表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
味見好きメイドは勇者サマ!  作者: モスコビウム
3/24

転生

目が覚めた。


ここは?

あたりを見まわす。


人が3人寝られるくらいの、狭い洋室。

その中央にあるベッドの中で、私は今まで寝ていたみたいだ。

見覚えがない部屋。

ここ、どこ?

さっきまで、女の人と会話をしていた気がする。

ええと確か、名前は…「ライル」。


そうだ、私、転生したんだった。


えっと、まず、状況を整理しよう。

私の前世を思い出してみる。

ええと、学生だった。年齢は、思い出せない。

一人暮らしじゃない、家族がいた。

お父さんとお母さんと弟と家に住んでいた、はずだ。

名前は…思い出せない。


ガチャリ


ドアが開く。

17歳くらいの男の人が部屋に入ってきた。

グレーのセーターと茶色のズボンという格好だ。


「起きたのかい?ロテル」


ロテル?ロテルって、誰?

男の人は笑顔で私に近づいてくる。

「誰ですか」

私がそう言うと、男の人の笑顔がぴきっと固まった。

「ろ、ロテル、まさか、覚えていないのか?兄さんだよ、兄さんのヤルフだ よ。」

あー。お兄さんか。

「ええと、ロテルの事も説明しよう。

 ロテル・メフィリア。それが君の名前だよ、ロテル。

 ロテルは今十才。

 一昨日の夜に眠ってからずっと目を覚まさなかったんだ。」

十才?てことは、私って元々この世界にいた人になってる?

でも、その元いたロテルさんはどこに行っちゃったんだろう。


【うふ、起きたのね。】


あ、ライル!

頭の中に声が響いた。

この今の私って、どういう状況?

あと、なんでライルと話せるの?


【えっとね、もともといた「ロテル」という少女は、あなたの器よ。生まれた時から。】


う、器!?それ、かわいそうなんじゃ…。


【ああ、大丈夫。多分あなたが想像しているようなものではなくて、あの少女の魂にあなたの魂が微小だけど混じっていたの。言うとすれば、二人目のあなた。】


は、はあ。


【今、その微小だった魂とあなたの魂が結びついて、完全な人格ができている。それがあなたの状況よ。】


なるほど。分かったような、分からないような。


【私と話せるのは、私があなたに語りかけているから。残念だけど、今はあなたから私に話しかけることはできない。でも私はあなたに話しかけることができるの。素敵ね!またお話ししましょうね。】


そういって、ライルの声は消えた。

「ロテル、大丈夫かい?」

男の人―否、ヤルフさんが私をのぞきこむ。

「あ、はい。ええと、大丈夫です」

ヤルフさんは私の言葉にほっとした表情を浮かべると、私がいたベッドに座った。

「この調子なら大丈夫そうだな。」 

…何が?気になったけど、口には出さなかった。

「そうだ、鏡を見るかい?自分の姿を見たら、思い出せるかも」

ヤルフさんはそう言うと、部屋のすみにあった姿見を運んできてくれた。


あごくらいの長さで、一房だけ金髪が混じった黒髪。髪がところどころはねているけど、寝ぐせがついているのか、もともとなのかは分からない。

アーモンド形のきれいな目、瞳はグレー。

形の整った鼻。

肌は、白めだけど健康的な肌色。

何この子可愛い。

笑ったらもっとかわいくなるだろうな。

自分のほっぺをむにっと引っ張る。

すると、鏡の中の美少女も同じくほっぺをむにっと引っ張った。

…ん?

一歩後ろに下がる。

美少女も一歩後ろに下がった。

首を上下に振ってみる。

美少女も首を上下に振った。


…え、


「これ私!?」


「思い出したかい、ロテル。…どうした、そんなに変な顔ばっかして。可愛い顔が台無しだぞ」

私は信じられなくて、いろんな変顔を試してみた。

でも、美少女は常に私と同じ動きをする。

まじか…。


私はベッドに戻った。

「ロテル、兄さんがいろいろ教えるよ。父様と母様に伝えてくるから、少し待っていてくれ」

「あ、はい」


こんなわけで、私の異世界ライフはスタートした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ