せいとかいめんばーはまんざいぶよりぐれーどはさがるがあほのあつまりである
ガタッ、という音を立てて生徒会室と書かれた看板のある教室に入ろうとする。
あれ、おかしい。
開かないぞ。
「引き戸だって何度言ったら分かるんだ?
撫奈村」
「う、うるさいっすねえ!
家の玄関が開き戸なんですよ!」
「どんな言い訳だ、大抵の家は開き戸だよ」
あたしの名前は撫奈村陽茉莉。
生徒会書記兼新聞部所属、1年A組だ。
髪はまっすぐに伸ばしたストレートヘアで、地毛が茶髪。
長さは肩くらいまではあると思う。
身長は……誠に遺憾ながら140前半、ほんのすこーしだけ小柄だ。
今引き戸とかほざいていたのが、2年の書記。
阿相忠雄先輩。
身長180を優に越える体躯で、顔もいかついが、端正ではある。
「なぁに?
ナナちゃん、また漫才部のとこ行ってきたの?」
軽薄そうな声であたしに聞いてくるのは、3年の会計の北原那緒先輩。
女みたいな名前だが、男である。
170センチあるかないかの身長に、特徴的なパツキンお団子ヘアー。
制服はシャツ出しでネクタイなんか第3ボタンの所まで下げてしまっている。
風貌は2000年代のヤンキーだ。
「仕方ない、あそこを廃部にする会議で撫奈村は毎度コテンパンに言い負かされているからな……」
「余計なお世話ですよ!」
お菓子やジュースのゴミが散乱した長机の比較的綺麗なところに鞄を置いて、私も席に付く。
席は全部で5つあり、長机を囲むように設置されている。
会長席だけお誕生日席だ。
「まあ……一番やべえのは北城の方だと思うけどなぁ、ナナちゃんも気付けろよ?
あんまちょっかいかけんなよ?」
あの男の方か?ただの変態じゃないか……
ナナたんぱんちで勝てるわ。
とかなんとか考えている間に、生徒会室のドアが開く。
「おっ、かいちょーさんのお出ましですかね」
「おはようございます、会長」
「遅いですよー会長!」
腰まで伸びた綺麗な黒髪、身長170センチほどの背丈、可愛いというよりかは美しいといった風な端正な顔立ち。
我が校の生徒会長、瀬南御世先輩だった。
「御世ちゃん、聞いてよ。
今日もまたナナちゃんが漫才部覗きにいったらしくてさぁ」
丁寧にぴしゃりとドアを閉め、長い髪を振って席に着く瀬南先輩に向かっておちゃらけたようにチクる北原先輩。
「ち、違いますよ瀬鳴先輩!
視察です視察!」
「そうか……南郷にはあまりちょっかいをかけるなよ。
戦争が起きる」
私の弁明など聞かなかったかのように、椅子を直しながらそう忠告する瀬南先輩。
目は少し鋭くなっており、冗談で言ってるわけじゃないことが分かる。
が……
北原先輩とはいえ本気でいってるのか?
あんな奴らただのバカップルでしかないじゃないか、うらやま……げふんげふん。
「先輩方おかしいですよ……あんな奴らのどこに警戒しろってんですか……」
「まぁまぁ、取り敢えずは落ち着け。
前から思ってたんだが、視察っていったい何してるんだ?」
私が愚痴を言い始めたからか、気を使って話を逸らそうとする阿相先輩。
私も宥められているのだと気付き、少し恥ずかしくなった。
「いやぁ、特には何も……とりあえずあの部活を潰すための糸口になり得るようなものを探してます。
あっ、そいえば会話とか録音してきたんですけど……聞きます?」
鞄の外ポケットからレコーダーを取り出して先輩方にに聞く。
「え!聞く聞く!」
「おい北原……少しはモラルと言うものをだな」
「なぁに?
気になってんでしょ?
安心しなよ、バレたとして責任は全部このちびっこにあるから」
「そ、それもそうだな。
聞かせてくれ、撫奈村」
「今の流れで聞かせてもらえると思う先輩方が不思議でなりませんよ」
怖くなったので、レコーダーを鞄へと戻す。
やけにキラキラと期待した目をしているお馬鹿な先輩達を見て、私は口許を綻ばせながら形だけのため息を溢した。
入学したと思えばあっという間に4月の最終週。
窓辺からあんなに存在を主張していた桜も、今はそこまでの存在感がない。
……後どれくらいの時間、この人たちと一緒に生徒会してられるのだろうか。
「撫奈村、どうした?
辛気臭い顔して……」
そうだな、今考えるようなことじゃないのかもしれない。
そう考えながら、私の鞄をまさぐってレコーダーを探している先輩達を見る。
っておい!




