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少し怖くて、ビックとする続話  作者: 檜尾 眞司
14/18

〜タクシーにて〜

目に見えている事が真実であるとは限らない。

誰にでも秘密がある。

きっと、あなたにも!


〜タクシーにて〜


 いつも同じ場所、同じ時間に親子を乗せる。

 そこはある大きな工場で母親が働いている職場である。



 敷地内には託児所もあり、いつも男の子と一緒に乗り合わせて帰えるのである。

 工場は少し山間合いにあり車を持たない人には不便な場所であった。


 母親は30代半ばで髪が長く、うつむき加減でいるためか暗い感じで余り話はしてこなかった

 わたしも話し掛けない様に心掛けていたのである。

 その為かいつもわたしのタクシーを指名してくれていた様だ。



 帰り道にいつも寄るところがある。


 途中の住宅街で停車し「少し待っていてください」と言って10分位待機をするのが日課になっていた。

 


 不思議なのはいつも子供を置いて行くのだ。

 最初は無責任な…とも思っていたが!

 

 母親が出て行くと男の子はわたしに話しかけてくるのも日課になっていた。

「おじちゃん、きょうブランコであそんだよすごくたのし〜の」

「へえ、楽しかったか!」

「みっちゃんがブランコからおちて、ないたんだよ!」

「それは大変だったな〜」

「ボクがたすけてあげたの!」

「ほ〜偉かったな!」

 男の子の子はキャッキャと笑っている。


 男の子は母親といる時には一言も喋らず、母親が居なくなると喋りだす。

 何か気を遣っている感じがしていた。

 母親が戻ると男の子は静かになり、おとなしく座っている。


 他人の家庭には余計な詮索をしないのが礼儀である。

 


 そんな送りが続き1年が過ぎた。

 

 雨の日となっていた。

 いつもと同じ場所、同じ時間に待機をしていた。

 今日は様子が少し違っていた。

 母親が一人で乗り込んで男の子の姿が居ないのである。


 わたしは今まで母親に声をかける事はしなかったがこればかりは聞かずにはおれなかった。


「あのーお客様、今日は子供さんは?


「何の事でしょう?」

 母親は少し不機嫌な感じだ。

 しかし、この1年ずーっと乗せてきたので男の子には思い入れもあった為か、母親の態度に少し腹立ちを感じてしまった。


「いえ、いつも一緒にお帰りになる男の子はどうされたのかなと思いまして!」


「えっ!」

 母親はわたしの言葉に、みるみる顔が青ざめていった。


「わたしはいつも一人です、子供などいません!」

「ですが……」

 わたしは声も出ず、車を走らせていた。



 あれから、あの女性から依頼は来る事はなかった。

 

 後日知ったのですが、いつも途中で待機していた場所の近くに花やお菓子などか供えられた場所があったそうです。

 偶然かもしれませんが!


 

 


 

 

 

久しぶりにありがとうございました。

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