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漫才部っ!!  作者: 育深
まんざいぶはぶしつをまもりたいそのいち
35/52

せいとかいめんばーはぜんいんげすい

「そこで終わらない……とは?」


北原先輩の話術に引き込まれたのか、身を乗り出して先を急かす阿相先輩。


「一時期、均衡を保っていた不良中学四校。

北霧谷、南霧谷、東秋、西山原のパワーバランスが音も立てずに崩壊したんだよ」


その言葉には、会長がいち早く反応した。


「それなら私も知っているぞ。

私と北原がこの高校に入学してきた年の話だろう。

なんでも当時最強勢力だった南霧谷で内輪揉めが起きて一気に弱体化したとかいう……」


……なんか前期中等教育課程を普通に終わらせてきた私には雲を掴むような話だ。

昭和のヤンキー漫画でも読んでるみたい。


「そ、でも実はその情報は間違ってる」


「ここまで来たら分かりますよ……

そういうことなんですね」


北原先輩は、私の言葉を聞いて悩ましげに頭を抱えた。


「ここで一発ボケでもかましてやりたかったとこなんだが……

まあ間違ってない。


北城多々良は南霧谷を一週間で壊滅させた。

それはもう再起不能になるまで、完膚なきまでに叩きのめした。


その影響は今でも残ってて、今じゃ北城一人に潰されたあの中学をナリヤン中学とまで揶揄する奴等も多いって訳だ」


「うわぁ……私もしかして……ヤバイやつに喧嘩売っちゃいましたかね?」


自分でも顔が青白くなっているのが分かる。

これはいけない。

本当に関わっちゃいけないやつだ。


「北城だけじゃない、南郷は北霧谷屈指の問題児だ」


重い口を開いて話し始めたのは瀬南生徒会長。

また、場を緊張が支配した。


「私は卒業後の彼女については噂で聞くぐらいしか情報がなかったのだがな。


でもあいつは一年から異常だったらしい。

入学から僅か5日で一年のトップに立ち、一週間で私の城を滅ぼした」


その会長の台詞に明らかにお嬢様お坊っちゃま学校の生徒会長の口から出てはいけないような言葉が入っていたことに私が気付く。


「し、城ってなんですか……

会長まさか……」


「んあ?

ナナちゃん知らなかったの?

俺も会長も元方位磁針だよ」


「……もう何を聞いても驚けませんよ」


方位磁針、その名前を私は知っている。

先ほど北原先輩の話の中に出てきたこの高校を囲むヤンキー中学四校。

その中でのトップが方位磁針と呼ばれているらしい。


この人たち……本当に底知れない……


「まぁ北城の方は暴れ始めたのが二年からだったから俺に被害はなかったけどね。

卒業した後だし。

会長のところは悲惨だったっぽいね……御愁傷様」


「まぁそうだな……

酷いものだった。


それに逸話はそれだけじゃない。


二年の時には自分以外の方位磁針を一人で相手にして無傷で帰ってきたり、単身で異常な人数を一度に一人残らず病院送りにしたり……


あいつが三年で不登校になるまでは北霧谷は紛れもなく最強だった筈だ」


昔を懐かしむように話す瀬南会長だったが、内容が穏やかじゃなさすぎる。


「不登校……ですか?」


阿相先輩が食いついたのは不登校の部分だった。

そんなのどうでもいいだろこんちきしょうめ、私の身を心配しろ。


「あ、ああ。

私にも理由はよく分からないんだがな……三年の時あいつはほぼ学校に来ていなかったらしい。


それどころか一年通して見かけた人間すら居なかったとか……」


「うええ、なんか怖いね。

都市伝説みたいだ……ナナちゃん新聞部でしょ?

取材してきてよ」


顔をしかめて私に言う北原先輩。

私は机を叩いて抗議する。


「殺す気ですか!?

というか近寄らない方がいいって言ったの先輩じゃないですか!」


「だってさぁ……よく考えたら俺ら関係ないしこのままナナちゃんが身代わりになってくれれば……

安全?」


北原先輩が目を向けたのは阿相先輩の方。

味方してくれそうな人にアイコンタクトして同調圧力をかけるなんて……鬼畜だ。

いつの間にか私と向かいになっている自分の席の方に戻って私関係ありませんアピールをしている。


「それもそうですね……

悪いな撫奈村……でも今回の件俺たちは関係がないのは事実だ。

頼んだぞ」


案の定私を生け贄にして逃げることに賛成する阿相先輩。

この人は……基本的に鬼畜外道だから期待はしていない。

同じく私と席を離している。


「ちょっと!最低すぎませんか!?

私をなんだと思ってるんですか!?」


「そうだぞ、それは余りにも酷すぎる。

我ら生徒会、一丸となって悪魔共に立ち向かうべきだ。

撫奈村一人に押し付けるなんて外道め!」


そう助け船を出してくれたのはやはり会長。

私は尊敬の眼差しで隣の席に座る会長を見る……あれ?いない。


「……会長、そう思うんならなんで外道側をポジショニングしているんですか?


さっきまで私の隣でレコーダー聞いてたじゃないですか……」


「これは……



あれだ!!」







辞めたい、こんな血も涙もない奴等だなんて……


まあ分かってたけど……


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