まんざいぶのつーとっぷはさいきょーにかっこいーのである、あとちなみにぜんかいとぜんぜんかいのさぶたいとるはなんごうせんぱいがかんがえたものだとおもわれる
「じゃあまず今月の活動目標を決めようぜ!」
休日のおっさんの体制のまま目を光らせて俺にウインクをするにゃんこ先輩。
とりあえず本日に活動目標としてそのソファから立つというのはどうだろうか。
キグルミで直立待機なんてしてるから疲れるんだろ。
まあでも活動目標を決めるのには賛成だ。
「そうっすね、どうせしないですけど決めたらやった気になりますもんね」
「うんうん、一言余計だけど北城の皮肉に付き合ってたら日がくれるからな、ほっておこう!」
それ口に出したらほっておいたことにならないのではないでしょうか先輩……
「じゃあここにホワイトボードとモーニングスターがあるからなこれに意見を書いて発表し合うっていう形式にするか!」
「にゃんこ先輩、モーニングスターで文字は書けないです。
っていうかあるじゃないですか油性ペン……」
「それは油性ペンという名のモーニングスターって訳だね!」
「どういう訳だかわからないっすわ」
「にゃはは!そうだね!」
にゃんこ先輩は黒板にチョークでこんげつのかつどーもくひょーと書きながらけらけらと笑っている。
決まった活動目標は黒板にずっと書いておくってことか。
「はい!
じゃあ書いて!」
……しかしこれは大喜利でもしろってことなのか?
それとも普通に書けばいいのか?
態々ホワイトボード形式で書くってことは大喜利に決まってるか。
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数分後、徐ににゃんこ先輩は声をあげた。
「はい、じゃあもう書けたっぽいから発表して!
北城君から!」
「俺先っすか……
構いませんけど……
じゃあ、はい」
【M1で優勝する】
正直大喜利するべきか否かわからなかったのでネタかどうかわからない方向に走ってみたというのが内情だ。
いまいち面白味に欠けるが、恥をかくよりはましである。
「おー、北城やる気満々じゃん!
今年も出ようぜM1!」
いやあんた去年出てないじゃん、出たとしてもラッパー部門だろ。
そんな部門ないけど。
「次にゃんこ先輩っすよ、時間押してるんで早くして下さい」
俺は椅子に座り直して言った。
「なに言ってるんだ北城、我らもらとりあむず!
時間なら腐るほどある、焦るんじゃない!」
ちゃっかり名言っぽいことを挟むんじゃない。
「では満を持して!
はいどん!!」
【Mステで優勝する】
ラッパー部門で優勝したからって音楽に路線変更しやがったこいつ……
Mステに優勝ねえし。
「にゃはは!
どうだ北城!これが漫才部部長のセンスだ」
「今のネタだったんすね。
にゃんこ先輩が言うとマジに聞こえるから困るんすよ」
俺がそう呆れたように溜め息をつくと、にゃんこ先輩は目をキラキラさせて喜んだ。
「北城は私にそんな可能性を見出だしているのか!
そうと決まれば漫才部は解散だ!
演歌歌手を目指そう!」
ソファの上でガッツポーズを決めるにゃんこ先輩。
脅されて入部した俺はどうなる……
そして何故演歌に走った……
というか物語始まって序盤の序盤でタイトルが意味を成さなくなるほどの危機に陥ってる件。
「嫌ですよ」
暴挙に出ようとしているにゃんこ先輩に向かって俺はつい言ってしまった。
「……北城?」
俺が珍しく真面目な顔をしていたのに勘づいたのか、にゃんこ先輩も少し驚いているようだった。
「そんなんなったらまた俺ぼっちに逆戻りじゃないすか」
なんの恥ずかしげもなくそんなことを言って見せる俺を見て、にゃんこ先輩は包容力すら孕んでいそうな笑顔で返す。
「北城、君を誘ってホントに良かったよ」
……どうやらなんだかんだ言ってこの場所は俺にとって相当居心地がよかったようである