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漫才部っ!!  作者: 育深
まんざいぶはぶしつをまもりたいそのいち
25/52

まんざいぶふくぶちょーはたにんとのかいわがおぼつかない

あまり彼女に目を合わせないように気を使いながら電車から降り、ホームから改札までの道を歩く。


春の穏やかな陽気は、都会の駅特有の世話しない雰囲気に溶けてしまっていて。

すれ違う沢山の女子高生の胸を偶然を装ってそふとたっちしながらホームを颯爽と駆け抜ける。


ここは私鉄だが、さっきも行ったけど都会なのだ。

改札まで行くのに階段を降りたり登ったり壊したり飛んだり…


そうして幾つもの試練を乗り越え改札に辿り着く。


「ちょっと!

ねえ聞いてる!?」


「ふぇ?」


後ろから肩を叩かれたものだから、俺は驚いて変な声を出してしまった。


「さ、さっきは……ありがと……」


振り向いた先にいたのはお察しの通り倉吉。


ヘッドフォンを首にかけてパーカーの袖を掴みながら恥ずかしそうに礼を言った。

かわいい、撫でたい。


これはやっぱり掘り返されるのも恥ずかしいことだろうし、知らないふりをしてあげるのがこの子の為だ。


……それにしても女子に話しかけられるのなんて久し振りだ。

まあ俺はぼっちだがコミュ障ではないから問題はないが。


「あばばばばばば」


「へっ?」


「……どうした?いきなりはなしかけてきて」


「仕切り直されても……」


くっ、殺せ……


唇を噛み締めていると、彼女の方から仕切り直して口を開く。


「だから、さっきはありがとって話……」


「なんのこと言ってるか全然わかんねえなぁ」


同クラスの男子に痴漢されたなんて知られてるって言うのも落ち着かないだろうしと思っての返答だったのだが、それを聞いた彼女の反応は意外なものだった。


「……気、使わなくていいし」


「いや知らねえよ」


「だからそんなに気にしてないって」


「知らないです」


「いやだか……」


「知らねえ」


「なんだこいつ、納豆のようにしつこい……」


ねばー○くんかよ。


すると、同じ木芽生が後ろから吉倉に話しかける。

制服から見るに1年の特進科か……


「あの、すいません。

改札の前で無駄話するのやめてもらっていいですか?」


見れば、俺たちの後ろには凄い行列ができていた。


俺達はすかさずその場を退いて、待ち合わせに使いそうな時計台の方に移動する。

平日の朝っぱらだっていうのに人が多いなぁ……そんな中改札前で立ち話とは……


行列のできるねばー○くんかよ。


「どういうことだよ」


声に出てたよ……

ジト目をやめろ吉倉。

興奮する。



「まあいいよ、ありがと。

助かった」


時計台に備え付けられている円形椅子が空いたので、そこに腰掛けながら話すことにした。

まだまだ騒がしい朝の喧騒だったが、それに慣れている俺達は別に気にならない。

寧ろ幾分か心地良いかのように感じられる。


「はぁ……いいよべつに。

大したことしてねえしよ」


俺は遂に折れて、頭を掻きながら謙遜する。


「そんなことない、普通できないと思う」


吉倉は回りが全て背景に見えるほど綺麗な笑顔で微笑んだ。


「……だから」


そう続けた彼女は座り直して俺の方に近づいてきた。

あ、やべえいい匂いする。


いつの間にか肩が触れ合うほどに距離が詰められており、上目遣いで見上げてくるその瞳に見入ってしまう。


「明日も同じ号車……乗るよね?」


「あばばばばばば」


「はっ?」


……何とかしてコミュ障治さねえとそろそろ日常生活に支障が出そうな気がする。

クエスチョンマークを浮かべながら口調を崩す吉倉を見て、俺はそんな風に思うのだった。

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