表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力なし転生者の最強異世界物語  作者: 月見酒
第一章 おっさんは冒険者を目指す
24/205

第二十三話 模擬訓練

 あれから月日が流れ3週間が過ぎた。既に今日は5月4日。受付当日まで8日だ。

 俺たちは休日や放課後を使って一緒に連携や技の錬度向上、技の種類を増やしたりと訓練に励んだ。その間に俺はジュリアスたちからルール内容や代表に選ばれるための流れなんかを聞いたりしていた。

 団体戦の主なルールとしては1チーム5人で出場すること。多くても少なくても駄目。

 また出場者の中に使役している魔物が居る場合は使役者の武器の一部と認め出場させることが出来る。ただし1チーム一体までとする。

 個人戦に使役している魔物を出場させる事は禁止とする。

 武器は魔法武器、魔導武器の使用は許可するが規定範囲内の物とする。また武器が持てるのは一人当たり二つまでとし、これに使役している魔物は含まれない。ま、つまり実質的に魔物は6人目の出場者ってことだ。

 一試合制限時間二十分でそれまでに勝敗が決まらなかった場合は戦闘可能人数が多いチームの勝利とする。ただし人数も同数であれば主審1名副審4名の判定とする。ま、大まかなルールはこんなものか。

 また一人の選手が複数のチームに参加することは認めない。ただし個人戦に出場することは認める。

 次は武闘大会までの流れだけど。

 まず参加希望の生徒は用紙に名前と年齢、クラス、使用する武器を記入して提出する。団体戦の場合はこれにチーム名も記入する。で、まず最初に行われるのが科ごとに分かれた選抜戦を行う。つまり俺が在籍する冒険科の生徒同士で試合を行い規定人数まで絞り込む。

 次に冒険科、軍務科の代表選手に選ばれた生徒同士で闘い上位5名が個人戦の代表者となる。団体戦の場合は3チームが代表チームとして出場する。因みにここまでの日程は全て一学期内に行われ、夏休み明けの二学期に武闘大会が行われる。ま、簡単に言えば学科別代表戦が一次予選、学園代表戦が二次予選。で二学期に行われる武闘大会が本選というわけだ。な、簡単だろ?


「自由参加だから参加する生徒が集まるか心配だろうが、一クラス五十人だからな。毎年大人数で行われるらしいから、そこらへんの心配は無用だ」

「お前はいったい誰に話してるんだ」

「銀にだ」

「寝ているが……」

「気にするな」

 部屋で独り言を喋る俺に変な目で見てくるジュリアス。頼むからそんな目で見ないでくれ。俺が痛い子みたいじゃないか。


「それにしてもジンの思考回路はどうなっているんだ。よくもまああれだけのアイディアが思いつくものだ」

 ジュリアスから素直に褒められるのは嬉しいが、どこか含みのあるように感じるんだが。


「魔力も武器も使えない人間が自分より強い相手に戦うにはどうしたらいいのかって考えたら手持ちにある物の幅を広げるしかないからな。だからそういったアイディアが浮かぶんだ」

「なるほど経験者は語るだな。きっと同じ学生でジンほど自分の技を追求したものはいないだろ」

「それは分からないけどな」

 俺たちはそこで話を切り上げ就寝するのだった。ああ授業サボりたいな。



 今日は土曜日。待ちに待った休日だ!


「食べて遊びまくるぞ!」

 俺はさっさと着替えて部屋を出ようとした。が、


「待て」

「ぐへっ!」

 ジュリアスに襟首を捕まれて窒息しかける。


「いきなりなにしやがる!」

「なにしやがるじゃない。今日はレオリオたちと一緒に演習場で訓練をする約束をしていただろうが」

 そう言えば昨日昼休みにそんな話をしていたな。


「ほら戦闘服に着替えてさっさと行くぞ」

「行かないと駄目か?」

「当たり前だ!だいたい団体戦に参加しようと言ったのはジンじゃないか!」

「そ、それはそうだが。たまには休まないと体が持たないぞ」

「元気に遊びに行こうとしていた人間の台詞じゃないな」

「いや、肉体的なことだけじゃなくてな。精神面の休息も必要だと言いたいんだ」

「確かにそれはそうだが、明日も休みなんだ。遊ぶなら明日にすれば良いだろ」

「わ、分かった」

 結局俺はジュリアスに連行される形で予約していた第9演習場に向かう。ほんと幾つあるんだこの学園。

 10分掛けて到着した演習場の中には既にレオリオたちが待っていた。


「よ、おはよう」

「おはよう、ジン君」

「おはようございます」

「おはよう3人とも。ほらジンも挨拶しろ」

「おはよう」

「元気がないがどうしたんだ?」

「気にするな。約束を忘れて一人だけ遊びに出かけようとしていたからな。取り捕まえて軽く説教したらこの有様だ」

「なるほど」

「約束は守らないと駄目だよ」

「エミリアの言うとおりです」

 エミリアたちに叱られてしまったが、気を取り直して訓練を始めた。

 まずは軽くストレッチをしたあと一時間のランニングをして腕立て、腹筋などの基礎トレを行い先日行った魔法のお復習を始める。魔力を持たない俺はそれを見学しながら新しい技と戦術などの立案中。銀はフェリシティーが使役している魔物三叉熊(ライデント・ベア)のトアと仲良く遊んでいた。

 それにしてもジュリアスは流石だな。1組の中でも上位なだけはある。レオリオは動体視力と身体能力が高いな。相手の攻撃を見て躱せれるのは大きなアドバンテージだ。破壊力と言う意味ではエミリアがずば抜けているな。見た目は少し小さい女の子だがドワーフの怪力をちゃんと受け継いでいる。フェリシティーの銃を使った多彩な攻撃にも目を見張るものがある。


「でもどうしたものか」

 このチームの大きな欠点に俺は頭を悩ませていた。最初の訓練の日に得意な魔法と戦闘スタイルを教えて貰った時から気づいていた事だ。だけど未だにフォーメーションが決まらないのだ。理由は簡単だ後衛専門が居ないからだ。

 ジュリアスとレオリオはどうみても前衛タイプ。ジュリアスは魔法攻撃があるからまだ中距離攻撃が可能だが、得意とするのは剣術のためどうしても前衛になってしまう。

 エミリアも前衛だ。武器がハンマーということもあり連携攻撃では一撃目より二撃目要因としての役割だ。

 フェリシティーは銃関係なら全般使いこなす事が出来るため後衛としても良いが、どちらかと言えば遊撃手として動いて貰いたい。

 俺が後方からパチンコ玉を使った支援攻撃で3・2でも良いが、やはりベストなフォーメーションは2・1・2だ。

 それに一試合で持てる武器は二つまで。フェリシティーにスナイパーライフルやアサルトライフルを持たせるとどうしても遊撃手を行うのは難しい。


「4・1は流石にキツイしな~」

 前衛が4人だと支援する奴の負担が大きすぎる。さてどうしたものか。


「どうしたジン」

「ん?」

 どうやら考え込んでいたらしくジュリアスの声で顔を上げると全員が集まっていた。


「いや、俺たちのチームどうみても前衛に偏っていると思ってな」

「確かにそうだな」

「せめてもう一人ぐらい銃が使える奴が居れば良いんだが」

「そう言うジンどうなんだ」

「そうだよ。私たちジン君が武器を使うところ見たことがないよ」

「ああ、そのことか」

「皆そのことは……」

 事情を知っているジュリアスは困った表情でどうにかはぐらかそうとしてくれているが、生真面目なジュリアスには無理があるだろうな。それにレオリオたちはチームメイトだ。今後の事を考えるなら話しておくべきだな。


「ジュリアス」

 一生懸命庇ってくれるジュリアスには悪いが俺は話すと決めた。ジュリアスも俺の表情を見てそれを理解したのか口を閉ざした。


「俺は武器を使わないんじゃなくて使えないんだ」

「どういう事だ?絶望的にヘタクソってことか」

「まだそっちの方が良かったけどな。残念ながら違う。俺はとある女によって呪いを掛けられたんだ」

 この話をなんどすれば良いんだ?


「呪いだと!」

 その言葉にジュリアス以外すり足で下がる。


「他人に害のある呪いじゃないから安心しろ」

 この説明もなんどすればいいのやら。

 で俺は呪いについて説明する。勿論言葉だけじゃなく実際に見て貰って。


「こんな呪いがあるなんて」

「それでいつもサンドイッチやホットドックばかり食べていたんですね」

「そうだ」

 どこか哀れみを含んだ目をされるが気にしない。別に同情されたいわけでもないし、そんな目で見られて怒るほどでもないからな。


「射撃訓練もしてないしな」

「持てないからな」

「でも、それだとジンさんは前衛決定ですね」

「いや、一応例外で持てる武器はある。武器と呼べるほどの物じゃないが」

 俺はポケットの中から取り出すフリをしてアイテムボックスからパチンコ玉を取り出して見せた。


「パチンコ玉ですか?」

「そうだ」

「これが武器なのか?」

「そうだ。ま、実際に見て貰うほうが早いだろうな」

 俺はそういって十数メートル離れた的に向かってパチンコ玉を弾く。

 手加減して弾かれたパチンコ玉はハンドガンの弾丸並みの速度で的を貫通する。


「こ、これは凄いな」

「肉体強化もせずにどうしてそれほどの力が出せるんですか?」

「ま、訓練の賜物だな」

「そうですか」

 触れられたくないのだと悟ったフェリシティーはそれ以上踏み込んでくることはなかった。別に教えても平気だけどイザベラに止められているからな。


「でも、これなら後衛も出来るんじゃないのか」

「レオリオの言うとおりだよ」

「これは最初に使うのはどうかと思うぞ。相手がジンは遠距離攻撃が出来ないと思い込んでくれればそれだけでこっちが有利になるからな」

「そうですね。それは一理ありますね」

 頭の良いジュリアスとフェリシティーは文句が無いようだが、レオリオとエミリアは完全に納得はしてないようだった。


「ま、フォーメーションは俺に任せてお前らは訓練の続きをしていてくれ」

「分かった。レオリオもう一度手合わせするぞ」

「お、おう」

 ジュリアスの実力を身をもって知っているレオリオの声音はどこか怯えを含んでいた。頑張れよ。因みに銀はトアと遊びつかれたのか寝ていた。銀よまだ小さいからといって既に中型犬より大きいお前がトアの上で寝るのは少しトアが可哀想だぞ。それにどんな体勢で寝てるんだ。そのままだと軽く押しただけでダルマ落としみたいにすぐに落ちるぞ。

 訓練を再開した傍ら俺はフォーメーションを考える。連携攻撃は幾つか考えたけどそれもフォーメーションが決まらなければ実行できるモノと出来ないモノがある。


「どりゃああああぁぁ!!」

「うわっ!」

 エミリアの渾身の一撃が地面を陥没させ地鳴りを起こさせる。数メートル以上離れていた俺のところまで地鳴りと破壊された地面の破片が届いてきた。


「エミリア、少しは手加減しなさいよ」

「えへへ、ごめんねぇ」

 呆れるフェリシティーに対してエミリアは大きなハンマーを軽々と担ぎながら頭を掻いていた。まったく馬鹿力だな。ん?破片……凄まじい打撃力……ダルマ落とし……っ!


「それだ!」

「え!?」

 俺の言葉に全員が驚き体をビクッとさせる。


「それで急にどうしたんだ?」

 俺の言葉にジュリアスが少し呆れ気味に聞いてくる。大声を出したぐらいでまったく。


「ジュリアスは氷、エミリアは土属性の魔法が得意だったよな?」

「うん」

「それがどうした?」

「それぞれの属性で、壁か柱を出せるか?」

「土柱なら出せるけど」

「私はどちらも大丈夫だ」

「なら、悪いが出してみてくれ」

 疑問符を浮かべながらもそれぞれ魔法を行使して地面から土柱と氷柱を出現させた。てか土柱の出現の仕方が地面を殴るって普通に出せないのか。


「これが良いか?」

「充分だ。エミリア思いっきりそのハンマーで殴ってみてくれ」

「そんな事したら壊れるよ」

「良いから。そうだな飛ばす方向はあの壊れた的がある方向に頼む」

「よく分からないけど分かった」

 どっちなんだよ。

 疑問符を浮かべながらもエミリアは思いっきり氷柱を殴った。

 凄まじい打撃によって破壊された氷柱の一部が物凄い勢いで的に突き刺さる。


「予想通りだな」

「嘘だろ刺さってやがる」

「これは凄いですね」

「嘘私が中距離攻撃」

「そうだ。と言っても飛んで行く破片の大きさはバラバラだし思い通りの方向に飛ぶとも限らない。前衛で見方が戦闘している方向にすれば見方にも被害がでる恐れがある攻撃だ」

「全然駄目じゃん」

「いや、そんな事はない」

「ジュリアス君どういうこと?」

「今壊したのは私が出した氷柱だったかだ。だけどもしもそれがエミリアさん自身が出した土柱なら上手く行く可能性もある」

「?」

 うん、分かってないらしい。


「つまり、柱の強度、打撃力、打ち込む角度、打ち込む場所。この四つを自由自在に操る事が出来れば好きな方向にそして破片の大きさと数も操る事ができるかもしれない」

「本当に!」

 ジュリアスの言葉に瞳を輝かせるエミリア。そうとう嬉しそうだな。


「ああ、でもとても大変なことだ。柱の強度を知るには同じ力で打撃力を与えないといけないし、その逆もそうだ」

「なんだか眩暈がしてきたよ」

「ま、練習あるのみだ」

「ジン君が意地悪だよぉ~」

「よしよし」

 フェリシティーの胸に飛び込むエミリア。少しうらやま……それよりもこれが上手くいけば大幅に戦略も変わってくるぞ。


「ま、練習するかしないかはエミリアしだいだ。その結果次第で俺たちのフォーメーションも戦い方も変わってくる」

「うぅ分かったよ。少しでも勝率が上がるように頑張るよ」

 項垂れながらもエミリアは練習を開始した。さて俺はと。


「フェリシティー、頼む」

「分かりました。トアおいで」

 今から俺はフェリシティーに使役者として魔物の扱い方を教わる。有名な使役者だと魔物との息がピッタリで他の冒険者が居なくても背後を心配する必要がなくなるのだ。

 例えばフェリシティーとトアの場合はトアが前衛でフェリシティーが後衛からのバックアップという形だ。敵の人数が同数であればそうそう負けることはない。勿論それはパートナー同士の息がピッタリでなければの話だ。ま、俺と銀の場合だとどちらも可能だ。銀は魔法が使えるし、俺はパチンコ玉による支援攻撃が可能だからだ。因みに銀が使える魔法属性は無属性、火属性、水属性、氷属性、雷属性、光属性、闇属性の七つだ。流石は神狼。それでもエレンは全ての属性を扱えた。でも銀に才能が無いわけじゃない。それどころか銀は才能に溢れている。神狼は人間と違い後に属性を手に入れる事が出来る。だから最初からこれだけの属性を手にして生まれてきたのは才能があるとしか言えない。特に銀は氷と雷属性の魔法が得意だ。この国に着てからたまに特訓をしているから魔力量も魔法制御も上がっている。俺的にはもう少し力をつけたら実戦を経験させてあげたいと考えている。あの島に居たときは俺が護っていたから戦う必要がなかったしな。


「それじゃ、始めましょうか。と言っても既に私たちより強いですけど」

「頼むから拗ねないでくれよ」

「拗ねてはいません。事実を申しただけです」

 正直言葉に困る。

 あの島に五年もいたからこういう時どう言えば良いのか分からないってのもあるが、フェリシティーが言うとおり俺と銀のコンビはフェリシティーとトアコンビに圧勝しているのだ。最初は苦戦することもあったけど、今となっては前衛後衛入れ替えても負けなし状態だ。どちらかと言えば俺たちがフェリシティーたちに教えるべきなのかもしれないが、それは無理だ。なぜなら俺と銀はただ単に自分の力のみで戦っているだけで連携と言える事をほとんどしていないからだ。


「ま、こんな事を愚痴っても仕方がありませんし。始めましょう」

「そうしてくれると助かる」

 こうして始まった使役者同士の闘い。

 今回は後衛が俺で前衛が銀だ。フェリシティーたちはいつも通りトアが前衛でフェリシティーが後衛だ。

 開始早々銀がトアに目掛けて5本の氷柱アイススピア放つと同時に接近する。

 まだトアに大きさで勝てはしないがスピードは上回っているからなそれを活かすつもりなんだろう。


「なら、俺も武器が使えないことを知られたからな。遠慮なく使わせて貰うぞ」

 これまでは後衛をしていたときは銀がトア目掛けて向かった瞬間フェリシティーに接近していたからな。それは後衛じゃない。ただのサポートだって。なんだって良いんだよ。

 ポケットに入れていたパチンコ玉を取り出しフェリシティー目掛けて弾き飛ばす。しかし難なくと躱される。


「やっぱり躱されるか」

 弾丸にも劣らない速度で飛ぶパチンコ玉だが、銃を自由自在に操るフェリシティーにとっては容易い事のようだな。


「いえ、普通に驚いてますよ。どうして生身の人間がそんな事が出来るのか不思議でなりません」

 そんな事を言いながらも俺に対してサブマシンガンを連射する。

 この学園では無断で武器の使用は認められていない。しかし申請して受理して貰えさえすれば自主訓練などで使用することが可能だ。だけど、


「どうしてそんなに銃の扱いが上手いんだ!」

 連射すればそれだけ銃口が上を向くんだが、肉体強化をしているのか分からないが一切上を向くことなく撃ち込んでくる。まったくやり辛いことこの上ない。


「昔から鍛錬してますから。それよりも私としては平然と躱されると自信を無くすのですけど」

「そんな事を言われても当たったら痛いだろが」

「大丈夫ですよ。防護結界はちゃんと起動してますから死にはしません」

 防護結界とは、一定以上のダメージを与えると超えた分を精神ダメージへと即座に変換するものだ。そのため死ぬことはないが、


「普通に怪我するだろうが!」

 定められた規定値以下であれば相手を負傷させられる。もっと解りやすく説明するなら骨折はするが死ぬことはない。撃たれて体に穴は開くが死ぬことはない。正直それって意味があるのかと言いたくなるが、絶対に死ぬことはないと分かっていれば最初から本気で殺り合えるというメリットもある。

 フェリシティーの攻撃をどうにか回避しながら接近しようとするがやはりそう甘くはない。勿論ある程度力を出せば余裕で倒せるが、それでは意味がない。

 俺がこの自主練で学ぼうとしているのは勿論強くなるためだが、身体能力の向上や攻撃力の向上ではない。俺の目的は技術と観察眼の向上なのだ。観察眼はあの島で生き抜くために必要だったからそこまででもないが、俺に最も必要なのは技術。つまり体術なのだ。己の力に頼るのでは無く体術、つまり空手や柔道のような体術を身に着けそれを実戦で使えるようにするための練習なのだ。

 近づけないまま数分が経過したところで、俺の背後から雷撃が通り過ぎるとフェリシティーを襲った。


「キャ!!」

 完全に俺に意識を奪われていたフェリシティーは雷撃を回避しきれず受けてしまう。


「これで勝負ありだ!」

 俺は銃撃の嵐が止んだ一瞬の隙を見過ごすことなくフェリシティーの腹部にパンチを叩き込む。

 鈍痛と腹部の圧迫で空気を全て吐き出したフェリシティーはその場に蹲る。どうやら嘔吐することは無かったな。最初は力加減を誤って大量にリバースしてたっけ。あれは女性としては一生消えない心の傷を負わせるところだったからな。一週間はまともに口も聞いて貰えないどころか、すっぐく睨まれたのを覚えてる。あれは今まで睨まれた中でも上位に入るほどだったな。

 模擬戦が終わりふぇリシティーが回復するつりで休憩することにした。


「はぁ……また負けてしまいました」

「気にするなって。銀が居なければ弾切れを狙うしかなかったからな」

「でも、普通は考えられないよな。武器も魔法も無しで銃を持つ人間に真正面から戦って勝つなんて、お前本当に人間か?」

「酷い事を言うな。俺は正真正銘人間だ」

 ジンが言う人間は見た目の話であり、レオリオたちがいう人間は戦闘力、身体能力を意味しており話が噛み合っていないことにまったく気づかないジンたちである。


「でも今回は大丈夫だったね。最初なんてもう女子として最悪な出来事だったもんね」

「あれは悪かったな。でもあんなにリバ――」

「それ以上言ったら撃ち殺します」

ふひはへん(すみません)

 頼むから銃口を口の中に突っ込まないでくれ。恐怖しか感じないから。

 結局その後も訓練をして一日を終えた。ああ、せっかくの休日が!こんなことになるなら参加するなんて言わなければ良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ