サタデーブルー
デートコースの王道、海岸沿いにあるお洒落なカフェで、これまた絶好のデート日和な快晴にブチの目はどんよりと曇っていた。
シャキシャキのレタスにやや塩気の足りないハムとたっぷりのマヨネーズが入ったサンドイッチを頬張り、そそくさとコーヒーをすすった。
『天気も良いし、絶好のブランコ日和だ。』
と台本通りの台詞を吐いた。
先頭打者は女医。
30歳の大人の色気を漂わせた口元に反比例して、タレ目が何ともブチの心をくすぐる。
白いパリッと音がしそうな綺麗なシャツに淡いスカイブルーのスカートが如何にも育ちの良さを覗かせ、いくらかふっくらとした体型をスマートなものにしていた。
満たされ尽くした豊満な胸がチラッと覗き通り過ぎてゆく男達は皆決まり事のように振り返る。
『あなたに会うために一週間とっても頑張ったわ。毎週土曜日がとっても楽しみで金曜日の夜は全く寝付けないの。
ところでなんだか顔色悪そうだけど大丈夫かしら?」
『あ、あぁ。大丈夫。ちょいとばかしお腹の具合が悪いだけだから。トイレに行けばすぐに良くなるはずだ。」
2人はそそくさとカフェを後にし、歩いて砂浜のブランコえと歩いた。
浜辺に打ち上げられた大きな流木を使って作られたブランコは、地元の人以外にはあまり知られていないスポットのようであたりには、
老人2人が昼間からビールを飲んで何やら思慮を巡らせているのであった。
彼女は静かにブランコのイスを叩き、砂を落とした。
ガタイのいいラグビー選手2人が共に座れそうなイスの真ん中に座り、両脚をぴったり揃え海を見つめブランコを漕ぎ始めた。
自然に触れるといどういう訳か無性にタバコを吸いたくなるのは、ヘビースモーカーの性なのであろうか。
ブチは気づいたら3本目のアルボロに火をつけていた。