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漫才部っ!!  作者: 育深
みそぎこーはいはえっちがしたい
12/52

まんざいぶふくぶちょー、そんなとこであそんでないではやくまんざいをしやがれ

始めに断っといたほうがいいっすね、なんかこれからちまちまかけらぽっちほどのヤンキー展開ありますけどこれは俺がアンジャッ○ュのごとき勘違い漫才をしたいが為だけに作ったやけにでかすぎる伏線です。


別に物語の大筋がヤンキーものに逸れるって訳じゃないんでここだけは安心しといてください。


因みにいますよ、番長。

このご時世でもちゃんとね……

「禊さーん!おともだちきてますよー!」


俺は幼い頃何度も歩いた玄関から彼女の部屋までの道のりを進みながら呼び掛ける。

意外と覚えてるもんなんだなぁ……


階段を上った辺りで部屋から物音がしたので、いるのは確定だろう。


「ここか、あいつの部屋。

懐かしいなぁ」


よくよく考えてみると朝こいつの部屋へ怒鳴り散らすくらいで、いつしかろくに話すことなんてなくなっていったように思える。


「開けろ禊!

居るの分かってるぞ!」


鍵がかかっているドアを叩いて禊に問い掛けるが、一向に開ける気配はない。

まあ仕方ないか……


「ほっといてよ、別にどうでもいいでしょ。


もう関係ないじゃん……ってなんで入ってきてるの!?」


「ピッキングした」


あっけからんと言い放つ俺に驚いたようで彼女は潜っていた布団から顔を出して怒鳴った。

俺は徐に布団に座って話しを勝手に始める。


「話聞いたわ。

お前窓開けてたら同級生にヤってるとこ見られたんだってな」


「それがなんだよ、笑いにでも来たのかよ」


若干涙目で、力無さげに言う禊に俺は満面の笑みで返してやる。


「うん、そう」


「へっ」


禊は鳩がポンプアクションショットガンでも食った様な顔をして硬直するが、俺はお構い無しに乏しまくる。


「お前やっぱりバカだな!すげえよ窓開けたままとか!

見たのがクラスメートじゃなくて警察だったらお前注意されてたぞ!

半裸で!

ひー、笑うわぁ」


「なんであんたはいっつもいっつも女の子が傷ついてるときにそんなことしか言えないんだよ!!」


バチンッと甲高い音が鳴り、俺の左頬に電流が走った様な痛みが与えられる。


「痛いっ!

最悪!

あり得ないお前!野蛮!女じゃない!」


「最悪なのはこっちだよ!なんで傷口抉られなきゃいけないのさ!」


「んだてめえ!

慰めてやってンだろ!」


「どこがだ猿人!脳味噌入ってんのか!?」



------


そして俺達の久し振りの喧嘩はヒートアープの一途を辿り、収拾がつくのに数分掛かった。


少しの沈黙の後、俺はやっと口を開く。


「それがお前だろうが」


「へ?」


「なんで怒らせてビンタされるのが俺だけなんだよ.理不尽だろ

ほら行くぞっ禊、立て。

あいつらひっぱたきに行こう」


「で、でも」


足が重そうな彼女に向かって俺はにやけた顔を浮かべて言ってやる。


「安心しろ、俺が後ろ楯になってやる」




---------


「ねえやばいってタツ!

どうすんの!?」


ケバい女子は厳つい髪型の少年に話し掛ける。

どうやらこのグループのリーダ的な存在はタツという少年らしい。


「いや、何焦ってんだよ世田……

流石にこの人数差じゃトラブルにすらならねえだろ。

逃げる必要すらねえよ。

なぁタツ!」


一際チャラそうな少年が、笑ってタツに話しかけた。

しかし、タツは顔を青ざめさせるだけで返答すらしない。


「おい、タツ!

どうした、腹でも痛くなったか?」


チャラそうな少年は場を和ませるように冗句を言うが、それを聞かずにタツが指差したのは桂浜と書かれた表札の隣。


「おいこれってまさか……」

「嘘でしょ……」

「冗談だろ……」


目立たなそうな男子以外は足を震えさせて口の中を乾かせ、内心穏やかでない様子だ。


「あ、あの、"北城"ってこれがどうかしたんですか?」


明らかに変わった皆の反応に危機感を覚えた地味な少年は控えめながらも聞く。


「お前な……北城っつったら南霧谷中の方位磁針……











北城多々良しかいねえだろ」


北城と書かれたその表札にはマジックで下に小さく多々良と書かれていたのであった。



「私立木芽高校を囲む4校、それが全て不良校ってのはお前も知ってるよな。


問題はそれぞれの名称だ。


北に北霧谷中

東に東秋中

西に西山原中

南に南霧谷中


この通り、全て頭文字に方位がつく。


このことからこの4校のトップを纏めて方位磁針と呼ぶようになったって訳だ」


それを聞いて地味な男子は怪訝そうな顔をした。


「どうしていきなり説明口調になったの……?」


「……知らん」


「おい!ドア開いたぞ!」


誰が言った台詞かはどうとして、その場の空気は一瞬で緊張に支配された。

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