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魔界焔邪のフレイムバレット  作者: 西瓜餃子
魔界クリメイテッド編
7/7

6話 続、アイサツ

 「オレはなぁ。全ての魔界をブっ潰すために、ここに来たッーー!!」


 ーーそのヒイトの言葉に、周りは唖然。


 「まずは魔王シュラウド、奴を叩いて魔界クリメイテッドを潰す。ーー他の魔界もあンだろ、それはここより小せえみてぇだし、ここ片付けてからヤってやるよッ!」

 「そしてその後は、あたしの旦那になるんだもんねっ♡」

 リリリが背後から、ひょこっと顎を出しヒイトの肩に乗せる。


 一声を発したのはバヤガだった。

 「アッハハハハッ!……馬鹿は休み休み言いな、そんなこと貴様だけでやれるのかい」


 成功する可能性めっちゃあるもんねー!っとリリリはバヤガに舌を突き出した。

 「オレには天界からのVIPな援助付きさぁ……ババァ、テメェなんかいつでもやれるんだ。今死ぬか後で死ぬかは、よーく考えて選びな!」

 ヒイトは立てた親指を下げて、自信満々に言い放つが、そんなことより、周りは天界というキーワードから動揺を隠せず、何を彷彿してたのか、これはおおごと(めっちゃ大事件!)とだけは各々感じ取ることはできていた。


 バヤガは、ヒイトから取り上げているディディーヴァ(短機関銃)を思い返した。

 (あながち、嘘でもハッタリでもないな……)


 「(ホント威勢だけは良いな、そこは認めるよ)……その言葉、そのまま返すぞーー」


 ーー?!

 途端、ヒイトは高く飛び上がった。

 ヒイトの両足からは、炎が噴射している。その力で空中に飛翔したのだろう。


 「待ってヒイト!」

 リリリの言葉は届かず、バヤガに向かってヒイトは吹っ飛んで行った。

 バヤガから発せられた殺気、狂気が混じる邪気から、本能的にヒイトは先制攻撃に出てしまったのだ。

 

 勢いが乗った拳を、バヤガの目先まで届ける。

 その状況でも微動だにしないバヤガは、頬杖をついたままニタリと笑った。

 

 バジジィンッ!!

 

 その瞬間、ヒイトの拳は蹴り上げられた。

 (――ん!?)

 

 突如目の前に現れたのは、右足を振り上げている身体中に電気を帯びた何者かだった。

 何者は、そのまま強引に回転させた左足をヒイトに向けて振るう。

 咄嗟に受け身を取ったヒイトは、その攻撃を受けて後方まで返されてしまった。


 ジジジッ!

 (クッーー!痺れやがる!!)


 ヒイトは覚束無(おぼつかな)い着地のまま、蹴りを入れた主を見上げた。その者は詰襟の学生服を乱して着ており、そのサラッとおろした金髪の青年は、雰囲気はその辺の悪魔と違く、もはや人間そのものだった。

 「オイっ!なんで誰も動かねーんだっ!(……コイツ(バヤガファミリー)ら、俺を試しやがったな)」

 そう言いながら金髪の青年は、再度ヒイトへ目を向ける。


 「(バヤガ様、ベルゼが寄越してきた用心棒、確かですな)」

 シイレの話を耳元で受け、バヤガは立ち上がりながら答える。

 「(ただの監視役かと思ってたが、使えそうだ)……カネダ、良くやったぞ。そのままアレを獲れてくれないかのぅ……」


 金髪青年ことカネダは、それを聞いて顔がゲッとなった。

 「俺はあくまで護衛で来てるんだ。なんで余計な事までやんなきゃいけねーンダよぉっ!」


 一方で、それまでぶっ潰れていたドウムの意識が戻った。

 「……どう言う状況だ」

 「ドウムさん!起きましたか!幹部含め組全員揃ったもののですね……」

 そう言い、オービはリリリとヒイトの方へ目線を向ける。

 リリリはヒイトに駆け寄っていら様子だ。

 

 ヒイトは電撃を受けた身体の回復を待たずに、早々と態勢を立て直す。

 「リリリ、デカイの一発撃つぞ……!」

 「待って!!…あそこにいるツルツル頭、あれ攫って逃げるよ!」

 リリリの目先の相手は、そう、ジャノであった。


 ーー?

 見られてる気がすると感じたジャノは、何か不穏な予感がした。


 「あの人たち、こっち見てません…?」

 ルサルサも嫌な予感を察したのか、ムラサメの背後に隠れ始めた。

 

 ……?!

 すると、ヒイトから放たれた炎弾がこちらに向かってきているではないか。


 (そうかっ――!)

 ムラサメは脳裏に過った閃きと共に、脇にルサルサを、肩にはジャノを担いで咄嗟に回避行動に移る。そのまま、もと来た道へと振り返り走り出した。


 ズバァァん!!


 先程のムラサメ達の位置より、手前で着弾した紅弾によって、付近にいた悪魔達は爆発に巻き込まれた。


 ヒイトとリリリは炎弾発射と同時に、向こうでジャノ(ルサルサも)を担ぎ走り出したムラサメを目で捕らえ、それを目指して即座に走り出していた。

 (クソっ!逃げられるか!?)

 (さっきの奴、組員の新入り?!)

 ヒイト達が、目標の入り口にまで到着した頃。背後から気配を察知した。

 バヤガがレーキ(T字型の鉄製の熊手)に跨がり、高速で近づいて来ている。また、それを追うよに必死にカネダも向かってきていた。


 ーー赤面の岩原は止まず、どこまでも続いている。ムラサメは、先程までの通路を抜け外に出ている。そう、全力疾走でジャノの洞窟部屋に向かっているのだ。


 「聞いておるのか!早くワシを降ろせえい!!」

 ジャノの言葉に耳を貸さず、足を止めることなく走り続けた。


 ドバァン!!


 近くの瓦礫が弾け、無数の破片がムラサメ達を襲った。

 「キャー!」

 「あぶなぁあい!!」

 (ーー!!)

 ムラサメは無言のまま破片を避け切って、地面を削りながら急ブレーキをかける。そのまま広報を振り向くと、ヒイトとリリリが目前まで迫ってきていた。

 ただの追いかけっこにしては疲れている様子なので、どうやら、更に後ろから追ってきているバヤガと交戦しながら、ここまで来た様だ。


 「ちょっとー!そこのツルツル頭、こっちによこしなさーい!!」

 

 ムラサメはリリリの言葉を耳にしながら、ジャノとルサルサを降ろした。

 「私が貴方達を解放しますっ……!」

 ジャノが何か言おうとしていたが、それを無視して、そのままヒイトとリリリの方へ言葉を放った。

 「そこの御二方、私と手を組みませんか!!」


 「なーにいっ」

 「リリリ、待て」

 ヒイトはリリリを制し、ムラサメの話を聞いた。

 「あなた方の狙いは、こちらの彼を使ってバヤガを脅迫するおつもりだったのでは?」

 ムラサメはジャノに手を差しながら説明をした。

 「私も、あの組織を崩したい……手立てはあります!どうでしょう?」


 『ーー何やら楽しそうね』

 ーー!!!!

 彼らの上空にもうバヤガが到着していた。バヤガから発生られる邪気から、周りの空気や地面が振動している。


 「細かい話は後だ!さっさとオッぱじめようぜっ!!」

 全身に浴びた邪気を感じつつ、ヒイトはバヤガの方に向いて改めて戦闘態勢に入った。


 ビォン、ビュゥゥウン!!

 その途端、肌が裂けるほど冷たい暴風が、急に吹き出した。これが噂のバヤガが操る冷気なのか。辺りの地面の砂が豪快に飛び散り、各々好き放題な驚きの台詞を吐きながら、この暴風を防ぐため腕で顔や身体を隠し防御している。


 一方、遅れて到着したカネダは、その様子を見て肩の力が抜けた。

 「オレ、いらねんじゃねーの……」


 「流石にまだイケるわよね?」

 バヤガが腕を振るうと、冷気の威力は更に上がった。

 どうやらヒイトに狙いを絞り、威力を上げた様だ。顔を隠していた腕を始め、身体のあちこちに無数に傷ができ、その傷の深さも次第に増してっていった。

 (身体がどんどん削れていく……こんな広範囲の中を下手に動いても魔力が消耗していくだけだ…!イチかバチか、魔紅南無(マグナム)を放って冷気を吹き飛ばすか?!)


 「――恨むなよ!」

 ムラサメは、バヤガの方角へ掌を伸ばした。目がカッと見開いた瞬間、この言葉と同時に異変は起きた。

 「アァイアン…メイデンッ!!」


 コンマ数秒、バヤガを360度取り囲む様に、周辺には無数の鉄塊が現れた。

 

 ーーズシャァア!!!


 それに気づいた時には、既にバヤガの身体中にその鉄塊が突き刺さっていた。


 『今のうちに!!』

 唐突な出来事に頭の整理が追いつかず固まってしまったが、一同はムラサメの声にハッと目が覚め、再び動き出した。

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