The Body15As time goes by……(01)
The Body15As time goes by……(01)
三年の後期に入ると進路をソロソロ決めなくてはならない。進学か、就職か、出来れば永久……色々と悩んだ挙句、彼に相談する。
「吉見さん、進路なんですけど……大学って行く価値があるのかなぁ?就職するつもりなら、パパの会社や舞ママの所でもイイって言って貰えてるんです」
「うーん、何とも言えないなぁ……正直言って、一部を除けば、大学に価値はないかもしれないとは思う。ただね、4年間は猶予期間みたいなものでもあるんだよ。その間に、やりたいことややるべきことが見つかる、かもしれない。
言ってしまえば、可能性の枠を広げる、そういう猶予期間だと見ることもできる。行けるなら、行っておくことを勧めたいな。それに、せっかく勉強をみて来た甲斐もなくなるしね」
そう言うとあたしにに微笑み掛ける。あたしはハッとしたが、直ぐに気を取り直して言う。
「えぇ、でも学校の勉強だけではなかったでしょ、社会に出ても無駄にはならないわ。ウン。でもそうね、行けるなら行った方がイイかもしれないね。ウン、もう少し考えてみる」
貴方は、
「折角の出来の良さがムダにならずに済むかな」
「ウン、これからも宜しくお願いします」
苦笑しながら、嬉しそうにしてた。
「で、具体的に学校や学部のイメージはあるのかな?」
「うーん、吉見さんのお仕事のお話を聞く機会が多いですよね。舞ママとお話をしょっちゅうされてるから。それで結構IT関係に興味があるんです。難しそうだけど、面白そうだなって」
「ふむ、まぁ若い女性に興味を持って貰えるのは喜ばしいことなんだが……言われてる割には実際の仕事は地味だし、技術進化もかなり激しいしね、ハードな割に報われ難いんだよ。特に私の専門のセキュリティ関係はね」
「そっかぁ」
「それよりも、愛君はセンスがイイ。服飾とか美術系に進んだらイイと思ってるんだがねぇ」
「えぇっ!以前はダメ出しされた気がするけどぉ?」
「あはは、娘達の服選びの時だったかな。あぁいう流行のようなものじゃなくて、しっかりとしたオーソドックスなスタイルに関するセンスなんだよね」
「ふぅん、ちょっと嬉しいかな。褒められたみたいで。じゃぁ、もうちょっと考えてみますね」
「あぁ、そうするとイイ」
「ハイ!」
「あっ、そうだ。吉見さん。今度の日曜日、ママのお墓参りをしようと思ってるんです。一緒に行って頂けませんか?」
「良いのかい?」
「パパは忙しくて行けないって、だから、遠いし、一緒に、送って貰えたら、嬉しいんですけど!」
「なんだ、運転手代わりかな?」
「ソッ!」
否の筈がなかった。
「分かった。喜んでお送りさせて頂くよ」
「ウン!」
当日は雨だった。いつもの117クーペで迎えに来た。
「大丈夫なの?」
「エッ?」
「確か、以前、このクルマは錆びるって」
「アァ、錆び易いってだけだよ。戻ったら、洗って乾かすからね。平気だよ」
「乾かすって、どうやってやるんですか?」
「乾燥室があれば一番なんだけどね、私は、送風機を使って乾かすんだ」
「へェ、あ、ならお手伝いさせて下さい、いつもこのクルマにはお世話になっているもの。あたしも洗うのお手伝いしたい!ね、イイでしょ!」
「君みたいな娘に洗って貰えれば、こいつもきっと喜ぶよ」
ママの墓前であたしが手を合わせている間、貴方は傘をさしかけていて呉れた。
ママ、ご覧の通りよ。いまだ仲のいい親子って所ね。ママには勝てないのかな。でも、見守っていて欲しい。お願いね!
あたしと入れ替わり、黙って貴方は祈り続けた。
「ありがとう、連れて来て呉れて。やっとこの世での別れの挨拶をすることが出来た気がする」
そっか、あの時貴方はパンパンになることで……。
「来世の約束はしたの?」
曖昧に頷き、貴方は墓前を立ち去ろうとあたしを促した。
負けないよ!ママ!
貴方の家のガレージでクルマを洗った。
貴方は物置から大きな扇風機のような送風機を引っ張り出すとクルマの後ろに置き、回し始めた。
「さ、中に入って、あったかい珈琲を淹れよう」
「ウン」
中に入るとあたしは言った。
「髪の毛とか濡れっちゃったな。シャワーをお借りしてもイイ?」
「あ、あぁ、じゃぁ少し待ってて」
チョット待たされた後、シャワールームに案内して貰うと、タオルやスェットスーツが置いてあった。スェットスーツは洗ってあったが、心なしママの匂いがした。
シャワーを浴びて着替えて出て行くと、香ばしい珈琲の香りがしていた。あたしを見た貴方は目を見張る。
「なーに?ママに見えた?」
一瞬躊躇した貴方は、
「スマン、君の推察通りだ。良く似てる。雰囲気だけなんだろうけど、ドキッとした」
あたしは何も言わずに貴方の横に腰掛ける。躊躇いがちに肩に腕を回す貴方。あたしはその肩に頭を預ける。髪の毛がそっと撫ぜられる。あたしは身じろぎもせず、なすがままにされた。少ししてから貴方は私の髪に顔を埋めた。その心地良さに加えて、暖房が入っているせいだろう、気持ち良くなって寝てしまった。
目を覚ますと貴方も寝入っていた。
暫くこのまま、願いが叶うのであれば永遠に……。
でも目を覚まして貴方は言った。
「済まない。でも良く似てる。本当に親子なんだね」
そういう貴方の眼は少し潤んでいるよ。
もう少しだけこのままでいさせて下さい。
心の中で祈る。
少しでもシンクロしてたらイイな。
貴方はそっと押しやるようにあたしから離れると珈琲を入れそっと啜った。
「さぁ、遅くならないうち送って行こう」
「折角117洗ったのになぁ!」
「もう雨は止んだよ」
うーん、朴念仁!
良いサブタイが思い付きませんでした。合致していないことはないと思うのですが、いかがでしょうか。
今更ではありますが……小生の能力不足により大変読み難い文章となっているにも拘わらずお読み下さる皆様に、厚くお礼申し上げます。




