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The Body11settled(05)

The Body11settled(05)


一人で居ると、忘れられない二日間を思い出していた。

携帯に収めた住所を頼りに、あの人の仕事先に向かう。ビルの前に立ち、震える指で電話する。

彼が携帯に出る。


「はい、吉見です」


「愛です。今、事務所の下に居ます。会って貰えるまで此処で待ちます」


小さく溜息をつく様子が分かる。


「今、降りていこう」


ビルから出て来ると、顔を強張らせながら貴方は言った。


「お昼御飯にしてイイかい?」


あたしはコクリと頷くと、先に立って歩く貴方に付いていく。

入ったのは洒落た小さなイタリアン。

スパゲティを頼むと、あたしを見つめて穏やかに微笑み、貴方は言う。


「二日間ありがとう。お陰で忘れられない時を過ごす事ができた」


「いぃえ。あたしも御礼を言いたい位です。感動したし、幸せでした。

あの……お願いがあるんです。

ママを失いたくないの。それがムリっていう事位、頭では分かってるんです。

だから、せめてあの二日間を過ごした一人である、そしてママを思い出させてくれる貴方と時々でイイ、こうして会って欲しいの」


困ったように貴方は黙り込んでしまった。

運ばれてきたスパゲティにフォークで弄るように手を付けながら、黙って貴方を見詰めながら、返事を待つ。

食べ終えてからも貴方は黙ったままだった。

食後のデミタスカップの珈琲を一口啜ると軽く頷くような仕草をしてやっと口を開いた。


「分かった。君の気の済むようにしよう。学校は何処だったかな」


「青山です」


「そうか、近くなんだね」


貴方は諦めるように一瞬だけ天を仰ぐとあたしを見つめ言った。


「時々お昼を一緒に取ろう。私も一人で食べるよりも、連れのいる方がイイからね」


前の科白は牽制だね。後の科白は……、ちょっとだけ気を使って呉れたってとこかな。


「うん、それでイイわ。お願いします」


あたしはちょっと殊勝な振りをして頭を下げる。


「学校はいつからなのかな?」


「来週から新学年です」


「そう。じゃぁ、お母さんの所へは余り寄れなくなるんだね」


「えぇ、だけど、学校の帰りに寄るようにします」



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