真っ黒昆布の麻痺毒スープを召し上がれ!
「お待たせしました、昆布、じゃなかった、ヨロモのスープです!」
私は、ルカさんの前に器を置いた。
ルカさんはスープを見てため息をついた後、私を見た。
なに、また私何か入れた?
私今度はあの怪しげなものも入れなかったよ!?
「…ロテル、解毒粉は入れましたか?」
「はい?」
なんですかそれ。
「ニンギョクとヨロモが反応すると、強い麻痺毒ができて、解毒粉を入れないと食べたら 一口で2時間体が痺れます」
ヨロモはあの昆布でしょ?
ニンギョクって何さ?
へいメティ!
〈応。マスターが調理したあの黒い野菜です〉
黒い?
あ、あれか!
あの玉ねぎ。
昆布と玉ねぎ一緒に入れたら、麻痺毒できるよ!
何それ!?
聞いたことないけど!?
要するに、あの怪しげな粉を入れないといけなかったわけね。
昨日は怪しい物を入れたから、勇者になれるという豪華特典つきだけどリスクが高い卵焼きができた。
今日は怪しい物を入れなかったから、食べたら2時間体が痺れる昆布のスープができた。
何だよそれは!
って、ちょっと待て。
私、味見したぞ?
「ルカさん、その毒が効き始めるのってどのくらいですか?」
「そうね、2分から3分くらいじゃなかったかしら?」
ちょっと前から指先がピリピリしてるのは嘘だと思いたい。
メティ、私って今正常だよね?
ね?
〈応。マスターは、状態異常、麻痺「強」です〉
オゥ!?
マヒってたぁー!
しかも強いんだと。
ねぇさっきから指が思うように動かないのは気のせいだよね?
気のせいと言ってくれ!
「ロテル、このスープを片付けて…ロテル?」
「ルカさん」
「どうしました?」
「状態異常なう!」
「飲んだの?」
「毒味を」
私はその場に膝をついた。
「ろ、ロテル!?」
「体が動きませぬ」
というわけで、私は二時間ほど自部屋のベッドで横になったのだった。
二度目の調理実習は、麻痺毒でダウンしました!
なーんーでーだー!
なに?
私ヤバいものしか作れないのか!?
そんなハズはないぞ!
今決めた。
料理するときは、メティ先生にお願いしよう。