せいとかいめんばーしょきいちねんはくろうにんである
「会長、中のSDカードまではやられていないかと思います。
なにかに接続さえすれば聞けますよ」
「そ、そうか!
良かった!」
そう口を開いたのは阿相先輩。
でもな、私のレコーダーはぶっ壊れたままなんだよ?
分かるかい会長さん?
そして生乾きになって小便のような臭いを発している私の鞄をなんとかしやがれ。
「明らかにこれいじめ案件ですよぉ……
犯罪です……」
「少なくとも盗撮盗聴その他色々やりまくってる新聞部ちゃんが言う台詞ではないよねぇ?」
「まぁまぁ、私がまた焼き肉でも奢ってやるから落ち着け」
「きゃっ!
会長最高です愛してます!」
なに食べようかなぁ……
まあいつも通り全種類食べ比べは譲れないだろ……
それからぁ、って阿相先輩なに見てるんですか……
あんたお茶溢したんだから今回はなしですよ。
「今、撫奈村から
『仕方ないなぁ、許してやるよ。
一緒に来い』
との、アイコンタクトが……」
「送ってねえよ!
目をキラキラさせんな!」
私が必死の形相で怒鳴り散らすと、流石に飽きたのか呆れたのか、北原先輩が私たちを諭しにかかる。
「もう、会長も阿相も話をややこしくしないで。
聞くんでしょ?
漫才部の連中の会話。
ナナちゃんもそんなぶっさいくな顔しない!」
誰が不細工だこら、私だって中学ん時はモテてたんだぞ。
高校に入ってから回りにイカれた奴等しか居なくなっただけで。
「じゃあとりあえず、生徒会室内のテレビにSDカード……
なんて付けられる高度な知能を持った人間は生徒会にいないから、俺が毎日音楽聞いてるiPodに差し込んでいいよ」
「それもそうだな、頼む北原」
北原先輩は窓側に設置された埃の被ったテレビと、私たちのアホ面を見比べて言った。
生徒会の知能レベルが低すぎる件。
「はい、じゃあナナちゃん付けて。
ここに差し込むだけだから」
「は、はい了解です」
私は彼に手渡された水色のカバーで覆われたiPodを丁重に受け取り、左手に持ったSDカードを差し込む。
すると、北原先輩から気持ち悪い奇声が聞こえてきた。
「あぁん!
大事なところに入っちゃうぅ!」
ちょっとまともにしてたかと思えばすぐこれだよ!!
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「ん?出来たかな……
じゃあ流しますよ?」
私が接続を終えて聞くと、各々頷いて返答を返す。
因みにどっかの誰かがお茶を吹っ掛けたせいで、データの一部が破損していた。
……おいお前だよ鼻くそほじってんじゃねえ……うわっこっちに投げるな!
まあいいや、いちいち言ってたらキリがない。
ポチッとな。
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「というわけでコントのネタの練習をしよう!」
「そうっすね、漫才を面白いかどうか決めるのは、空気やテンポですもんね」
「じゃあ俺がにゃんこ先輩を後ろから優しく抱き締めるシーンからですね」
「そんなシーン作った覚えがないよ」
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「はいちょっとナナちゃんストップ」
男なのにシミもニキビもない綺麗な肌を青白く染めた北原先輩が私の肩を掴んで待てをかけた。
「なんですか?
そんなぶっさいくな顔して」
「うっわぁ意外と辛辣……
ってまぁそんなことは今どうでもいいんだよ……
その音声って本当に北城?」
「ええ、はい。
ちゃんとこの目で確かめましたけど……
そんなにぶっさいくな顔になってまで聞くことですか?」
「どこまで根に持つ気だよ……
まあ……うん。
なんつうか……イメージが違うっていうか……俺が前見たときはもっとバリバリのヤンキーしてたような……」
「えぇ、そんなことないですよぉ。
ずっとあんな感じですよあの人」
私が訝しさを抱いた目をぶっさいくに向けると、瀬南会長が私の肩をつついた。
「な、なんですかさっきから……私の肩触りすぎです!
えっちぃです!訴訟です!」
「私は女なんだが……まあいい。
私も俄には信じられないんだ。
南郷はこの高校に入ってから大分大人しくなったというかおかしくなったというか……
正直あいつが誰かとつるむなんて中学以来だ。
それに……つるんだとしてあんな普通の青春臭いことするとは考えられないよ」
「そ、そんなですかねぇ……」
今までとはうって変わって神妙な表情でそう告げる会長達を見て、私の中で段々と嫌な予感が膨らんでいく。
私のストーキングってバレてないか?
今ですね、なぜか尋常じゃなくゴールデンな玉が痛いんですよ……
いやこれやばいって……死んじゃうよ……
蹴られた覚えもないしテクノでぶっ壊れるようなこともした覚えないですって……




