新たな門出
本編開始ですね。頑張っていこうと思います!
ヴァスト歴929年 王都レウスのはずれの丘
雲一つない晴天である
のどかな気候であり日差しも暖かなものであった
そんな中に佇む一軒家の隣にある木の下で
「ふぅ...今日もいい天気だなぁ...こういう日は眠くなってしまうからいけないな」
「ティウ!」
「お?ティアもそう思うか?」
柔らかな雰囲気のある男とまるでぬいぐるみのような愛らしい雛龍がのんびりとしていた
「さてさて...眠るもの良いかもしれないがそろそろ...」
「ーーしょー!ーしーょーー!」
「噂をすれば...だね」
「ししょー!ただいま戻りました!」
「あぁ、おかえりセーラ...そんなに浮かれてしまってまったく...聞くまでもないだろうがどうだった?」
「はい!第1席になることができました!師匠のご指導なしではきっと無理でした...師匠...ありがとうございました!」
「いや、君にも確かな覚悟と才能があったからね。私はそれを後押ししたまでだよ。これは君の努力の証さ...おめでとうセーラ」
「...」
「...?どうしたセーラ?」
「...やはり...行かれてしまうのですか...?」
彼女は消え入りそうな声で言った
「君と私の最初の約束通りさ。君が1席になったら私の指導はそこまで。君は1席、私は旅人として新たな門出を迎える。そう約束しただろう?」
「...わかっています...我侭を言って申し訳ありませんでした...」
「...はぁ...セーラ、顔を上げなさい」
そう言ってクリスタルのついた指輪を差し出した
「...あ...あのあの...師匠これは...」
「祝の品...というよりは私はからの餞別...かな?君が1席、私が旅人となったとしても、私は君という良い弟子がいた事は忘れないさ。だから、親愛なる弟子へのプレゼントとして...受け取ってはくれないかな?」
「...ッ!...師匠...ありか''と"う...ござい"ま"す"...」
「あぁあぁ、泣くな泣くな...」
「うぅ...すみまぜん...でも、嬉しいのと寂しいのでもういっぱいなんです...」
「大丈夫さ。今生の別れではない。またいつか会えるといいな」
「...はい!」
そう言って彼女は泣き顔ながらに花のような笑顔を見せてくれた
「...君はそろそろ戻らないとなのだろう?」
「...ぁ...そうですね...」
「...セーラ」
そう言ってシュンとしている彼女の頭を撫でる
「...!!...師匠...」
「君なら大丈夫さ。君の周りの人達が信じているように私も君を信じているさ。さぁ、行きなさい」
「...はい!師匠!ありがとうございました!...あの...師匠...」
「ん?なんだい?」
「...少し...目を閉じていて下さい...」
「?ああ、わかった」
そうして目を閉じる
そして頬に伝わる柔らかい感触
「えーと...セーラ?」
「///...で、では、行ってきます!」
「あ...あぁ...頑張るんだよ?」
そうして彼女は去って行った
「...結局なんで目を閉じさせたのだ?」
...男はポンコツだった...
では、また次回