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4話 気にしていても何もならない。悩むよりまず動こう。

俺は影山さんと事あるごとに話し込んだ。


熱意のないところに新たな価値は生まれない。

やる気がないなら見切りを付けても結構だ。

少しでもやる気があるのだとしたら・・・。

迷いは人の判断力を鈍らせる。

その間に事態は急転するかもしれない。

という危機感は常々抱いていたようだ。


「影山さんって元々長野の人ですか?」

「いいや、県外から来たよ。・・・地元が大嫌いだから逃れるように、気が付いたらここにたどり着いた。全国隈なく旅してきたけど、長野は本当にいいところだ。」


影山さんは高校を中退してしばらく関東の工場で働いていた。

ルーティンワークに飽きてしまって、愛知や関西、九州などに移りながら10年近く過ごしてきた。

休みの遠出が彼のモチベーションになっている。


ヤンキーでチャラいけど、決して常識外れな人間ではなかった。

俺は彼の格好よりも、人間性を見習うことにした。

工場勤務とはいえ、言葉遣いは決してガサツではなく、むしろ誠心誠意で丁寧を心がけていた。

体力はかなりあるようだ。

暇さえあればジムで体を動かしている。

肉体が凄かった。彼は自分の品性を磨くことにエネルギーを費やしていた。

その分犠牲になったものもある。

家族の存在だ。

まぁ、結果としては彼のためならそれでよかっただろう。


ここだけの話だ。影山さんの実家は寺だった。

元々なめられていたタイプの人だったのか、

彼はいじめられていた。

いや、彼が悪いわけではない。

悪いのは影山さんの親だ。

親は子どもに対して何か手を出すと、しつけの一つだという。

俺の親もそんな立場だったからわかる気がするんだ。

実家が寺であることを良いことに、

話題も仏教詳しいんだろとか霊感持ってるだろとか、

根も葉もないことを聞かれ、答えられないと、

無口な人間、というレッテルを貼られてしまう。

また、信じていたことと食い違うと、

嘘つき人間、というレッテルまで貼られる。

結果として影山さんの周りに友達は出来なかった。

影山さん自身に当然居場所なんてあるわけがない。

俺が影山さんと同い年だったら、

一緒に嫌われ者になりたかった。

影山さんは無口でも嘘つきでもない。

むしろ彼に悪いことなど一つもない。

言われる立場としては面白くない。


俺自身も無口で嘘つきというレッテルを貼られたという点では共通点だ。

無口なんかじゃなく、その時点で状況を言えるボキャブラリーが存在しなかっただけ。

嘘つきなんかじゃなく、無口でいることが嫌だっただけ。

これって結局のところ、親のしつけなんですよね。

影山さんの場合は、親が実家を継がせることに一生懸命で、

人間として大事なことを教えてくれなかった。

自分の力で、自分の足で立って生きることを教わることがない。

それとも親は子離れできないのだろうか。

子供からしたら父も母も見すぼらしいジジイとババアでしかない。

迷惑なんだよと。


俺もまさに反抗期真っ盛りだ。

例え同じことを言われたとしても、

クソジジイよりも影山さんのような若気溢れる人に言われた方がずっと良いと思うし、

クソババアよりもかわいい女の子に唆されたり、振り回される方が全然良いに決まってる。

だって、年代が違うじゃん。

戦後を生きてきた人間と、現代を生きる人間。

やっぱり雰囲気が全然違う。

日本は急速に発展してきた。

しかし、一方で深い溝が出来てしまった。

同じ日本人なのに、これほどにも価値観に差ができてしまうものとは。


勉強しろ勉強しろってうざいけど、

どうせなら高校出てすぐ使えるところに行きたいよ。

周りを気にしていても何もならない。悩むよりまず動こう。

自分の人生は自分自身で決めるものだから。

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