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少し怖くて、ビックとする続話  作者: 檜尾 眞司
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〜漫画家になれたかも〜

夢が破れた時の絶望感は計り知れない!

だが、それを支えてくれる誰かがいるだけで救われる。

それは、誰しも居るはずである。

決して命を絶ってはいけない!


証はだれにもある、生きた証がある。

それを伝える誰かがいる。


〜漫画家になれたかも〜


 俺が31歳になった時、電話の留守電にあるメッセージが入っていた。

「○○さんのお宅でしょうか、私は○○出版の脇坂と申します、今回投稿頂きました作品が受賞致しましたのでご連絡を致しました、またご連絡を頂けますでしょうか!」


 それは、まさに奇跡的な出来事で人生最大の喜びであった!


 漫画家のアシスタントをしながら、漫画の投稿をし続けていた私にとっては人生最高の時を迎えていた。


 結婚し、子供も出来ていたが収入が安定せず嫁には苦労を掛けていた時に沸いた出来事であった。

 俺と嫁は抱き合って喜んだ。


 数日後、受賞式に東京へと向かい大都会で信じられない最高潮の時を迎えていた。

 今でも、泊めてもらったホテルの窓から見た大都会の景色は忘れる事はない。


 こんな経験は、なかなか味わえない事ではある。

 

 しかし、それからは担当ともいろいろ試行錯誤し作品に励んだが、良い返事が貰えず時が過ぎていった。


 夢が破れた瞬間でもある。


 夢を追う事は並大抵では無く、破れた瞬間は絶望となる。


 それから、25年が経つがその感覚が忘れられず夢を見てしまう。

 だか、時代には追いつけなくなり絵柄は古くさく、物語も時代遅れになっている。


 その事が分かった瞬間、(はかな)いものとなってしまう。


 あの時、少しの才能と運があれば漫画家になれたかも知れない。


 だが、嫁は未だに子供達に言う!


「お父さんは凄いのよ、漫画の賞を取って東京に行ったのよ」

 子供達に自慢げに言っている。


 だが、大きくなった子供達は冷ややかである。


 しかし、この世の中で漫画の賞を受賞した人がどれだけいるのか、周りにそんな人に出逢った人はどれだけいるの…!

 嫁は口癖の様に俺を応援してくれる。


「子供達もいつか、あなたの事がわかる日が来るから!」


 夢を追うとは残酷で時として恐ろしいものである。

 夢破れ命を絶つ者もいる。



 だが、嫁のその言葉は俺の生きた証となっている。


 


 

生きていれば、必ず証は残るはず!

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