まんざいぶふくぶちょーはせんぱいこんぷれっくすである
「着きましたよ……」
弄られ過ぎて若干げっそりしているように見えなくもない撫奈村書記は、生徒会と思われる教室の前で立ち止まる。
「……」
「……」
「あの、入らないんですか?」
ドアの前で急に足を止めた俺達に言葉をかけてくるちみっこい少女だったが、そんな問い掛けは俺たちの耳には入らない。
「にゃ、にゃんこ先輩お先にどうぞ……」
何故かってそりゃあ俺達が超弩級のぼっちだからである。
知らない人が一杯いるところなんて行きたくない。
大体気に食わないからって同じ生徒会の奴等を簡単に売るなんて……平たい胸して悪魔である。
まあでも胸も心もでっかいうちのにゃんこ先輩は後輩に無理強いなんて心無いことするわけが……
「北城、部長命令、行け」
あれ?幻聴かな?
「……にゃんこ先輩って滅茶苦茶可愛いですよね」
「知ってる、行け」
さいですか……
「……にゃんこ先輩ってぼっちみたいに見えてコミュ力の塊ですよね」
「そうだな、じゃあ北城も私を見習って行け」
……
「……拒否権は?」
「ない、行け」
仕方ない……
俺は腹を括って前を向く。
と、視界の端に必死に気配を消しているちみっこを発見した。
「……撫奈村書記」
「げっ、なんすか……」
「君に人権はない、行け」
「せめて無くすの拒否権とかにしてもらえますかね!?」
悲痛の面持ちで吠える貧乳娘。
だが問題ない。
俺達は捨てられた仔犬のような目で彼女を見つめて断りづらくする作戦に出る。
「うわっ気持ち悪!
私が開けますからその泥のように濁った目で見つめてくるのやめてください……」
そう吐き捨てて撫奈村書記は呆れたように生徒会室のドアを思い切り引っ張った。
が、扉はピクリとも動かない。
俺の心がガタガタに揺れ動いているというのに……
なにもそこまでいうことはないじゃないか……
「あれ?おかしいですね……
ふんぬっ!」
疑問符を浮かべた彼女は、更に力を込めるが一向に扉が開く様子はない。
暇だな……
どうすることもできないので黙って待っていると、内側から急に扉が開かれた。
「ナナちゃん……いい加減引き戸だって気付いて……最近マジな方で立て付け悪くなっ……ひょくじょう!?」
顔を出したのは俺と若干キャラが被っていそうなチャラチャラした金髪お団子ヘアーの男子生徒。
俺を見た瞬間に硬直してしまった。
なんか……この人中学で見たことあるような……
「あ、北原先輩!
今日からこの生徒会室を一緒に使うことになった北城くんと南郷先輩ですよ!」
溌剌と元気よく声を張り上げる撫奈村書記。
こころなしかなんか凄い悪い顔してるような気がしないでもない。
そして北原先輩って人の方はそのままの意味で凄い顔をしている。
「あっ、北原先輩……ですよね。
お邪魔しまーす!」
にゃんこ先輩が敬語を使っている!?
凄い!めっちゃいい子!
やっぱり出来る子だ。
でも若干緊張してる、可愛い。
「え、いやお邪魔しないでほし……」
あ、なんか苦言を呈そうとしてる……
けどここで断られたらにゃんこ先輩が立ち直れなくなっちゃうから俺が何とかしねえと!
「北原先輩っすよね……同じ中学校でしたっけ?
そのお団子見覚えあったんですよ、これからよろしくです」
「ふんっ!!」
お団子両手で引っ張って千切り捨てた!?
頭皮から血が出てえぐいことになってるよ!
「全くお団子ってなんだよ、誰の話をしてるんだ?
気のせいじゃないかな?
君と僕は何の接点もない赤の他人だ、いいね」
いや赤いのは貴方の頭ですけど……それに割りと洒落にならないですけど。
「だ、大丈夫!?
いきなりどうしたの?
救急車呼ぼうか?」
「あっ!!あぁ!
本当だ!
携帯の電池……ない!
ごめん……頼めるかな……?」
おろおろとしだすにゃんこ先輩に対し、ポケットに手を突っ込みながら答える北原先輩。
まさか……こいつそれが目的か!
うちの可愛くて格好よくてセクシーなにゃんこを横から掠め取ろうと?
この猫泥棒!
そうと分かれば!




