プロローグ
ああ、そうか。僕は最初から地獄にいたんだ。
僕が住む町は元から地獄だったんだ。きっと町のみんなが”神様”の言うことに逆らったから、ここは地獄になったんだよ。
いきなりインターネットも電話も繋がらなくなった。隣町もそうだって叔父さんは言ってた。
みんな好き勝手泥棒してさ、どさくさに紛れて僕も沢山盗んだよ。
ひとん家勝手に入って食いもん食ったし、僕ん家も食われた。
母さんの手伝いサボってラディンとサッカーしに行ったり、メフリの背中に虫入れてやった。
全部ダメだったんだよ。みんな気づかないフリしてんだよ。
ある日、他の国の人が僕の国を町を攻撃してきた。町がめちゃめちゃになって大勢死んだ。これが戦争ってやつなのか。
叔父さんに銃を持てって言われた時、僕が言うとこ聞かなかったからかな。
その日はもっともっと”敵”が攻めてきて沢山壊された。僕の家の近くまでやってきたよ。
気づけば僕らは銃を持って走ってたんだ。ラディンや他の友達、そいつらの弟や従兄弟と一緒に走って戦ったてたんだ。
目の前で友達が撃たれたり、轢かれたり、吹っ飛んだり。もうわけわかんないよ。
血なのか汗なのか涙なのか、全部ごちゃ混ぜ。
目がちゃんと開かない。ただ逃げるしか出来ない。
父さんはどこいったんだよ。どんどんみんな死んでくんだよ。“神様”はちゃん見てるのかよ。そんな悪いことしたのかよ僕たちは。なんで銃持ってんだよ。サッカーしてえよ。もう帰ろうよ。
ーー家に帰ると、母さんも妹も、そしてメフリも死んでた。
『悪いことは、ぜーんぶ悪魔さんのせいなのよ』
『はぁ?なんだそれ、悪いことはそいつがやったんだからそいつのせいじゃねのかよ』
『そうだけど、違うよ!……悪魔さんは私たち人間に唆すしてくるのよ、悪いことするように』
『なんだよそれ。唆してどーすんだよ。』
『私達の悲しみや憎しみ怒りとかのね、感情をゴハンにしてるのよ悪魔さん達は。だからこの戦争が起きたのも、ぜーんぶ!ハラぺこな悪魔さんのせいなの』
『じゃあ戦ってても、悪魔倒さなきゃダメじゃんかよメフリー』
『そう、だからみんなで倒そうよ悪魔さん!魔界に行こ、魔界に行けば会えるの。倒しに行くのよ!ラディンとさ、3人ならできるよ!』
『魔界?どこにあンだよそんなとこ、行き方わかんねーよ』
『エイダン、見てこれ。この本に書いてある、契約の仕方。……私達でやるのよ、エイダン……』
ーーーー。
「エイダン、エイダン!しっかりしろ!ここも危ない、逃げるぞぉ!」
「ーーラディン……メフリが…メフリが。………メフリがぁあアァァァァアア゛!!!!」
「エイダンッ!!ーーな゛い゛てるばぁじゃ……ない゛ンだよ……エイダ」
ドドバババラララララララッ!
ドババララララララッ!
ーーおい、誰か、誰かよ。誰でもいーよ。全部ブっ壊してくれよ。あいつら全員ブっ殺してくれよ。
ホントに”神様”なんていんのかよ。僕らを守ってくれる天使なんてホントにいんのかよぉ!!
悪いことしたからなのか、これが罰だってんのか?
メフリが言うさ悪魔のせいだってんなら、悪魔もよ、魔界ってのもよ、まとめて全部ブっ潰してくれよ。
誰か頼むよ、何もかもチリになるまで燃やし尽くしてくれよ……――。
『ーーよぉ、人間……?、おいおい、オレ様の初契約、まさかガキとやるとはねぇ……まぁ手始めには丁度いいか。ーーおし、じゃあ始めるかっ!』