まんざいぶめんばー、ぞんぶんにいちゃつく
「まあとりあえずこういうのってテンポが大事だから噛むのは極力避けるようにするべきなんだよなぁ」
にゃんこ先輩が顎を親指で押さえながら言う。
なるほど、唐突とはいえ漫才部を作ろうと考えるくらいだから俺より色々知ってそうな口振りだ。
「あとネタを完璧に覚えないとね、常識だよ!」
立てた人差し指をこっちに向けて、真剣な目をするにゃんこ先輩、俺の方は漫才なんてヨウツベやテレビで見る程度で俄だからな……
少し付いていけるか心配だ。
「じゃあまずネタを覚えるってことっすね、分かりました」
「そういうことだ北城!
まずはそこから、あゆれでぃ!」
何かの曲を盛大にパクった気がするけど気のせいに違いない。
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「一応覚えたっすよ、にゃんこ先輩」
10分後、とっくに覚え終わって暇そうにスマホを弄っているにゃんこ先輩に俺は話し掛けた。
「おお、やっとか北城……待ちくたびれたよ」
最早うとうとしかけていたようだったが、俺の声で現世に舞い戻ってきたようだ。
「いやにゃんこ先輩が早すぎですって……」
「にゃははー、誉めるなよ北城!」
俺が呆れた様子でため息を吐くと、にゃんこ先輩は嬉しそうに喉をならす。
まじにゃんこ。
「じゃあ取り合えず読み合わせ入ろうか!
1回目だから緊張ほぐれないと思うけどこれから修正加えていこう!」
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「はいどうも!漫才部です!
よろしくお願いしまーす!」
「はーいお願いします。
して先輩、僕ら漫才部だけど部として機能してないじゃないですか?」
「なんでやねん!」
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「あの先輩」
「な、なんだね北城?」
俺がしらけた目を向けると、にゃんこ先輩は腕を組んで視線を逸らす。
「台本には確か、そうだね北城!、って書いてあったはずなんですけどどこがどうなってなんでやねんにフォルムチェンジしたのか説明お願いしていいですかね?」
「い、いやね。
そ、即興のネタを仕込むことによって場の空気をな」
にゃんこ先輩はまだ目を逸らしたまま、嘘吐くのが下手すぎて逆に演技にも見えてしまうレベルだ。
そんな先輩に俺は変わらずジト目を送る。
「先輩……俺に暗記が早いとこ見せようとしてうろ覚えでやったんですね」
「ご、ごめん北城……私、漫才部部長としてちゃんと出来るってとこ見せようとしてつい……」
にゃんこ先輩も申し訳なさそうに目を伏せて上目使いで俺に訴えている。
しかしここはビシッと決めてやらないとね、甘やかしてるだけだとにゃんこ先輩のためにならない!
俺はキッと目を見開いて思ったままの言葉を口にする。
「可愛いから許すっ」
「ありがとう北城!」
にゃんこ先輩と戯れていると、ガタリッ、とどこかから物音が聞こえた。
「にゃんこ先輩、またなんか物音しませんでした?」
「ええ、聞こえなかったよ、でもなんか不気味だなぁ」
そうですか、と誰にも聞こえないような声で呟いたあとに周囲を見渡すが、誰かがいるような気配は感じられない。
いや、よく考えたら居たとしても気配なんか感じられない。
知りませんね、東方◯1とかおちゃ◯機能とか。
なんの話してるんですか?




