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空間
こんにちは、モスコビウムです。
真っ黒。
真っ暗。
そういう表現がもっとも適切だと感じる、この空間。
何もない。
重力。生物。感情。
そういう世界の理の一切から隔絶された空間。
冥界や黄泉の国と呼ばれる空間とはまた違い、全てが存在しない。
そういう空間が、ここに「存在」している。
矛盾だらけだ。
それでも存在していた。
そこに、人間がいた。
意識はない。
ただ眠るようにして、その空間に「存在」していた。
何も、空間というもの以外の一切は存在しないはずの、その空間に。
管理する者のいないその空間に、新しい矛盾がいつのまにか発生していた。
…ふと、意識が戻る。
私は、まだぼんやりした頭で周囲や状況を把握しようと試みる。
まわりは、真っ暗だ。何も見えない。
ただ、暗いから何も見えないだけで何かはあり、それがなにか分からない、とかそういうふうでもなく、何も見えないでいるけど、ここには何もないという確信がある。
私は、なんで、ここにいる?
ていうか、ここ、どこ?
ていうか、
私って、誰だっけ。
そこでまた、私の意識は途切れた。
ここではまだ何もありません!
本題に入るのは、次からです。