのためにバスでそこそこかかる距離を来たのかと思うと気が滅入るな....
……まあ、まだ今日の用事は2つ残っている。まだ気を抜くには早いだろう。