第1話:ナリカミという少年
遅れました!!ごめんなさい。
出来れば、12時に投稿したかった。
第1話:ナリカミという少年
少年こと、ナリカミはどうして魔物の大群の前にいたのか?
少年の使う魔法、"最弱の魔法"とはどんな魔法なのか?
少年の作戦とは?
それらを知るためには、そもそもナリカミという少年をもっとよく知る必要がある。
少年が、何を考え、何を想い、何を成してきたのか。
これはまだ何者でも無いただの少年、ナリカミ少年の物語である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
遡ること十数年前、魔導国家マホルテシアの首都ジュモーン。
この街の貴族区画で一人の赤ちゃんが誕生した。
「あぎゃ、あぎゃ」
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
そう告げられた女性ーーナリカミの母親ーーは産婆さんから我が子を抱かせて貰うと、出産が始まってから初めて笑顔を見せた。
「はじめまして、私の赤ちゃん。無事に産まれてきてくれてありがと~」
産まれて初めてナリカミにかけられた言葉には母親の愛情がたっぷり込められていた。
優しさが、幸せが満ちた空間で、赤ちゃんは泣き疲れてウトウトしている。今にも眠りにつくんじゃないか、そう思えた。
母親は初産だったこともあり、疲れて眠たそうにしている。
だが、そこは母親。
息子が眠るまで絶対寝ない!
優しい目の奥が力強い光を放っている。若干、産婆さんも引いている。
ドンドンドンガチャバタンッ
騒がしく部屋に入ってきた男に母親から底冷えする瞳が向けられた。
「あーなーたー」
「あ、いや、ごめん。生まれたって聞いて、いてもたってもね……うん、よく頑張ってくれたねフゥミィー。ありがとう。……はい、ごめんなさい」
「……はぁ、もーいいわよ。でも、赤ちゃんが驚いちゃうからー……ね」
「はい、ごめんなさい。反省しています」
ようやく瞳に暖かさを戻した母親が柔らかく微笑んだ。産婆さんは尻に敷かれる父親に苦い笑いを送っていたが。
「はいっ、けっこー。じゃあ、私たちの息子の顔を見てあげて。……ふふっ」
「ん、どうした?」
「この子は大物に成るわね。見て。驚いて泣き出すどころか、ものすごく冷静な目であなたを観察しているわ」
「そ、そうか?僕には眠そうにしているようにしか見えないんだけど……わかるの?」
「もちろん分かるわ!母親だものー」
「へぇ、すごいなーお前ー。赤ん坊なのにそんなに観察力があるなんて、優秀な魔道士になるぞ」
赤ちゃんの頭をなでる父親はふとあることを思いついた。それは、彼が魔道士であったがために思いついたことだった。
ーーー父親、ウオタは生粋の魔道士ーー魔法の研究者ーーである。魔導国家マホルテシアが魔法全盛の時代に花形だったその職業は、長く平和を謳歌してきた歴史の中ですっかり閑職となってしまっていた。平和な時代に求められるものはいつだって魔法より政治であり、魔法の優先順位が低くなった結果、廃れてしまった風習がいくつも存在する。
そんな、今では珍しい、魔法にかかわる風習、おまじないの一つを知っていたこと、おもいついたことは、彼の職業が魔法のエキスパートであったことと無関係ではなかった。
『産まれた赤ん坊に魔力を流し、反応で魔法の才能を測る』
この風習は、魔法こそが生きるに必要な力だった頃に生まれたものである。人は、他者に魔力を流されると自分のアォーラと干渉しあい不快感を感じるのである。これを利用し、赤ん坊に魔力を流して泣き出すなら才能有り、無反応なら期待薄である。もちろん、必ずこの通りに反応を返すとは限らない為、目安以上の意味はない。だが、この風習が主流だった頃には魔力に反応しなかった、将来魔法使いとして大成しないかもしれないという理由で孤児になるものまで現れたのだから、人の欲望とは恐ろしいものだ。
と、そこまで父親が考えたところで気が付いた。
「あーなーた~」
子供の眠りを妨げる様なことをして、自分は無事でいられるのか?という疑問に。
妻の魔力が攻撃的になったことで答えは決した。
(ああ、やらかしたな)
ウオタは訪れる衝撃に耐えるべく身を固くする。……が、衝撃は来ない。恐る恐る妻の様子を伺うと、驚いた表情で固まっていた。
「あ、あなた。見て」
妻の視線の先。我が子を見た。
「あぅー。あぅ♪」
僕に魔力を流されて、今にもぐずりそうだった赤ん坊は、妻の攻撃的な魔力を感知して笑っていたのだ。
「あり得ない……。……こんな、こんなこと……家の子は天才かもしれない」
投稿する時間3つにしようと思います。いづれかの時間に投稿という事で……。できれば12時にしたいですが。
時間は12時、18時、21時にします。
あくまで保険ってことで……。
ちなみに、ストックはゼロっす。