まんざいぶめんばーはせいとかいけんしんぶんぶめんばーとのかいこうをはたす
「落ち着きましたかね……?」
俺たちが場所をずらしたのは玄関口から入れるテラスだ。
このテラスは3棟の間に挟まれていて、植物が生えていたり上が吹き抜けになっていたりと幻想的な作りになってはいるのだが、何分外である。
夏は暑い、冬は寒い、つまり人がいない。
俺たちはテラスに数セット設置された白い木製の丸テーブルとそれを囲む木製の椅子を見つけたので、とりあえず座った。
「う、うん……
ありがとう北城……」
泣きじゃくって嗚咽を漏らしているにゃんこ先輩。
無茶苦茶可愛い。
抱き締めたい。
名前まで付けていたんだ、なんだかんだ言って思い入れのあったキグルミなんだろう……
ゴミと勘違いされてあそこまで酷く扱われたら悲しくもなる。
「トリビア・ノ・イズミぃ……
ごめんよぉ守れなくて……」
間違ってる間違ってるそれテレビ番組。
「トリビア・Da・ヨ……」
知らねえよ。
俺が白い目で見ていると、彼女は丸テーブルをドンと叩いて立ち直った。
「北城!
今回の件、許すわけには行かないぞ!」
別に今名前すら曖昧な先輩のキグルミが捨てられただけでほぼ被害ないですけどね……
それでも長い間あそこが使えなくなるのはまずい。
「まあ、そうっすね……
とりあえずは新聞部探して全員真珠湾に沈めますか?」
「遠すぎるよ北城、東京湾でいいだろ……
それとさっきからつけてきてる奴……出てこいよ。
私たちを欺けると思ってんのか?」
えっ……私達?
俺全然気付いてないんだけど。
テラスの入り口の方からすごすごと出てきたのは、髪をストレートにして肩まで伸ばしたちみっこ。
なんでこんなところに小学生が……
仕方ない。
「はぁ……大丈夫?
迷っちゃったの?どこの小学校?
案内するよ?」
「高校生ですけど!」
そう怒鳴るちみっこ、尚迫力は皆無の模様。
「北城……ロリコンには残念かもしれないけどその子は高校生だよ」
ため息混じりで隣から聞こえるにゃんこ先輩の声。
誰がロリコンだ。
「合法ロリ最高じゃないですか、俺ロリコンじゃないですけど。
というかにゃんこ先輩、お知り合いですか?」
「そうだね……生徒会の一年で書記やってる撫奈村って子だよ。
漫才部潰すために何度も精力的に会議開いてた。
まあその度に私が論破してあげてたんだけど……」
「成る程、遂に業を煮やさせて強行手段に出たって訳だ。
とりあえず座って……」
「……はい」
俺がそういうと、彼女は申し訳なさそうな顔をして白い丸テーブルを囲んだ席の内の一つに座る。
「机に鞄置いて」
「……すみません」
「ブレザー脱いで」
「……分かりました」
「ブラジャー頂戴」
「……了解で……ってなにやらせるんですか!」
ちっ、流石に気付かれたか……
「撫奈村ぁ……北城が可哀想だろ。
ブラジャーの一つくらいいいじゃねえか……減るもんじゃないし。
おおよしよし北城、あとで一杯慰めてやるからな……」
にゃんこ先輩……なんていい先輩なんだ!
「減りますよ!
ちゃんと物理的に減りますよ!
と、というかなにするつもりですか!不潔です!」
そんなことを言ったもんだから、にゃんこ先輩がいつもの3割増しで妖艶な声で唇を動かす。
「なにってそりゃ……セ」
「セ……!」
顔を真っ赤にして息を飲む撫奈村書記。
初だなぁ……
「パタクローだな」
「またセパタクローですか……最近そればっかっですね」
「いつもしてるんですかセパタクロー!?
二人で!?」
「してるわけないだろ、私達がいつもしてるのは……」
艶美に口角を吊り上げたにゃんこ先輩は、椅子から立って俺の方に足と手を絡めてくる。
口を半開きにして間抜け面を晒している撫奈村書記は放っておき、俺もそれに答えるように先輩の手を取って顔を近づけた。
「ま、まさか本当に……!」
驚きを隠しきれないといった様子の撫奈村書記、俺たちはそんな様子の彼女に向かって口を揃えて動揺を誘う。
「あばばばばば」
「あばばばばば」
「いや無理すんなよ!」




