ご視察に来られるようです
午後の修行が終わり、私は部屋でのんびりしていた。
ベッドの上でゴロゴロ。
最高すぎる。
ご主人様ーとか麻痺毒がーとか、そういうことから解放される時間。
え、現実逃避?
失礼な。
ちゃんとした休憩時間ですから。
コンコン
ドアがノックされた。
誰だろ?
「はい」
「私です」
返ってきたのは、師匠の声だった。
ドアを開ける。
師匠は、ドアを開けてすぐ口を開いた。
「あなたは、料理を作ると危険な物を作り、掃除は逆に散らかし、洗濯はかろうじてできるものの、道具を壊しましたね。」
はい、そのとおり。
いきなり何だ。
でも否定はできませんかね。
「大事な話をいたします」
はあ。
大事な話?
私を雇うって人がいたとかじゃないだろうね。
そこで師匠に告げられた内容は、本当に結構大事な事だった。
「明日、ご当主さまと奥様がお帰りになり、その際、ロテル、あなたのメイドとしての仕事ぶりを見られます」
お、おお?
今世初の両親との対面?
どんな人なんだろう?
美形かな?
お父さんの方、カタブツだったり?
お母さんの方、シンデレラの継母みたいな人だったらどうしよう。
って、ちょっと待て?
なんかアカンことを師匠にさらっと言われた気がする。
その際、
あなたの、
メイドとしての、
仕事ぶりを、
見られます?
…私の、
食べたら麻痺るスープを作った料理とか、
物が散らかるだけの掃除とか、
道具破壊のオマケつきの洗濯とか、
もろもろの、
メイドとしての。
仕事ぶりを。
両親が、
見に来る。
詰 ん だ !