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七話

 道場には、若い……というか、子供がわらわらいた。私ぐらいの年の子はいないように見える。平均年齢は十歳ぐらいか。人数はさほど多くはない。十人ちょっと。物珍しそうに、私をじろじろ見る子供達。髪の色と、瞳の色が珍しいのかな。



 私も、じろじろとまではいかないけど、子供達の髮や瞳の色を見る。髮色は茶色や金色が多い。瞳の色は灰色や薄い青色が多い。全体的に、色素が薄いようだ。


 

 茜さん……じゃなかった、師匠が何やら水晶玉を持ってくる。透明な水晶玉を台の上に乗せ、手をかざす。すると、透明だった水晶玉が、徐々に青色に染まってゆく。海のような青色に染まった水晶玉を指差し、師匠が説明してくれる。海色に染まった水晶玉は、ぼんやりと光っている。



「これが、魔力測定器ね。自分に合う魔法の系統も教えてくれるの。青は治癒魔法よ。ちなみに、光りが強ければ強いほど、魔力が強い証。やってみ」



 師匠が水晶玉から手を離すと、元の透明な玉に戻る。おお、すごく魔法っぽいぞ……! ドキドキしながらそっと手をかざしてみる。



 すると、水晶玉が徐々に金色に染まっていき、眩しいほど輝く。水晶玉に手をかざしている私は、眩しくて水晶玉を直視できないけど、子供達がきゃあきゃあ騒いでいるので、よくわからないけどすごいっぽい。師匠から離していいと言われたので、離すと金色の光りは小さくなっていき、やがて消えてしまう。師匠のほうを向くと、何やら難しい顔で腕を組んでいる。あれ……反応がイマイチ。黙ったまま、師匠は水晶玉を片付けてしまった。



 中々戻ってこないので、子供達は道場内でそれぞれ遊び出す。鬼ごっこをして騒ぐ子供逹は、至って普通の子供に見える。これで、魔法が使えるんだよねぇ。人って、見かけによらない。結果を、結果を早く聞かせておくれ……! 内心そわそわしていると、師匠が何とも言えない顔で戻ってくる。



「ごめん、調べても金色がどの魔法に合うのかわからなかった。あの光り具合から、魔力が強いことはわかったし、魔力が強ければ大抵の魔法は使えるから」


 

 とのこと。ふぅん。自分がどの魔法が合うのか、知りたかったんだけどなぁ。ま、いっか。確か次は、肉体能力を見るんだよね。



「んーっと、じゃあ、あたしと軽く組み手しよっか」

「はい!」


 

 というわけで、子供達と京は危ないので端に寄り、私と師匠の二人で向き合う。組み手とのことだし、癖でアームウォーマーから武器を取り出してもいかんし、アームウォーマーを外す。道場に上がった時点でブーツは脱いでいるから、本当に肉弾戦だ。



 子供の始めの声と共に、道場の床を蹴って一気に距離をつめて脇腹目掛けて蹴りを入れる。腕でガードされたので、床についてる足に力を込め、力ずくで蹴り倒そうとしたところで、みしりと師匠の腕が折れそうな音が聞こえ、お互い慌てて離れる。



「ちょっと待った。このままだと、私師匠の手足とか折りそうで怖いです」


 

 入ってきたばかりの私の言葉を大袈裟だと子供達は笑うが、師匠も焦ったように言う。



「プロには敵わないよ、流石に。こりゃ止めだね。脚力が尋常じゃないほど強いってことがわかっただけ、いいかな」


 

 師匠の言葉に、笑っていた子供達の頬がひきつっていた。脅かすつもりはなかったんだ、ごめんよ。



 私の組み手は危険とのことで禁止に。代わりに身体測定を軽く行う。学校でやるような身体測定だった。そのあと、魔法を早速使うことに。こんなに軽くやっていいものなのか、魔法って。もっとおごそかなものじゃないのね。でも、早く使ってみたかったので、どちらかと言えば嬉しい。


 

 師匠が持ってきたのは、手の形が描かれた板の上に乗せられた龍の置物。口と目がカッと開かれたもの。今度も、師匠が実践してくれる。



「ここの手形のところに手を置く」


 

 そう言って師匠が手を置くと、龍の目が青色に光り、開かれた口から小さく風が吐き出される。



「これは、手を置いた人の魔法の系統と、使いやすい魔法を教えてくれるもの。私に合った魔法は治癒魔法だけど、使いやすいのは風魔法ってことね。自分の中にある魔力を使って測定するから、一応魔法を使ってることにはなるんじゃない?」


 

 なんだ、また測定……という私の心の声が届いたのかわからないけど、師匠が苦笑いで魔法、を協調して言う。んん? 自分に合う魔法と、使いやすい魔法って違うものなの? 疑問をそのまま師匠にぶつけると、うーん、と少し困ったように考える。



「そうだなぁ、例えば、占いでこの人と相性がいいですよって言われたからと言って、必ずしもその人とかかわり合いを持つわけじゃない。そんな感じ。要するにまぁ、説明が難しいんだよ」



 とりあえずやってみ、と見つめられるので、手形のところに手を置く。龍の目は金色に染まり、口から吐き出されたのはーー煙? のようなもの。黒煙といった感じの。何これ。またわからないって言われたらどうしよう? 不安になっていると、師匠が何やらメモをとりながら感心したように言う。



「これは、闇魔法だね。魔物以外で闇魔法が使える子は初めてだわ」


 

 魔物が使う魔法って……そこ、感心してていいの?

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