ついに
いや、ほんまに。
抜き打ちテストとか、マジであかんと思うねん。
もうなんかあまりにも衝撃すぎて、口調が関西弁もどきになってしまってた。
いや、なんで衝撃すぎたら関西弁もどきになるのかは分からんけど。
とにかくだね、私が言いたいのはだね。
両親来る、アカン!
やばい!
捨てられてしまう!
ということ。
正確には、一応事前に知らされたけど、明日とかもう抜き打ちの枠に入れていいよね?
師匠以上に鬼だわ!
「いやだぁぁぁ…」
ガチャ
「どうしたんだいロテル?」
あ、ヤルフ兄さん。
このところ、修行修行ですっかり存在を忘れてた。
「明日私は捨てられるんです」
「え!?ち、ちょっと待って、説明してくれ」
「明日、お母さんとお父さんが、私の仕事ぶりを見にこられるんだそうです。そんで、私の修行具合なんですけど、かくかくしかじか…」
私のダメダメイドっぷりを兄さんに説明すると、兄さんは目を見開いた。
「そうか、ロテルはメイドの仕事が苦手なんだな。ふむ…母さんも父さんも厳しい人だからな…」
終わったなこりゃ。
あ、ちなみに。
両親が来るの、今日だったりするんだな!
昨日師匠に教えられ、で、今日。
私は決めた。
メティ、頼んだ!
〈応。わかりました。お任せください〉
心強い味方だ。
ようし、これで私は捨てられない…はず。
ガチャ
「ロテル!」
「は、はいっ!?何ですか師匠!」
部屋に師匠が入ってきたので、ピシッと気をつけをした。
「お帰りになりました」
ついに。
私はゴクリとつばを飲み込んだ。