お話
起きて、
ねえ、起きて。
私の自我にまた意識が戻る。
誰?
誰かが呼んでる。私を。
わたくしが誰かは、秘密です。
少し、あなたとお話がしたいわ。
お話?
悪いけど、私、自分が誰かも覚えてない。
頭もぼうっとするし、あまりまともな話は期待しない方がいいよ?
うふふ、やはりあなたは面白い方ね。
あのね、今からわたくし、あなたにお願いをするの。
転生に、興味はあるかしら。
転生?
ああ、あの一度死んでからもう一度別のものに生まれ変わるっていう?
ええ。
あなたに、転生してもらいたいの。
輪廻の輪、だっけ。前にそんな言葉を聞いた気はするけど…なんだっけ。
転生、か。
面白そうだし、私はOKだよ。
あら、嬉しい。
なら、私があなたのお願いを、そうねぇ…三つ叶えて差し上げますね。
お願い?どんな願いでもいいの?
ええ、もちろんよ。
そうだな、いいよ。
面白そうだし。
助かるわ。ありがとう。
その前に、あなたにいくつか聞きたいことがあるんだけど…。
あら、なにかしら?
わたくしが知っていることならお答えするわ。
えっと、じゃあまず、私って、一度前の世界で死んだの?
ええ、残念だけど。
あなたが死んでしまってから、わたくしが魂だけここに運んできましたの。
た、魂だけ…。
まあそれはおいといて、次。
ここはどこ?
うふふ、ここはね、わたくしのおうちよ。
は、はあ。
まあ、質問はこのあたりでいいよ。
ええ、答えられてよかったわ。
それじゃあ、お願いを叶えるわね。
うん。
じゃあ、一つ目。
よく小説とかで「不思議な能力を持って生まれる」ってあるじゃん?
ええ。そういう方々は、たまにみるわ。
なら私、そういうのを一つでもいいから、持って転生したいな。
憧れるんだよ。ああいうの。
分かったわ、そのくらい簡単よ。
二つ目は?
ええと、二つ目。そうだな、ある程度有名なお家とかに憧れるかな。
有名なお家、ね。それも叶えるわね。
あと一つは?
そうだなー、何にしよう。
あ、相棒は犬かオオカミがいいな!
もふもふしたい。
その三つでいいかしら?
うん、いいよ。お願い。
それじゃ、転移させるわね。
おう!っと、ちょっと待って。
あなたの名前は?
うふふ、そうね。
皆には、「ライル」って呼ばれてるわ。
らいる、かぁ。覚えとくね。
楽しみね。またお会いしましょうね、お話ししたいわ。
…そこで、私の意識が途切れた。
やっと!やっと2話目!