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味見好きメイドは勇者サマ!  作者: モスコビウム
13/24

おかえりなさいませ!

午後の修行スタート。

「まずは、ご主人様にする挨拶から始めます。私の真似をしてください。まず、45度から60度の角度で礼をし、手はへその前で重ねてください。それから挨拶です。」

師匠の真似をして礼をする。

「もっと背筋をのばして、丁寧に!優雅でかつ無駄のない動きを意識してください」

んぬぅ、難しい。

丁寧に、優雅に…。

「遅すぎます。素早く、かつ細かく!」

は、はい!

さっ、と礼。

「早い。適当に見えます」

うがー!

どうすりゃいいのさ⁉︎

しかし、師匠の礼を見ると、確かに丁寧で素早く優雅だ。

難しい!




数十分の間ぺこぺこし続けた。

やっと「まあいいでしょう」と言われた。

腰と背中が痛いが、これからがやっと本命の挨拶の練習だ。

「まずは、おかえりなさいませ、ご主人様、から」

ぬおぅ⁉︎

そ、そんなメイドカフェまんまのセリフを言わなきゃならんのかい⁉︎

美味しくなぁれ、萌え萌えキュンキュン!とか絶対やらんぞ⁉︎

絶対‼︎

オムライス出されてさあやってみなさいって言われたら「秋葉原行って来い」って書くからな私!

「言ってみなさい」

「お、おかえりなさいま」

「笑顔で!」

「お、おか…」

「もっと堂々と!」

「おかえりなさいませ、ごしゅ」

「もっと誠意を!」

ンなもんあるか!

誰かに仕えるなんざごめんだよ!

とはいえ逃れようもなく。

「お、おかえりなさ」

「もっとはっきり!」

「おかえりなさいませ、ご」

「もっとやわらかく!」

「おかえりなさいませっ、ご主人さ」

「もっとゆっくり!」

「おかえりなさいま」

「もっと抑揚をつけて!」

「お、おか…ガァッデェム‼︎」

「真剣に!」




数十分後。

「はい、それでおかえりなさいませ、ご主人様は合格です。」

や、やっと合格だぜ…。

「では最後に、私が玄関から入ってきますので、私をご主人様だと思って挨拶をやってみてください。」

はい!

師匠はご主人様、師匠はご主人様…。

ガチャ

ドアを開けて入ってきたご主人様に向かって、私は今日一番の笑顔を浮かべ、礼をして言った。



「おかえりくださいませ、ご主人様‼︎」



私はすっと頭を上げ、ご主人様の目の前の開けかけたドアを閉めて差し上げる。

ガチャ

「お、追い返してどうするんです!」

ドアを開け、ご主人様ー否、師匠が入ってきた。

「すみません、ご主人様だと思ったら苛立ちがつのってしまって。いかがでしたか私の修行の成果は」

「…礼が綺麗でしたよ」

師匠は額に手をあててはぁ、とため息をついてそう言った。


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