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魔力なし転生者の最強異世界物語  作者: 月見酒
第一章 おっさんは冒険者を目指す
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第五十八話 学生の日常

「どうして出来ないと思うんだ?」

 真剣な表情でジュリアスが聞いてくる。


「そうだな……例えば光属性の治癒魔法がどうして魔導弾に転用出来ないのか。それは完全に矛盾しているからだ」

「矛盾?」

「さっきもそんな事を言っていたな」

「ああ。アヴァ先生から治癒魔法の仕組みを入院中に聞いたんだが、体内に異物があった場合治癒魔法で傷口を塞いでも体内に残るから病気になる可能性があるらしい」

「ああ、私たちも聞いた」

「魔導弾。つまり弾丸を見方に撃ち込むってことは体内に弾丸が残るってことだ。そんな状態で治癒しても意味が無いだろ?」

「確かに……」

「それに治癒魔法って言うのは治癒する能力が宿った魔力を負傷者に与えることで治しているんだ」

「それはそうだろう。出ないと魔力が消費しないことになるからな」

「そうだ。だが魔導弾とは本来魔力を放出するではなく、魔力を纏っている物だ。放出タイプの治癒魔法とは違う」

「なるほど……確かにそれでは治癒魔法が発動しないな」

「そう。弾丸には魔力を放出する機能は備わっていない。だからできないんだ」

「でも、相手の魔力を感じて発動する魔法だってあるよ」

 そんなのがあるのか。


「炎爆弾がその一つですね。発射と同時に魔力を流し込み相手に当たり魔力を感じた瞬間に爆発する弾丸です」

 なんて物騒な弾丸を開発するんだ。


「たぶんだが、それは放出というより感知タイプだからじゃないのか?敵の魔力を感知して起動する。そうすることで爆発が起こる」

「確かにそうかもしれません。僅かな魔力で人間の体の半分が吹き飛びますからね」

 ほんと物騒な物を開発するよな。


「弾丸に纏った魔力が感知タイプで、敵の魔力がその魔力に触れた瞬間に起動して爆発する。だがその爆発力はなんだ?」

「弾丸に込められた残りの魔力を燃料の一つとして使われてます。弾丸内に火薬を仕込んでおけばもっと威力はあがりますが」

「なるほど」

 人間から銃。銃から弾丸へと通し弾丸に魔力を込める。

 トリガーを引くと同時に弾丸が発射され、魔導弾の種類によっては発射されるとどうじに発動する。

 改めて考えれば凄い物を作り出したよな。この国の技術者たちは。


「だから難しいのか」

「ただ、一つだけ方法がないわけじゃない」

「え!本当に」

「ああ、体内に入っても危険が無いもので弾丸を作れば良い」

「確かにそれなら治癒魔法の効果がありますね」

「だが体内に入って大丈夫で、尚且つ発射される時の内部圧力にも耐えられる素材にってあるのか?」

『う~ん』

 鉱石類は全部だめだろう。体内に入って病気にならない物なんてないだろうし。


「水ならどうだ!」

「どうやって固めるんだよ」

「それもそうか……なら氷は!」

「確かに弾頭にすれば出来なくもないけど……」

「それだと発射時の熱で溶けて術式が消されるだろ」

「そうだよね」

「体内に入れても平気な固形物で術式が刻めて、尚且つ熱で溶けない物……」

『う~ん……』

 難題だ。俺たちの頭では到底思いもつかない。


「ってなんで私たちお店の中でこんな事考えてたんだっけ?」

「そうですね。ジンさん、買うものは決めましたか?」

「ああ、パチンコ玉とスーパーボールですか?」

「そうだ。大会の時思ったんだ。相手を気絶させるだけいいなら、スーパーボールの方が良いなって」

「確かに殺傷能力は低いですけど」

「それに跳ねるから跳弾させて一発で二人を倒すことも不規則な起動で狙うことも出来ると思ったからな」

「なるほど確かにそれなら予測しにくいですね」

「ま、練習あるのみだけどな」

 相手のどこを狙って跳弾させるかなんていう計算力は俺にはない。感覚で覚えないとだめだ。


「俺の買い物は終わったけど、このあとどうする?何か見たいものでもあるか?」

「私は打撃武器」

「俺は剣」

「私は銃器を」

「私は刀を」

 うん、見事に全員バラバラだな。レオリオとジュリアスはどうにか同じ店でみれるかもしれないがそれじゃ納得しないかもしれないしな。


「なら、いつも行くお店が近くにあるならそこに行ってないならありそうなお店回るか」

「賛成!」

「俺もいいと思うぜ」

「私もそれで構いません」

「私も構わないぞ」

「なら、行くか」

 パチンコ玉1500発とスーパーボールを1000個購入し終わると俺たちは他のお店に向かった。因みに合計で18500RKとなった。

 その後はみんなが見たい武器や防具なんかを見たあとファストフード店で軽く食べた俺たちはバスを待っていた。


「そう言えばこのメンバーで出かけるのは初めてですね」

「言われてみればそうだな。俺は大抵クラスメイトの奴等と出かけてたし」

「私はフェリと一緒に出かけることが多いよ」

「ルームメイトですしね」

「私は一組のクラスメイトと出かけることが殆どだったな」

「俺は大抵一人かジュリアスとだな」

「この面子で出かけれるのもジン君のお陰だね」

「なんでそうなるんだ?」

「だって、ジン君が編入してきてくれなかったら絶対に一緒に出かけてなかったもん」

「確かにエミリーの言うとおりですね」

 別にお礼を言われるようなことじゃないと思うんだが。ま、褒めてくれるならありがたく喜んでおこう。

 数分してバスが来たので俺たちはそれにのって学園に帰るのだった。



 7月13日金曜日。

 あれから一週間が過ぎ、今日最後のチャイムが学園に鳴響いた瞬間、脱力した。


「お、終わった……」

「お疲れ。どうだったテストは?」

「名前の書き忘れだけは自信を持って無いと言える!」

「誰も名前の記入を忘れないだろ」

 そんなの分からないだろ。名前の欄に一問目の答えを書く奴だっているんだぞ!


「それで、どれぐらい書けたんだ?」

「赤点は免れた……」

「そうとう悪かったとってことだな……」

 この世界の言語は大陸共通と言っても過言ではない。数百年前から続く小国では昔からの字を使っている国もあるらしいけど。だから前世と違って英語の授業は無い。それはとてもとても嬉しい。授業の中で一番嫌いな授業だったからな。だけど英語の代わりになんで、古代語の授業があるんだ!いらねぇだろ!なにに使うんだよ!学者や探検家が必要になるだけだろ!冒険者の俺たちには必要ないだろ!


「でも今日で期末テストも終わりなんだ。残りの一学期生活を楽しもうぜ」

「そうだな!」

「急に元気になったな」

 期末テストは午前中で終わる。だから俺はレオリオたちをつれて学食に向かった。因みに今のマイブームはケバブだ。

 ジュリアスとも合流して食堂でご飯を食べる。


「みなさんは夏休みの間はどうなされるんですか?」

「私は家に帰って手伝いかな?家が飲食店だし」

「俺は親父に稽古をつけて貰うつもりだ」

「私は道場に通うつもりだ」

「私は家も家の手伝いですね」

 みんな手伝いや稽古か。最後の学園生活だと言うのに勿体無い。


「それでジンさんはどうされるんですか?実家に帰省するんですか」

「いや、実家には帰らないぞ。遠いしな」

 実家というか故郷と呼べる場所もないしな。あるとすればあの島だが移動手段が無いから無理だ。いや、無いこともないか。だけどそれをすると絶対に目立つのでしない。


「だからイザベラの家で過ごすと思うぞ」

「え!イザベラ様の実家に行くの!」

「だが、それはイザベラ様に迷惑なのではないか?」

「あら、そんな事ないわよ」

『イ、イザベラ様!』

「よ、イザベラ。そっちもテスト終わったのか?」

「ええ。それでねジン実家には終業式が終わった当日にジェット機で帰るから準備しておいて」

「分かった」

「それと午後から会議があるからジンも出席するのよ」

「え、俺も?」

 なんで俺が会議に出ないといけないんだ。そもそもなんの会議なんだ?


「聞いてないの?個人戦、団体戦の学園代表者が全員集まって二学期からの大会に向けての話し合いや予定なんかの連絡事項があるのよ」

「また、面倒な。イザベラが俺の分まで聞いておいてくれっていうのは冗談だから!そんな怖い顔をしないでくれ!」

「分かれば良いわ。時間と場所はあとでスマホで知らせるわね」

「分かった」

 そう言ってイザベラは軍務科の生徒たちの許へと戻っていった。


「ほんとうにイザベラ様のご実家で過ごすんですね」

「ジン君って何気に有名人と仲良いよね」

「そうか?」

「だけど、ジンが学園代表会議に出席するって思うとやはり嬉しいよな」

「嬉しい?」

 普通は凄いって言われると思ってたんだが。


「だってそうだろ?クラスメイトとから学園代表会議に出席するやつがいるんだぞ。これほど誇らしいことはないぜ」

 自分の国がスポーツの大会で優勝したときみたいな感じか。


「そうだね。家に帰ったらお母さんたちに自慢できるよ」

「そうですね。そんな学園代表と一緒に団体戦に出場したこともです」

 みんな楽しそうに話す。優勝賞金目当てで参加したつもりだったが、まさか友達が喜んでくれるとは思わなかったな。


「それじゃ私たちは先に寮に戻っている。またあとでな」

「ああ」

 そこで別れた俺は銀を撫でながら廊下を歩いているとイザベラから連絡が来た。


「三階の第二会議室。時間は20分後か」

 遅れてイザベラに叱られるのも面倒だから早めに向かうとするか。

 生徒はエレベーターを使えないからなほんと面倒だ。

 そんな事を思いながら階段を上がっていると狸爺と出くわした。


「これはジン君。テストのほうはどうだったかの?」

「まあまあだ」

「そうか。それでこれから学園代表会議に出席にするのか?」

「そうだ」

 まったく何を考えているのかまったく読めない表情だな。あ、それよりも聞きたいことがあったんだった。


「一つ聞いても良いか?」

「なんじゃ?」

「どうして俺を十一組に入れた」

「それはどう言う意味じゃ?」

 惚けるつもりかよ。


「この学園は実力主義なんだろ。なのにどうして俺を十一組に入れたのか最初は気にしなかった。魔力が無いから十一組に入れられたと思った。だけどテトル先生を倒せるだけの実力があることは知っているアンタが魔力が無いというだけで十一組に入れたりはしないはずだ。なんせこの学園は実力主義なんだからな。それなのに俺を十一組に入れた。それには理由があった。一つはエレイン先生に俺を監視させるため。先生の中でも隠密能力に長けているのはエレイン先生だからな。だけど本当の目的は俺を使って学生の意識調査とその改善が目的だったんじゃないのか?」

「…………」

「魔力が無い俺が次々と強い生徒を倒していけば弱者と蔑まされてきた九組以降の生徒たちもヤル気を出して練習に励みだす。上位のクラスの生徒たちは俺に負けた悔しさや下位の生徒に負けるかもしれないという危機意識を持たせることで今まで以上に練習に励んでもらうのがアンタの目的だった。違うか?」

「…………本当じゃの!確かに考えてみればそうじゃ。流石はワシ。考えもしなかったことが良い方向に行っておる」

「そうかよ」

 これ以上話しても無駄だな。どこまで行っても狸爺は狸爺か。


「ジン君や」

「なんだ?」

「なんの為に冒険者を目指す?」

「そんなの金持ちになって遊んで暮らすために決まってるだろ」

「そうか……」

「?」

 何を今更。編入初日にも言っただろうに。

 結局狸爺と話していたせいで余裕持ってとはいかなかったものの。会議が始まる五分前には部屋にこれた。

 てか、既に全員着てるし。なにこの学園は5分前行動じゃなくて10前行動なの。

 そんな事を思いながら俺は空いていたイザベラの隣の席に座る。


「ジンが時間までにくるなんてね」

「俺をなんだと思ってるんだ」

「冗談よ」

 ったく。ん?よく見たら俺以外にもまだ空席が一つだけある。全員じゃなかったのか。


「あの席は誰が座るんだ?」

「あそこは顧問の先生が座るのよ」

 顧問なんかいるのか。でも生徒に全て任せるのは流石に厳しいかもしれないな。

 それにしても俺に対する視線が凄いな。イザベラの横に座っているってこともあるんだろうが。

 そんな事を思っているとエレイン先生が入ってきた。


「私が顧問のエレイン・グウ・ウェルマンです。よろしく」

 まさか俺の担任だったとは変なところで縁があるものだな。


「それではこれより学園代表会議を始めたいと思います」

 いきなり隣に座っていたイザベラが立ち上がって宣言した。あれ?もしかして座る席間違えた。そんな事はないよな。イザベラからも何も言われなかったし。

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