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The Body36Gone with the memories


視点が二転三転します。解りにくくて大変に恐縮ですが、何卒読者諸氏の豊かな想像力にて読み解いて下さいます様お願い申し上げます。



The Body36Gone with the memories



静まり返る空気はこっちの部屋にも広がっていた。誰も顔を上げない。


ふぅと溜息をつき、舞ママがちょっとと言いおいて席を立った。

私は立てなかった。舞も一言もなく目尻を光らせながら目をキツく閉じている。



手洗いに入り鼻をかむ。

パシャパシャと軽く顔を洗い、化粧を直す。


パタパタと近付く足音。

ドアが開く。ミラーを見ると、三村裕美!

視線が鏡を通して交錯する。


一瞬目を光らせると、彼女はさっと身を翻してとって返していった。


唇を噛み部屋に急ぎ戻る。



裕美君が戻ってきた。隣室にもヒトが戻ってきた気配があった。


「とても感動的なお話でしたわぁ!」


天性の媚態と共に甘えを滲ませる媚びた声。



唇をキツく噛んだままの舞ママ。キツイ視線が空を睨む。



「そういえばぁ、この間ご一緒にいらっしゃた、広田さんと仰ったかしら、あの方すてきな方でしたねぇ。どういうご関係なのかなぁ?」


「仕事でのおつき合いがあると言ったと思うが?」


「あらぁ、それだけかしらぁ?」


「どういう意味かな?」


「男女の仲というかぁ、大人の関係というかぁ、そういう事!」


「好きだし、キスした事もあるよ」


「ふーん。SEXされたことはぁ?」


「随分とあけすけな質問をするんだね」


「だってぇ、私には手を出されないんだものぉ気になるわぁ」


「無いよ」


「ふーん。あんなに魅力的なヒトなのにぃ。そうなんだぁ……」


フラフラ立ち上がると、俺の背後に回る。


「ふーん」


捉えた得物をいたぶる猫。ガラッと襖を開け放つと背中に幾つもの視線が刺さる。


そういう事か……。


「御本人の前でもそう言えるのかしら?」


「無いな」


「そう。可愛い奥様を貰われたそうだし言える訳もないかしらねぇ。まぁ、でもぉ、彼女、お歳も召してらっしゃるようだし、そうなのかもぉ」



人差し指を頬にあてがい、とぼけるように口を尖らせる。


挑発!ガキっ!大人を舐めてると……。


「あらぁ、三村社長、昨日は有り難うございました。今日はまた偶然ね。濡れ場のお邪魔をしちゃったのかしら、だとしたら、ごめんなさいね。あ、修羅場だったのかしら?それとも……愁嘆場かしらね?」


「何よ!」


「襖を閉めてお続けになられても宜しくてよ」


フッと微笑む舞ママ。怖いよ!


「気のせいかしら、私を肴にされてたようだけど」


「したわぁ。やっぱりお歳なのねぇ。耳が随分と遠いようねぇ」


「ウフッ。無理よ。だって大人の恋はワインと同じ。歳月を掛けて育むものなの。

英司さんもいらっしゃるようだから丁度イイわね。

さっき、あ、これ私の娘の舞、そしてこちらが英司さんの愛しい奥様。

この二人にも宣言したところなの」


「何をよ?」


「私は吉見英司が大好き。決して諦めないって」


「ふぅん。でも忘れ去られて腐っちゃうワインもあるそうだけどぉ」


クッ、どこまで好戦的な子!


「そうねぇ。それだけのモノでしかなかなかったって事なのかもしれないわね」


「あらぁ、随分と自信がおありのようですねぇ?」


舞ママをチラッと見た眼が光る。


「その割には枕営業もされると聴いたけどなぁ」


バシッ!

響く音、私の中でも何かが弾けた。

言葉の意味は知らなかったけれど、舞ママを揶揄し、愚弄したのは間違いなかった。

貴方が立ち上がり、裕美さんの前に立ち塞がっていた。

舞もあたしも舞ママを抱き締め、口々に叫ぶ。


「ママはそんな事しない!」


「おばさまがそんな事する訳ないわ!」


「私はこのヒトの事を尊敬してる。愛してもいる。愚弄する事は許さない」


三村裕美は貴方を睨みつけると、そのまま崩れ落ちるようにテーブルに突っ伏した。


「なによぉ!皆してぇ!」



その時貴方がストンと畳に座り込んだ。



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