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近海のブラットラビットより
~グルグル海星さんへ~
やぁ、毎日毎日ご苦労だ。
いつもいつも、律儀に同じルートを同じ回転数で回って苦しんでいるようだね。
いつも、いつも君を見ていると水槽に閉じ込められた海亀を見ているようだ。
どうすればこの水槽から出られるのか、
それがわからないから抜け出せずに毎日毎日グルグル回っているんだって君もわかってるはずだ。
そして、
君は知っている僕が君の周りをグルグル回っている事も。
抜け出したんだろ、そろそろ。
オイラもココはそろそろウンザリしてきたところだ。
君は好むと好まざるとに関わらず軌道を変える為に動き始めなければならないはずだ。
君は24年の時を終えて25年の時に入ろうとしている。
君は青い風を吹き
オイラは緑の炎を焚きあげるんだ。
近海のブラットラビットより
P.S.夏が終わり秋が来れば餅をつくから一緒に食べよう。
手紙を読み終えた文吾は、換気扇の下でマビウスを手にとった。
緩いシャワーを浴びグレープフルーツのアロマを焚きながらいつもの浅く広い夢に落ちた。