え、何?プロポーズ?
カインさんは侯爵家の三男。
で、その人に向かって思いっきり「おかえりくださいませ」って言ってしまった。
やってもた。
やべぇ。
冷や汗がだらだらと流れる。
誰も声を発しない。
のぉぉおおおぉ、今度こそ捨てられてしまう!!
「っふは、あはははは!!」
沈黙を破ったのは、カインさんの笑い声だった。
お腹を押さえて涙目になりながら笑っている。
むぅ、確かに失敗したけどさあ、そこまで笑わなくていいじゃんか!
「申し訳ございません、後で厳しく叱っておきますので、どうかお許しください」
師匠がそう言って頭を下げる。
って、うん!?
厳しく叱っておく、ですと!?
私は荒縄で柱にくくりつけられて、師匠に鞭でびしーっ、ばしーっとやられてる姿を想像してひぃぃと心の中で泣いた。
「あはは、いえ、僕からお願いします、ロテルさんを叱らないであげてください」
おおぉお!?
カインさん、否、カイン様に後光が見える!
「こんな楽しいメイドさんは初めてです。突然だとは承知していますが、一つロテルさんにお願いしたいことがあるんです」
「何でしょうか?ロテルに償えるものならばどうぞご自由に」
ちょっと師匠!?
私は師匠の言葉に驚く。
だが、この後のカインさんの言葉に、私はもっと驚いた。
「ロテルさん、僕と一緒に来てくれませんか?」
…はい?
…え、何?
プロポーズ?