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少し怖くて、ビックとする続話  作者: 檜尾 眞司
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子犬はどこに!

幼いから知らずにいた事が、ある日分かった時は聞かなければ良かったと後悔する。

そをな物語である!

〜子供の頃に犬を拾ってきた〜


 かなり昔の話になる。 

 それは、私が小学校1年の時だ。

 母は離婚し生活が苦しかったのか、祖母の家に間借りする事になった。

 借りた部屋は母屋、今で言うと1階が倉庫で2階に部屋らしき物がありそこで生活をする事になった。

 その辺りはかなりの田舎で、小学校に通うのも徒歩で30分は掛かって登校していた。

 田舎なので小学校も2クラスしか無く、それも下級生生クラスと上級生クラスに分かれていた。

 下級生は1年から3年、上級生は4年から6年である。

 もちろん私は下級生クラス、全校生徒は20人程だった。

 帰り道はいつも寄り道ばかりで、真っ直ぐに帰った事はなかった。

 だが、親が怒ったり心配する事も滅多になかった。時代もあるが、田んぼや畑には近所のおじさんやおばさんが必ず居て声を掛けてくれるから心配はしないのだ!

 ある日、学校の帰り道に電柱のたもとに段ボールが置いてあるのを発見した。

 いつも一緒に帰る和ちゃんと見つけたのだ。

 「和ちゃんあの段ボールなんだろう?」

 私が問いかけると、すぐに和ちゃんが掛けよった。

 「なんか、動いてる......?」和ちゃんは少しビックリして後退りをした。

 「なにが入ってるやろ!」

 和ちゃんと私は恐る恐る段ボールを開けてみた。 「子犬がはいてる!」和ちゃんが叫んだ!

 「ほんとうや、子犬や可愛いな〜!」私は段ボールから子犬を抱き抱えていた。

 「どうするんや!」和ちゃんが言った。

 「連れて帰る」私はなにも考えず犬を連れて帰ろうとしていた。

「飼えるんか?」和ちゃんが心配そうにいった。

 「大丈夫やろ、お母ちゃんもええ言うとおもうけん!」本当に何も考えてなかった。

 

 家に帰ると母が「犬なんかあかんじゃろ、もどしておいで」と怒り気味に言った。

 「外でかうけん、お母ちゃんいいじゃろ!」

 お母ちゃんは少し諦めたのか「はよ、外に連れて行って!」しぶしぶだったが、紐にむすんで母屋の外にくくりつけた。

 「なまえは、コロや」なまえを付けてご飯をすこしあげた。

 そして、気にはなるが母屋の2階に上がっていった。


 翌日、コロが居なくなっていた。

 今日は日曜日で学校はお休みなので、一目散に飛び出しコロを探しにいった。

 いろいろと探し、溜池の近くでコロを見つけ私はホッとしまた連れ帰った。

 お母ちゃんは何故かコロには関わろうとはしなかった。

 私はもっと頑丈なロープ逃げないようにした。

 子犬なのかは分からないが、コロはあまり吠えなかった。

 「だいじょうぶだから!」コロを安心させようと頭をなでた。

 しかし、翌日もコロは居なくなっていた。

 今日は学校があるから、早めに家を出てコロを探しにいった。

 幸いにも、学校の近くのあの段ボールの中にいたのだ。私はそーっと家に帰りコロを母屋の1階に隠して学校に向かった。

 学校が終わり家に向かおうとした時、かっちゃんが声をかけてきた。

 「あの犬どうした?」

 「あれな、コロて言うんだけどいつも居なくなるんよ! 今は家の母屋に居てる」

 「ふーん、そうなんか......!」

 「ごめん、コロ心配だから帰るね!」

 私は走って家に帰った。

 母屋に入るとコロは段ボールの中に居なかった。 「コロ!」そして私は泣きながらコロを探しにいったが、今度は本当に見つからなかった。


 家に着き、お母ちゃんに覆い被さり泣いた!

 お母ちゃんは「仕方ないやろ!」と言いあたまを撫でくれた。

 翌年、お母ちゃんの仕事のめどか立ったようでまた引っ越すこととなりその母屋を後にした。

 今度はアパートなので犬など飼える訳もなく、コロの事も忘れてしまった。

 

 10数年が経ち私が中学になった頃、田舎の祖母が亡くなった。

 久しぶりに田舎に行く事になった。

 葬儀も終わり、悲しさはあったが滞りなく済んでホッとしていた。

 母の実家は兄弟が多くかなりの人が集まっていた。

 祖父も亡くなっていた為、長男が実家を継ぐのだそうだ。田舎はそれが当たり前である。

 その夜、外に出ると隣の母屋もそのまま残っていて懐かしさが込み上げていた。

 そういえば、コロが居たな。

 どうなたんだろうと思いだしていた。


 数日後、家に戻ってお母ちゃんにコロの事を聞いてみた。

 「お母ちゃん、田舎の母屋に住んでた時コロって言う犬連れてきたやろ、直ぐ居なくなる犬やったけど」

 「ああ、あの犬か、あれはあの長男が捨てに行ってたんや!」

 「えっ?」

 「おまえ毎回連れ戻してきてたやろ、迷惑や言うて最後は保健所に連れていったわ!」

 「知らんかったんかいな!」

 「.....!」

 衝撃的な告白だった。

 だからか、お母ちゃんがコロに関わろうとはしなかったのは!

 長男にかなり言われたようだ。

 「ここにすみたかったら、分かっているだろ」っと!


 あの頃の私は何も知らず、今となっては人間の怖さを知った。

 知らなくても良い事があるのだと悟ってしまう出来事だった。



 

久しぶりに投稿しました。

読んで頂きありがとうございます。

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