まんざいぶめんばーはいつもどーりいちゃこらしている
「それは重症だなぁ、改善が必要だと思うぞ!」
所変わってここは漫才部部室。
今朝のことをにゃんこ先輩に話した結果がこれだ。
毎度毎度よく飽きもせずにいつもの野菜ジュースを握り潰しながらの昼食時。
「改善て……なにするつもりですか?」
「まあ要するに、だ。
北城が女の子とくっついても平静を保てればいいんだろう」
「まあそうなんすけど……」
漂う地雷臭、いきり立つ死亡フラグ。
なんか嫌な予感しかしない。
「って……なんで手を広げているんですか先輩?
グリゴ乳業の回し者ですか?」
「誰が大阪の看板に磔にされたキリストだ」
「……怒られますよ?」
彼女は飲み終えた野菜ジュースを部室の角にあるゴミ箱に投げ捨てた。
あ、俺の鞄に入った……
「……多方面から怒られそうだな」
見て見ぬふりしたなこいつ、一瞬間があったぞ。
「牢屋でも一緒ですよ、にゃんこ先輩」
「捕まるのは女子高生の胸をそふとたっちしてるお前だけだぞ、北城」
そんなことを言いながら頬まで流れた髪を撫でたにゃんこ先輩を尻目に、食っていたサンドイッチの袋を丸めてゴミ箱投げる。
あっ、にゃんこ先輩の鞄の中に入ってしまった。
……
「……で、手なんか広げて何がしたかったんですか?」
「おい北城、ちゃんとゴミ箱に入れろ」
なんて不条理だ。
渋々重い腰を上げて、にゃんこ先輩の鞄の中のゴミを取り出す。
そしてそのまま流れるような動作でゴミ箱へ投げ捨てる。
よし、決まった。
「で、にゃんこ先輩……
話がめっちゃ逸れましたけどなにする気だったんです?」
俺が問いを投げ掛けると、彼女はさも当然といった様子で答えてくれる。
「んー?
女性耐性を付けるために抱き付いて上げようかとおも……」
「やりましょう、今すぐに」
言い終える前に食いつく。
にゃんこ先輩と抱擁……
はっ、しまった。
3人の子供を連れて海外旅行に行くところまで妄想してしまった……
しかし、現実はいつだって非情である。
頬を可愛らしくぷくっと膨らませたにゃんこ先輩は、見ての通りすねてしまっていた。
「グリゴとか言うからやだ」
「くっ、これが世に言う猿も木から落ちる……ってやつか」
「控えめにいってそんなわけないだろ」
ジトリと俺を睨んだにゃんこ先輩に癒されていると、窓の方からガタッと物音がした。
「……先輩」
「分かってる、流石に鬱陶しくなってきたね。
誰かは知らないけど、この漫才部に喧嘩売ったことを後悔させてやろうぜ北城」
「ですね」
謎の物音に宣戦布告をした瞬間ドッタン!と言う大きな音が響いて、漫才部から足音が離れていく。
「漫才部はそういう話じゃないほのぼのコメディだから安心していいのにね」
「メタいです、にゃんこ先輩」
「にゃんこ先輩、そいえば今更ですけどこの部室結局使っていいことになったんですね」
物音も聞こえなくなり静かになった頃、俺は気になったことを聞いてみる。
「本当に今更だなぁ……そうだね。
正直部員があと一人足りないんだけど、私と北城のらぶらぶ空間を侵食されるわけにはいかないからね。
生徒会のちみっこを完全論破してなんとかしてきたよ」
ついに二本目の野菜ジュースに手を掛けたにゃんこ先輩が、スマホを弄りながらそう答えてくれた。
「ごもっともですね」
「ボケたつもりだったんだけどなぁ……愛が重いなぁ……」
眉をひん曲げた彼女を尻目に、俺も二個目のサンドイッチの封を開ける。
それと同時くらいに、きーんこーんかーんこーん、とチャイムが鳴った。
「あ、昼休み終わっちゃった……
午後一数学かぁ……だるいなぁ」
「ああ……大変だな北城。
頑張ってこい。
私は5限入れてないからここで時間を潰すことにするよ」
「なんであんただけ時間割り自分で作ってんだ……
はぁ、サボりはよくないですよ、行きましょ」
いつの間にか椅子から離れてソファにしがみついてるぐでたま子猫ちゃんを引き戻そうと裾を引っ張る。
スカートの中を覗きながら……
ちっ、ショートパンツ履いてやがったか……いや、これはこれで……
「ちょ、ちょっと待て北城……
お前は私の時間割りなんか把握してないだろ?
な、落ち着け?」
結構強い力で引っ張ってるのに全く動かないことに戦慄を覚えながらも、俺は彼女に言った。
「なに言ってるんですか?
行くのはラーメン屋ですよ」
「やっぱお前最高、スカートの中覗こうとしてたことはお咎めなしにしてやる」
ちっ、バレてたか……
「というか北城さっきサンドイッチ食ったばっかだろ?
太らないのか?」
「……さっ授業行きますか」
「私が全面的に悪かった」




