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魔力なし転生者の最強異世界物語  作者: 月見酒
第一章 おっさんは冒険者を目指す
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第十六話 クラスメイト

 教室に入りると50人近くの生徒の視線が一斉に集中する。好奇心、無関心など様々な視線が俺に向けられてくる。ま、当たり前だよな。それにしても思ったより女子が多いな。七対三と言ったところだな。勿論男子が七だ。で、女子の大半は俺でなく俺の足元に居る銀に向けられていた。ま、普通だよな。別に女子の視線を銀に取られて悔しいとか思ってないからな。本当だからな!


「最終学年になった皆さんと一緒に今日から冒険者を目指すクラスメイトを紹介します。編入生のオニガワラ・ジン君です。一年間だけですが、仲良くして下さいね。それじゃ、ジン君自己紹介を」

「鬼瓦仁だ。で、こっちは銀。一年間だけどよろしく」

「え、それだけ?」

 え、ダメなの?


「他には無いのかしら?」

「他にって言われても何を言えば良いんだ?」

「そうね………それじゃどうして冒険者になったの?」

「楽に金が稼げそうだから」

「え、それだけ?」

「それだけ」

「他にはないの。憧れている冒険者とか有名になりたいとか」

「別に無いな」

「そ、そうなの。それじゃ生徒のみんなに聞いてみようか。質問がある生徒は挙手してください」

 どうせ、興味ないだろ。ってそれなりに挙がってるし。


「それじゃレオリオ君。最初に自己紹介してから質問してね」

 最初に当てられたのは茶色の短髪の男子だった。


「分かりました。俺の名前はレオリオ・ナイツウェル。得意な戦闘はなんだ?」

「近接戦闘だ」

「なら、使える魔法は?」

「レオリオ君、その事ですが――」

 その言葉にエレイン先生が止めようとするが、俺は別に構わないので無視して口を開いた。


「無いぞ」

「え、どういうことだ。無属性だけってことか?」

「違う。俺は一つも属性を持っていない。それどころか魔力を持っていないんだ」

「マジで?」

「こんな嘘言っても特にならないだろ」

 俺の言葉にクラス内がざわめく。おお、凄い驚きようだな。ま、当然か。10億人に1人の割合で生まれ来るらしいからな。そりゃあ、珍しいよな。

 それを知った生徒たちの視線は色々だ。哀れみ、蔑み、好奇心と様々だ。


「悪いこと訊いたな」

「別に気にしてないから、気にするな」

 レオリオに悪気が無かったのは知っている。知らないことはどうしようも無いからな。


「そ、それじゃあ、次に質問ある方は挙手してください」

 お、さっきより人数が減ったな。レオリオに言われたからなのか、それとも魔力を持たないから興味を失ったのか。ま、どっちでもいいや。


「それじゃ、エミリアさん」

「はーい。私の名前はエミリア・ゴットバルト。私の家は国全土にチェーン店を持つ飲食店なの」

 アラゴン・オレンジ色のボブヘアが特徴的な女の子だな。それにしても飲食店か。それは是非食べてみたいものだ。


「で、ジン君で良いよね?」

「ああ」

「ジン君は食べ物で何がすきなの?」

「食べ物か、そうだな……嫌いな物は無いと思うが、強いて言うなら肉全般だな」

「やっぱり!そうだよね。肉は良いよね」

「ああ、最高だな」

「はいはい、二人とも肉だらけの世界に入り込まないの」

「すいません。えへへ」

 しまった、思わず入り込んでしまった。欲望の中でも三大欲求の強さは凄いな。


「それじゃ、次に質問のある人は居ませんか?時間も押してるので最後にします。それじゃ、フェリシティーさん」

「はい。私の名前はフェリシティー・バルボアです」

 バイオレット色のミディアムヘアの女子が丁寧に挨拶してくる。イザベラより気品があるな。本人に言ったら殺されるだろうけど。それよりも、なんでこのクラスにいる奴らの苗字って貴族に居そうな苗字ばかりなんだ。


「私も魔物の家族がいるのですが、あとで触らせて貰えませんか?」

 フェリシティー、ズルイという声が飛び交っている。そんなに触りたかったのか。


「別にいいぞ。でも銀は俺にとって家族だからな。大切に扱ってくれ」

「勿論です」

「はいはい、静粛に。ジン君は好きな席に座って」

「分かった。銀、おいで」

 手を差し伸べると俺の胸に飛び込んできた銀を抱え適当な席に向かう。


「こっちに座れよ」

 そんな時レオリオが手を上げて呼んでくれた。


「なら、お言葉に甘えて座らせて貰うとするか」

 俺はレオリオの隣に座る。


「俺の事はレオリオでいいぜ」

「俺の事はジンと呼んでくれ」

「分かった。よろしくなジン。それとギン」

 ま、クラスには馴染めそうでよかった。


「それじゃ、今日から新学年という事で四年生の授業内容を説明するわね。まず今日だけど、このあと魔物生体が二時間連続の後は一般教養の科目を受けて午前は終わりね。午後からは射撃訓練したあと、近接格闘術と模擬戦を行って終わりよ。冒険科の授業内容は殆どが魔物生体と実技ばかりだからあんまり変わらないけど、覚えておいてね。実技で使用する演習場も去年とは違うから間違えないようにね」

 ま、冒険科だからな魔物の知識は必要だからな。それにしても一般教養、国語、数学なんかが殆どないな。一日に一科目しかないと日もあるんだな。


「ホームルームはこれで終わり。1時間目は魔物学科はここで行うそうだから」

 こうしてホームルームを終えた。懐かしいな。高校以来か。昔もあんな感じだったかは覚えてないけど、こんなハイテクな授業では絶対無かった。なんで黒板じゃなくてタッチパネル式の黒板なんだよ。いや、確かにチョークの粉とかが落ちなくて掃除も楽だけど正直羨ましいぞ。


「なあ、ジン」

「どうした?」

 申し訳なさそうにレオリオが話しかけてくる。


「さっきは悪かったな」

「何がだ?」

「魔力の事だよ」

「別に気にしてないから大丈夫だぜ。それに面倒な事がもう一つあるけどな」

「もう一つ?」

「ま、そのうち分かるさ」

「ん?」

 さて、話すことも無いし寝るとするか。


「少し宜しいでしょうか」

「ん?確か……フェリシティーだったか」

「はい」

「なら、俺の事はジンって呼んでくれ」

「分かりました。それでジンさん、銀君に触っても構いませんか?」

「ああ、良いぞ」

 膝の上で大人しくしていた銀はフェリシティーが差し伸べる手を軽く臭って確かめると歩いていった。


「かわいいですね」

 丁寧な言葉遣いとは裏腹に表情はとても可愛らしかった。この世界の女性はレベルが高いと思うのは俺だけか?


「フェリシティーだけずるい!」

「私にもだっこさせてよ!」

「分かりました。ですが順番ですよ。そうでないと銀君が嫌がりますから」

 節度は守ってるんだな。性格から考えて一人で居るのが好きそうなイメージだがそうでもないようだし。


「わぁ、かわいい!触り心地も最高」

「早く変わってよ!」

 こういうところは子供と違って大人だよな。小さい子供なら間違いなく奪い合いが始まってるだろうからな。

 こうして最初の休み時間が終わり、1時限目の授業が始まった。

 それから時間は過ぎ昼休みになった。魔物生体はそれなりに興味深かった。習性や戦闘時の攻撃パターン。弱点など様々知ることが出来た。強くない相手に時間は掛けたくないからな。一般教養は既にイザベラに教えられていたので楽勝だった。てか、暇だった。


「一緒に昼飯食べようぜ」

「なら、私も一緒に食べたい」

 俺たちの会話を聞いたのかエミリアが参加してきた。


「なら、私もご一緒して宜しいですか」

 今度はフェリシティーか。なんだこのラノベ的展開は。いや、普通か。


「別にいいけど、先約している奴がいるから、そいつと一緒でも良いか?」

「別に構わないけど、誰だ?」

「俺のルームメイトだよ」

「ああ、なるほど」

 クラスメイトよりルームメイトと先に仲良くなるのは自然だ。だからレオリオたちも直ぐに理解したのか納得した表情を浮かべる。

 俺たち四人は一緒に学食に向かう。


「こんなにゆっくり向かって平気なのか?」

「大丈夫だよ。食堂には六千人が座って食べれる席があるし、今日は新入生が居ないから余裕だって」

 六千人……流石はマンモス学園。何もかもが規格外だ。


「それに、売店でパンとか買って食べる子もいるしね」

「食堂はタダなんだよな?どうして売店で買って食べるんだ?」

「ま、人が多いのが苦手な子や次の学科によっては次の授業の準備とかもあるからね」

 確かにそれもそうか。ん?あれは……。


「どうしたジン?」

「悪い先に行って二席取っておいてくれ」

「お、おい!」

 俺はそう言い残して人気の少ない方へと向かう。確かこっちに行ったよな。

 角を曲がると目的の人物――ジュリアスが居た。それと先日の不良トリオ。さて、今すぐ話しかけても良いが、やっぱりここは盗み聞きが一番だよな。ラノベでもよくあるし。断じて好奇心が擽られたわけではないぞ。


「なぁ、ジュリアス頼むよ~。欲しい武器があるんだけどどうしてもお金が足りないんだよ。お前の家金持ちだろ。だから少しくれねぇか。俺たちは友達だろ」

 はぁ……これまたテンプレなセリフだな。いじめで起こりうる事と言えば、暴力による優越感に浸るか、現金の要求。この場合脅迫と言った方がいいのか。だけどどうしてだ。同じ1組とは言え、ジュリアスはそれなりに強いと感じたが、なんで文句の一つも言い返さないんだ。


「なぁ、黙ってないで答えろよ。ジュリアちゃん」

「っ!」

 リーダーの男が口にした言葉にジュリアスの身体がビクッと震える。何言ってるんだ。ジュリアスは確かに女のような容姿をしているが男だぞ。なんでちゃん付けなんだ。


「それとも秘密を皆に言っても良いのかな。本当は女で男の姿をして入学してるって事を」

 なにっ!女だと!確かにジュリアスは女のような容姿で、ラノベでもよくある話だけど、まさか現実で本当にあるとは、なんたる事実!今世紀最大の驚きだぜ。


「それはダメだ!」

「だったら、分かるだろ。俺たちお前の秘密を喋らない代わりに対価を要求してるんだ。それともここで無理やり犯されたいのか」

「っ!」

 おい、今なんて言った。無理やり犯すだと……悪いがそれは俺の信条が許さないんだよ。爺さんとの約束でもあるからな。


『仁や。良いか女子は大事にするんじゃぞ。そして傷ついてる女子がおれば助けるのじゃ』

『分かったよ。じいちゃん』

 だから悪いが、盗み聞きはここまでだ。なぁに知らんぷりして行けば大丈夫だ。………たぶん。


「おい、ジュリアスこんな所に居たのか」

「っ!ジ、ジン、どうして……?」

「いや、一緒に昼食食べる約束してただろ。なのにどっかに行ってるから吃驚してな。なんか取り込み中だったか?」

「そ、そんな事はない」

「で、お前ら俺のルームメイトになんかようなのか?」

「チッ行くぞ」

「こいつリンチにしないの?」

「馬鹿か、もしもこいつがチクったら面倒な事になるだろうが。この学園は弱肉強食のくせにいじめだけは厳しいからな」

 そうなのか。それは良いこと聞いた。


「それもそうだな」

「おい、ジュリアス。明日の昼休みまでにちゃんと準備しておけよ」

「………」

 そう言い残して不良どもは消えていった。まったく面倒な事ばかり起きるよな。


「それじゃ一緒に昼食食べようぜ。クラスメイトたちを待たせてるんだ」

「悪いけど僕は遠慮する」 

「おい、ジュリアス。お前は俺との約束を破るのか」

「そ、それは……」

「俺はこの学園に来て二日目だ。本校舎にいたっては初めてだ。頼むから助けてくれよ。ルームメイトだろ」

「………分かった」

「それじゃ、行くか」

「なぁ、ジン」

「なんだ?」

「さっきの話聞いていたのか?」

「確かに不良どもが何か喋ってたようだが、聞き取れなかった。早く昼食が食べたくてそればっかり考えてたからな。それで何話してたんだ?」

「いや、なんでもない」

「そうか。なら早く行くぞ。クラスメイトたちを待たせてるんだからな」

「あ、ああ」

 俺はジュリアスの手を引っ張りながら食堂に向かった。


「で、どうやって飯を貰えば良いんだ?」

「本当になにも知らないんだな」

「当たり前だろ。初めてなんだから」

 そんなに呆れなくても良いだろうに。


「ここの自販機で食券を選ぶんだ。お金は要らないから好きなの選ぶと良い」

「なら、おにぎり5つとカツサンド5つとバーガー6つとあと銀のステーキ2枚だな」

「そんなに食べるのか」

「食べないと午後からの授業が持たないぞ」

「どちらかと言えば食べすぎで動けなくなりそうだが」

 そうか?この身体になってからどれだけ食べても太らなくなったんだが。

 食器プレートに山積みになったご飯を持ってレオリオたちを探す。


「ジン君こっちだよ!」

 手を振るレオリオを発見した俺はジュリアスと一緒に近づく。


「遅れて悪い」

「もう、ほんとだよ。お腹ペコペコだよ~」

「と言っても私たちも数分前にここに座ったばかりですけどね」

「そうなのか?」

「席は空いてても食券を買うまでが長いからな」

「あ~なるほど。俺たちの時は少なかったから楽だったけどな」

「中途半端な時間に来るのが一番悪いってことだな」

「お前は何年ここに通ってるんだよ」

「すっかり忘れてたんだよ」

 そんな漫才にもならない会話をしたながら俺とジュリアスは空いてる席に座る。


「紹介するな。俺のクラスメイトのレオリオとエミリアとフェリシティーだ。で、こっちがルームメイトのジュリアスだ」

「え、もしかして『#氷刀__アイス・ソード__#』のジュリアス君!ジン君のルームメイトなの!」

「なんだエミリア知っているのか?」

「知ってるも何も1組の上位5名の中に入る成績の持ち主なんだよ!特に実技成績は3位の実力者なんだから」

「そうだったのか」

 そんなジュリアスがあいつらに脅されてる訳か。こんな良い奴を脅すなんてな。性根が腐ってやがる。


「おい、ジンどうしたんだ?」

「何がだ?」

「怖い顔になってたが」

 おっとポーカーフェイスが大得意な俺としたことが、気が緩んでいたようだ。


「俺もエミリアと同じ料理にしておくべきだったって後悔していたところだ」

「やっぱりジンくんには分かるんだ。この素晴らしい超肉厚ステーキの良さが」

「勿論だ」

「だけど、残念これは一日1000個限定メニューなんだ」

「それは限定って言えるのか?」

「確かにその通りだな。1000個は限定って感じしないよな。でもこれ冒険科の俺たちや軍務科の連中には大人気メニューなんだぜ」

「そうなのか。俺も明日はそれにするか」

「それが良いよ」

「それより早く食べましょ」

「そうだな」

 その後俺たちは楽しくご飯を食べた。なかなか美味かったな。これなら昼の授業も頑張れそうだ。


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